がんばれない共産党員です。
丁寧なご返事ありがとうございます。ウナギ犬さんの思いは大変良く分かります。しかし、
私は「北朝鮮を孤立させるべきでない」という結論に至りました。
しかし、金正日政権を経済制裁で崩壊させようとした時、軍事的暴発が起きてしまう可能性は、無視できるほど小さいものでしょうか。
私には、どうしても無視する事が出来ないのです。
チャウシェスクが人民に殺害されたように、政権の崩壊で殺されるより、戦争を起こしてプライドを満たしつつ死を選ぶ、ということは本当に無いのでしょうか。
私はどうしても、その危険性を考えてしまいます。
推察するに、失礼ながらがんばれない共産党員さん自身も、心の奥底では危険性を無視することが出来ないのではないでしょうか。
暴発の危険性については、ここ数年私も大変心配していました。多分、核兵器も所有していることでしょう。日本や韓国に届くミサイルも数百発持っているでしょう。断末魔のやけくそにこれらのミサイル発射をする可能性は0%ではないでしょう。
しかし、この点に付いては韓国に亡命した北朝鮮幹部のファン・ジァンヨブ氏や、多くの脱北者たちの証言から見ても考えられないのです。金正日は自らの保身については極端に過敏な性格なのです。
私としては「心の奥底では危険性を無視することが出来ない」ということは無いのです。金正日を正しく追い詰めれば暴発は防げると思っていますし、この道しか無いように思います。
金正日はこの1、2年の間に中国・ロシアと、今まで一度も訪問したことの無い超大国ロシアと中国へ頻繁に助けを求めて行脚を行っています。それも飛行機ではなくシベリア鉄道などを利用して。飛行機ではいつ打ち落とされるか分からないので、自分の親衛隊を何十人も従えて行ける列車の旅を選んだのでしょう。それぐらいアメリカが怖いのだと思います。
私には金正日が「プライドを満たしつつ死を選ぶ」とは到底思えません。金正日のプライドとはそんな崇高なものではないでしょう。彼は「国を守る」「人民を守る」「父の意思を継ぐ」「共産主義を守り抜く」というような、そんなリッパな闘士でしょうか。自分だけが助かりたいだけなのです。そのためには何万・何十万の人民が飢えて死んでも自分だけは助かりたいのだと思います。
「プライドを満たしつつ死を選ぶ」と言うことは、共産主義や主体思想、朝鮮民主主義人民共和国に誇りを持っているから出来ることです。彼にはそんな誇りも見栄もありません。とにかく今の現状(政権)を維持しつつ危機から逃れたいだけと思われます。
脱北者からの多くの発言・文献から見えて来る北朝鮮の国家体制と金正日の性格は、戦前の天皇制・日本軍国主義を数十倍強力にしたような体制だと思います。
日本の支配勢力は敗戦とともにあっけなく崩れ去ってしまいました。その後の彼らの遍歴はアメリカ一辺倒です。鬼畜米英は何処に行ってしまったのでしょうか。国体護持(天皇制の維持)のためには見栄も外聞もなかったのです。この間の日朝会談や6カ国協議などに見られる北朝鮮の虚勢とは裏腹に、その弱さが露呈していると思います。恐れるには足りません。
しかし現実の、金正日政権の非道さを許すことが出来ず、「金正日政権を潰す」という選択肢以外の手段を、許すことが出来ないのではないでしょうか。
私は、がんばれない共産党員さんの主張の中に、やや強引な部分を感じることがありました。
それは、「金正日政権を許す事ができない」という結論に、反対する余地を与えたくないという、姿勢の現れなのではないでしょうか。
例えば、がんばれない共産党員さんの、金正日政権には国民的支持は全くありません。タダ恐怖だけで支配をしているのです。という部分は、私は事実とは異なると考えています。
私は以前ニュース番組で、韓国に脱走した元北朝鮮軍人(女性)のインタビューを見たことがあります。
彼女は脱走する数年前までは、国家への忠誠を誓っていたそうです。
「北朝鮮の軍隊は最強」という情報も、それまでは信じていたそうです。
他にも、国際大会に出るようなスポーツ選手への扱いの報道なども、ただ恐怖だけで支配してるのでなく、「極端なアメとムチ」という感じでした。
北朝鮮国内では、金正日政権に対する不満だけが渦巻いているとは、私には思えません。
