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能登半島の原発建設挫折

2003/10/31 天邪鬼、60代以上、自由業

 「能登半島珠洲市において原子力発電所断念」の記事が数日前の朝刊に出ていまし た。わたしは三十年以上前絵を描きによく能登半島の先端珠州市の折戸の民宿に泊まっ たものです。その頃は折戸は陸の孤島のような僻地で民宿の親父は「折戸は日本で一 番貧しい所です」とわたしにいっていました。わたしが泊まると民宿の風呂場の煙突 から煙が上がるので近所の人がめったに入れない風呂に入りにきます。そのあと車座 になって四方山話に花を咲かせるのですが、懐かしい思い出です。
 いつしか能登へ行かなくなってしまっていたのですが七年ほど前にまた同じ民宿に 行きました。浦島太郎と言うのかな、親父さんもすっかり老け込んであれほどしょっ ちゅう泊めてもらったわたしを忘れてしまっているのでした。わたしが泊まった次の 日におやじさんとおくさんは「明日大阪へ行くので、あわただしくて何にもできない」 と近所の人にわたしの食事を頼んで運んできてもらったので、大した物を食えなかっ たのでした。
 親父さん夫婦は関西電力の招待で大阪の有名なホテルでとめてもらえるのだそうで す。 
     「どうして、」
 とわたしが聞くと
「わしはこの珠州市の原子力発電所の誘致委員をやっとるのでのう」
 というのでした。
 親父さん夫婦は熱心な創価学会信者です。
 「そんな運動をするのでしたらわたしは二度ときません。それにこの美しい海に原 子力発電所なんかできたらもう誰も観光にきませんよ。」
「珠洲市の穴水の漁民が海が汚染されるといって頑強に反対するのだけれど関西電力 派わしらにうまくgy民を説得してKれと言うのですよ。」
 関電にしてみたら飲み食いさせたり懐に包みを入れてあげたりするくらい安いもの です。
「ところで原発に事故があったらどうするのですか」
「いや、日本の原発は技術が高いから絶対に安全だと何回も聞かされていますよ」
「でもね、絶対に安全だったら東京都のど真ん中に原子力発電所を作れるはずなのに、 自信がないから人口の少ない海岸に作ると考えられませんか」
 だんだん腹が立ってきたので床に入ることにしたが、もう二度とこの民宿になんか 泊まってやるものかと思ったものです。
 珠洲市の原発開発計画が地元住民の反対と電力需要の関係で断念したとの記事を読 んで「ざまーみろ」と思いました。
 原発は核兵器工場にすぐに転化できるし、逆に戦争になったら最も攻撃対処になる ところです。だからドイツもフランスも原発を無くそうとしているのです。なぜなら ヨーロッパも戦乱の時代に三度入ろうとしているからです。
 選挙と同じで目先の利益、地元が潤うかのごとき餌で各地に原発が作られてきたが 反対運動の限界性は事故の危険ばかり訴えてきたことだと思います。それでは住民エ ゴに負けるのです。もっと大きな観点、侵略的な日本の核武装として捕らえるならば もっと大きな運動になると思います。