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金正日独裁政権に政府が媚びる必要はない

2003/10/21 しんぶん白旗、30代、団体職員

北朝鮮問題とは何か。
三つある。
一つは核開発問題。
これは、主要各国共通の懸念となっている。
言わずと知れた6カ国協議参加国の
米国、中国、ロシア、韓国、日本。
それにアジア太平洋経済協力会議(APEC)に加盟する
タイ、シンガポールなども足並みをそろえている。
核問題をめぐっては、
北朝鮮は四面楚歌(そか)の状態だ。
これは、北朝鮮容認派のみなさんも認めざるを得ない
厳然たる事実である。
二つ目は、ミサイル問題だ。
これに神経を尖らせているのは、
テポドンの射程距離に照らせば
米国と日本の二国だ。
三つ目は拉致問題。
これを本気で主張しているのは、日本だけだ。
ここまでは、金正日政権容認派も、
対金正日政権強硬派も、
認識を共有できるはずである。

さて、問題はここからだ。

日本政府は拉致問題解決を最優先課題に掲げている。
私個人としては、それ自体は自然なことだと考える。
現在進行形で「今」を生きている拉致被害者家族に
憲法で保障された「幸福権」を保証するのは
日本政府としての義務だからだ。
ここで、金正日政権容認派のみなさんとしては
留意しなければいけないことがある。

それは、先の「平壌宣言」において
金正日総書記は、
過去の損害賠償を事実上放棄し、
自らの要求を
「経済協力」の実現に切り替えたことである。
これもまた、議論の余地のない事実だ。
私の指摘にご不満があれば、もう一度
平壌宣言を読み返してみればいい。
自ずと理解していただけるはずだ。
従って、
「拉致派は自らの歴史的責任から目を背けている」
との、さざ波通信常連投稿者の一部主張は
的外れであることが、
これでお分かりになるであろう。

もう一度繰り返す。
北朝鮮中央通信ががなり立てる
「過去の清算」に関する対日要求は
金正日自らの宣言(平壌宣言)によって
解決済みなのである。

逆に拉致問題については
婉曲的表現ながら
「安全上の懸念」を取り除くことは
北朝鮮の責務と位置付けられている。
そして、北朝鮮はそれに対し、
未だに答えを出していない。
これもまた冷厳たる事実だ。
大義は日本にある。
日本は堂々と
拉致解決の重要性を国際社会に
訴えるべきだ。

加えて金正日政権は
一方的にNPTを脱退し、
自らの国民を安全保障上の危機に
追い込んでいる。
こうした独裁国家に対し、
日本が媚びる必要がないのは
当然過ぎる話だと、私は考える。

他方、中国外交の成果なのか、
あのブッシュ政権が
北朝鮮の核武装解除の見返りとして
金正日体制を
「文書」において保証しようとしている。
これは重要な転機だ。
米国プラス日ロ中韓各国による
「北朝鮮・核武装解除構想」が進むことを期待したい。