優遇的な扱いを受けている階層も存在するでしょうし、平均的に、国家と政権への忠誠心が弱いとは、私には思えないのです。
私は「金正日政権打倒」や「一刻も早く特定の政権を潰す」とは一言も言っていません。ただ、日本人妻(夫)を帰せ、在日帰国者を帰せ、拉致被害者を返せ、収容所を解体せよ、核兵器を廃棄せよと言っているだけです。
今、北朝鮮に対してまともなことを主張すれば、全て北朝鮮崩壊に結びついてしまうでしょう。金正日体制には生き延びる根拠はもはや何も無いのだと思います。その結果として暴発や政権崩壊があるとしたら、それは仕方の無いことです。
北朝鮮はソ連や東ドイツ、東欧、中国のように政権交代がソフトランディングできるとは思いません。これらの国は、ソ連=スターリンからフルチチョフ、そしてゴルバチョフへと、中国=毛沢東から{ケ小平と政権が移ってきましたが、しかし金政権は金日成から金正日へと権力を世襲してしまったのです。これは完全に封建制度以外考えられません。
「北朝鮮国内では、金正日政権に対する不満だけが渦巻いているとは、私には思えません」
私もその通りだと思います。しかしこれも戦前の天皇制に対する当時の日本人の思いと全く同じです。
それと、中国やロシアの北朝鮮への対応も、私の考えとがんばれない共産党員さんの考えとは、かなり違うと思います。
「金正日政権が世界のお荷物になっている」という見方は、多分正しいと思います。
しかし、それを改善する手段として、経済制裁をあえて選ぶとは、私には思えないのです。
私は「経済制裁」についても否定していません。今現在苦しんでいる人たちへの胃袋に入る支援をしなければ何の意味も無いと言っているのです。もし、NGOが、北朝鮮当局の指示に従わず、一人一人の国民のために食料を配布すれば、それだけで金正日政権は崩壊するでしょう。それぐらい統制は厳しいのです。24時間監視しなければ人民の胃袋に食糧は届かないのです。
もし、こんな監視をNGOがすれば当然当局と対立します。だから、今まで多くのNGOが北朝鮮から撤退したのです。
がんじがなめの体制を我慢し、暴発を防ぐということは、これらの被害者に「いくら人が死んでも今はとにかく我慢せよ」というのに等しいことだと思います。
ウナギ犬さんと私の意見の違いはどこから来るのでしょうか? 「座して死を待て」と言うのでしょうか? そんなに傍観していてもいいのでしょうか。私は決して敵(金正日政権)の力を見誤っているとは思えないのですが。
アメリカのイラク侵攻だって、もしイラクに石油が無く、もしイラクがアメリカに隣接していたら、あり得なかった事でしょう。
アメリカ本国に反撃が届かず、石油と中東への進出という旨みがあったからこそ、成立したのではないでしょうか。
この点はその通りです。だから、アメリカは北朝鮮に手を出さないのです。何の利益も無いからです。
中国やロシアは、北朝鮮への対応を「急ごう」という必要性を、感じていないと思います。
むしろ圧力をかけることの方が、リスクが高いと考えているのではないでしょうか。
ひとつには、やはり北朝鮮が暴発するのではないか、ということがあります。
わたしは、中国やロシアは北朝鮮の暴発をさせずに崩壊をさせるため知恵を張り巡らしていると思います。ただ、「急ごう」という必要性も無いと思います。様子を見ているのだと思います。
もうひとつ、金正日政権を圧力で潰したとして、北朝鮮国内が、内戦状態に陥る可能性もあるのではないでしょうか。
北朝鮮は、質はともかく量では相当の軍事力を持っていますが、その統率が失われずに次の政権へと受け継がれるか、それも問題だと思います。
これは無いと思います。北朝鮮の軍事力は非常にいびつで、核兵器は開発したがその研究者を食べさすことも出来ないという、非常にもろい体制なのです。
戦時中の日本は戦艦大和やゼロ戦を作り一方で竹槍を使って「欲しがりません勝つまでは」と言ってたことや、ソ連が宇宙開発でアメリカを追い抜いたが、足元の国民の生活はボロボロだったのと同じことです。あまりにもいびつなのです。決して内戦状態にはならないと思います。
金日成と金正日はあまりにも多くの人を殺してしまいました。もはや、彼らを美化する根拠も無くなっていると思います。