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一般投稿欄

日本共産党の愛国主義

2003/10/5 大塩平七郎、50代、労働者

 最近、日本共産党のサイトを閲覧していて、参議院比例代表候補者一覧で、注目すべき記事に行き着きました。それは、中央委員会政策委員安保外交部長という重職にある松竹伸幸氏のホームページ所載記事です。
 同HPの「発言・提案」のページで閲覧した貴重な記事を以下に引用し、そこから敷衍される愛国主義的思考を紹介したいと思います。

 「発言・提案」の記事はいずれおとらぬ力作ですが、とりわけ瞠目すべきは「有事法制はどうなる」でしょう。 その冒頭は次のように書き出されます。

「日本を守るのは当然のことです。私は、日本が侵略されるようなことがあれば、日本共産党の一員として、侵略を打破するたたかいの先頭に立つ覚悟があります。第二次大戦のときも、ドイツや日本の侵略をうけた国では、共産党員がいのちをかけてたたかった記録があります。」

 実に勇ましくも頼もしい発言です。「日本を守る」とか「日本が侵略されるようなことがあれば」とかを何の吟味もなく共産党員が発言できるところに、<時代はもうここまで来てしまったか>という感慨を起こさせるのに十分です。
 いったいどこの国家が、何のために、どのようにして攻めてくる現実的危険性があるのでしょうか(キタチョウセン!?)。その検討もなく、また、ニッポンに駐留する米軍や我が自衛隊がアジアで演じている役割についての検討もなしに、有権者に向けた政見冒頭に、このような言い方で、愛国主義の証明(覚悟)とヒロイズムを開陳する発想に唖然とさせられます。

「法律の整備という点でも、実際に必要性のあるものなら、私たちはすべて否定するつもりはありません。たとえば、2001年秋、北朝鮮の不審船が大きな問題となり、犯罪容疑のある不審船の船体射撃を可能にする法案(海上保安庁法改正案)がだされたとき、日本共産党は賛成しました。」

 この見解は、交戦権の積極的肯定と同義でしょう。どうやら、愛国主義の前には、交戦権を否定した憲法第9条も無きに等しいようです。「実際に必要性のあるものなら、私たちはすべて否定するつもりはありません」というからには、これからも、<良い有事法制>づくりには協力するということを意味しています。

「そもそも、有事法制推進論者の主張、攻められたときの際の<ママ>法制が日本にはないという主張は、まったくの虚構です。54年につくられた自衛隊法は、まさに、有事に自衛隊がどうやって出動するのか、国民の協力を求めるのか、その基本を定めています。」

 待って下さいよ…。攻められたときの法制はすでに自衛隊法で立派に用意されているというわけですね。日本共産党によって、自衛隊法は「虚構」ではなく現実的で有効であり必要であると認知されていることになります。とすれば、我が日本共産党によってオーソライズされた自衛隊法と自衛隊が求める「国民の協力」には、当然、国民の皆が応じるべきだと日本共産党は主張するということになります。もし応じなければ、日本共産党によって非国民の烙印を捺されるおそれが十分にあります。

「こんど成立した有事3法案は、この自衛隊法の足らないところを補うようなものではありません。自衛隊法の核心部分を変質させるものです。武力攻撃をうけたときに出動するという自衛隊法の規定は、攻撃をうける以前から出動できるよう、変質させられました。防衛庁長官が都道府県知事に「要請」し、納得を得て国民の協力を得るという規定は、都道府県知事に強制し、国民には罰則を与えて協力させるとさせられました。」

 「足らないところを補うようなものではありません」という言説は、足らないところを補うものは必要と言っていると解するのが自然です。上記のように、自衛隊法は虚構ではなく、自衛隊法と自衛隊は当然保持し守るべきものだという見解からも、このことは裏打ちされます。そして、「足らないところを補うようなもの」は、今後とも、日本共産党によって承認されるだろうということも、当然に導かれます。有事3法案に日本共産党が反対するのは、「攻撃をうける以前から出動できるように」した点と、「納得を得て国民の協力を得るという規定」にかえて、「強制し」「罰則を与えて協力させる」とした点にのみあるということを肝に銘じておかねばなりません。

「もし、ほんとうに日本が攻められたなら、私だけでなく国民の多くが自発的にたちあがると確信します。しかし、政府が考えている戦争は、そんな戦争ではない。イラク戦争のように、国民多数が反対するような戦争を想定しているから、強制力を行使する必要にせまられたのです。アメリカの違法な戦争への参加法なのです。」

 <ほんとうに日本が攻められたなら>、強制するまでもなく、松竹氏だけでなく、勇敢な日本共産党員はもちろん、国民の多くが自発的にたちあがるというのです。その前提に、上記の通り、我が日本共産党による、自衛隊と自衛隊法の保持遵守方針があるのですから、我が自衛隊に果敢に戦ってもらうことが当然に期待され、これに、一部の非国民を除いて、多くの国民が自発的にたちあがり協力することが確信されているのです。

 非国民の一員であり臆病で卑怯な私などは、日本共産党のこれほどまでに「雄々しく」も見事な愛国主義と自衛隊擁護論を、およばぬまでも、せめて拳拳服膺(けんけんふくよう)していきたいと思っています。