2003/10/25 未来派、50代
韓国は平和的朝鮮半島の統一をめざして北朝鮮との経済協力、文化交流を積極的に押し出していますが、北朝鮮は同胞の立場で反米を呼びかけたり、「反北朝鮮の政治組織を解体しろ」などとそれを最大限政治に利用して韓国政府に揺さぶりをかけています。(北朝鮮政府は韓国からの経済支援を求めるばかりに、自らが朝鮮半島の統一を望んでるとは思えません)
先のテレビで見る中国国境あたりの闇市場の様子を見ると、北朝鮮の経済は敗戦直後の日本の闇市やソビエト崩壊時のマフィヤ横行のように、もはや統制の取れない状況になっているような気がします。
そのことから、北朝鮮の先軍政治の破綻は明らかなのでしょうが、それを核問題を持ち出して政権維持をはかろうとしているところに今日の東アジアの平和を脅かしている現状があります。
もっとも、「悪の枢軸」と名指ししたブッシュが火をつけたものではあるのですが、それに驚いて金日成が「体制を保証しろ」というところなど、かって「国体維持」を降伏の条件にしたような日本の絶対天皇制と似たところがあって、仮に6カ国協議によって北朝鮮の核の脅威が一時棚上げされても、国民不在という点では北朝鮮人民が政治から阻害されている状況に変わりがありません。
その意味では朝鮮半島の民主的統一が東アジアの平和と安全に貢献するものと思われます。(ただし、韓国は経済上の問題で、中国は政治上の問題で金正日政権の崩壊を望まず、中国のような経済開放の方向をめざしているような気がします)
また、日本人拉致問題は先の平壌で日朝共同声明がなされ、5人の拉致被害者が日本に帰ってきたものの、その家族が北朝鮮に残されたまま一年がすぎたにも拘らず日朝交渉が頓挫しています。
北朝鮮の動脈を握る中国の協力を得るのが交渉のパイプを太くするものと思われますが、「靖国神社に毎年参る」と宣言するような首相に協力するのでは国民の反発を招くので「日朝でやってくれ」と突き放されます。(日本政府はアメリカの威と札束を積めば相手が折れると思っているのかもしれません。外務省の方針はわかりませんが、小泉首相の姿勢は外交軽視といってもいいでしょう)
さて、そこで親愛なる我が共産党でありますが、10月22日の赤旗に「北朝鮮問題と東アジア」という記事がでていました。
「日本共産党は平和的解決へ「3つの原則」を主張」として
①北朝鮮が核兵器開発を放棄し国際社会との安定した外交 関係を打ちたてることこそが、北朝鮮の安全保証に重要だ、と道理をもって説得する。
②北朝鮮が、日本人拉致、大韓航空機爆破事件、麻薬などの不正取引などの国際的無法行為を清算し、国際社会の仲間入りを果たすよう促す。
③米国が北朝鮮を核先制攻撃の対象にしていること、北朝鮮が「瀬戸際外交」を繰り返していることは平和への脅威であるから、米朝双方に軍事的悪循環に陥らないよう自制 を求める。
とあります。
もっともなことだと思うのですが、その道理あり主張に基づいて共産党中央はどのような「説得」をしたり、どのような「促す」行動を行っているのでしょうか? 中国共産党や朝鮮総連にパイプがありながら、北朝鮮問題で討議した話を聞きません。また日本の政府にも何か申し入れをしたのでしょうか?
緒方国際部長がコーランの勉強をされるのもいいですが、何より東アジアの情勢は我が国の問題であり、その当事者としての行動が試されているのではないですか。(ヨーロッパからは中東は近くてもアジアは遠いのです)
拉致の問題は主権が犯された問題であり、日本人の生命と安全を守るために最大限の努力をするのは日本の政党としてあたりまえのことではありませんか。国会ではじめて拉致問題をとりあげ、北朝鮮の国際的無法行為をもっとも批判してきたと自認する共産党が今こそ尽力しなければならないときに政府任せにしているとしか思えない姿勢が国民に不信を与えているように思えます。
また、脱北者の保護と救済を中国・日本の政府に求めていくことは人道問題であるとともに、北朝鮮に渡った日本人・在日朝鮮人の保護の問題でもあります。対話による平和の道は人権問題にしっかり腰の座った役割を果たしてこそ拓けるものだと思います。(中国に対して人道支援を求めることが内政干渉にはならないでしょう)