明るい会様が「ゴータ綱領批判」について何度も記述しておられるので私も勉強していました。正確には「ドイツ労働党綱領評注」で50ページほどの短いものですがほかに1.エンゲルスの手紙、2.国際労働者協会創立宣言、同規約。3.全ドイツ労働者協会綱領(ブラウンシュヴァイツ綱領)4.アイゼナハ綱領 5.ゴータ綱領草案 6.ゴータ綱領 7.エルフルト綱領 8.ブラッケの手紙が一冊になった岩波文庫です。望月清司 訳
非常に含蓄が深く考え考えして、少しづつ読んでいるとひと月かかってしまいました。私は離党者ではあるが今度の党大会で提出される「綱領改定草案」を読んで離党した1974年の頃の右翼日和見主義の党がここまで転落したかの感を深めるのでした。一言で言えば「労働者階級の前衛党」は前の大会で放棄したのですから共産主義者の党ではなくなっているのですが、23回党大会をもって実質的に共産党は消滅すると考えます。なお日本共産党を名乗るならば40万党員と言う財産を党指導部が略奪したことになります。共産主義の実現に向かって闘うことを放棄したのであれば党名を変更しなければならないし党内にそれを求める声があります。
今、このさざ波通信では党の再建のために色々の角度から意見が出されています。また党綱領の批判論文が編集部から発表されました。これは私見ですが必ずしも正しいとはいえないが、たたき台として重要です。私の異論は民主主義の戦いが社会主義革命の前提であると言う部分です。批判論文の前半を印刷して置けばよかったので引用できないのはつらいことです。もう一度期間を決めて全文を出してほしいものです。
だがこのような批判の積み重ねだけでは党が再建されないと考えます。再建のためであれ、反旗を翻して前衛党を創造するのであれ綱領が必要になります。われわれはどのような社会主義、共産主義を目指すのか、そのためにどのような道を選択するのかそれが綱領です。
私が党を知ってから今日まで党の方針を批判し反対して多くの同志が離党し除名されてきました。宮本顕治は党の最高幹部になってから党内民主主義を抑圧し、不必要なまでに党員の批判意見を抑圧しながら、支配権を確立していきました。討論の自由は完全に奪い去られています。一人の頭脳が40万人の頭脳を支配してきたのです。逆から言えば40万人の頭脳は一人の頭脳に預けられてきたのです。このさざ波通信は「党内問題を党外に出す」ために党規約違反なのです。元来党内民主主義の制約、中央集権主義は敵権力の攻撃を防衛するためのものです。しかし革命を放棄した党を弾圧する価値もスパイする価値もないので、党内民主主義をこれほどまでに制約することは党を最高幹部が私物化するためのものでしかなく、これがスターリン主義の一つの表現形態です。
党を批判し反対した者のすべての人が除名されるか、離党に追い詰められたのですが、私もその一人で本当のマルクス・レーニン主義の党を求めていました。そして優れた理論性をもった方の現れるのを待っていました。しかし私の知る限り除名された人々はヒステリックになったり、挫折感に沈んだり、ともかく理論水準が低いのとたとえ優れた理論家であったとしても人格的に問題を感じさせる人々でした。あるいは構造改革やさまざまな論などはまったくマルクスと無縁でした。聞かされるのは日本共産党に対する恨み節ばかりで品性がないものも多かったと思います。何よりも大切なことはなにを求めどのように闘うかという方針、つまり綱領です。党の真剣な再生を求める場合も党綱領草案を干からびたものに見えるほどにする、マルクス、レーニン主義に立った優れた綱領が対置されねばならないと思うのです。まだ私はこの国にカール・リープクネヒト、ローザ・ルクセンブルグを見つけていません。
しかし、このさざ波通信に反映されている像を深く読むならば日本共産党は堕落した排外主義者をも抱える烏合の衆に近いと思わせられます。一体一つの党の中にこれほど思想の違うばらばらな人々を抱えることが何故できるのだろうかと思います。しかし党を大きくすることがスターリン主義の常套手段です。なぜならば党が最も苦しいときに質の高い党員が、増大した質の低い党員によってその存在がよわめられるからです。この方法で党全体に個人支配ができる手品があるのですのです。このような気持ちでゴータ綱領批判を読んでいるとマルクスの起草になる「国際労働者協会創立宣言」に触れることができました。素晴らしい内容でこれこそが共産主義者の綱領の原則だと思わせられたのです。
P155「労働者階級の開放のためにさまざまな国民の協力が、必要となるならば、犯罪的な目標を追及し民族的偏見を煽り立てて略奪戦争に人民の血と財産を注ぎ込むような対外政策によって、どうしてこの偉大な開放の使命を達成できようか? 西ヨーロッパが、奴隷制の永遠化と普遍化のための十字軍を大西洋のかなたに派遣せずにすんだのは、支配階級の賢明さのおかげではなくて、支配階級のたくらんだこの犯罪的愚行にたいするイギリスの労働者階級の英雄的抵抗のおかげであった。コーカサツ山塞がロシアの餌食になるのを高見から見物しながら、ヨーロッパの上層階級がしめした恥知らずな喝采、見せ掛けだけの同情、白痴的な無関心。その頭をサンクトペテルブルグに置きその手をヨーロッパのあらゆる内閣に伸ばしているこの野蛮な権力の大掛かりな、無人の野を行くごとき侵略。これら一連の事実は労働者に次のことを教えた。すなわち、国際政治の秘密に精通すること、それぞれ自国の政府の外交的行動を監視し、必要とあればその行動を妨害すること、阻止できない場合は各国いっせいの弾劾行動にたちあがること、こうして私人の関係を律すべき道徳と正義の単純な・・・(文字化け)・・・。
このような対外政策を要求する闘争は、労働者階級の開放をめざす全般闘争の一環をなすものである。
万国のプロレタリア団結せよ!」
「国際労働者協会一般規約」より
第七条
・・・国際協会の会員は、各自の国のばらばらな地方的小団体と交渉を持つことによってでなく、根本的には各国労働者団体中央指導部と交渉をもてるかどうかによって決まるのであるから、国際協会の会員は、各国のばらばらな労働者諸団体を全国的な統一体に結合するよう、最大の努力を払うべきいである。
もっと多くを書きたいのですが疲れました。ようするに国際主義についてのマルクスの一文です。
年表が手許にないのですがこの頃1870年、第一インターができ、89年第二インターができるのでるが第1次世界大戦を前にして、「第二インターナショナルの崩壊」。1919年第三インターができます。しかしそれがコミンテルンに置き換えられ、スターリン主義の党に世界の共産党はなっていったんではないでしょうか。そして1960年ごろ87カ国共産党、労働者党宣言を最後に国際主義は失われていったんではないでしょうか。同時に日本共産党は自主独立路線の名のもとに、民族主義、愛国主義の党になりここにおいてマルクス主義と決別したのです。そしていまやインターナショナリズムどころか排外主義の党に転落したと私は考えます。
しかし党の再建を考える人ははまず第一に国際主義を外してはならないと思います。なぜならばイラク戦争と平行して朝鮮戦争が間近に迫り朝鮮、韓国労働者階級と連帯しなければならないからです。今はまさに第三次世界戦争の入り口に入ったように私は考えます。国際主義が今日最大の課題です。
だが世界一強い労働組合が韓国にあり、韓国労働者階級が日本の戦いにれ対して戦ってくれています。しかも、国際反戦組織A.N.S.W.E.R。が新たなインターナショナルとして強大な力を見せています。私たち心あるものははここに結集すべきだと考えます。