フジテレビの番組自体は見ておりませんが、参考になればと思い、私の意見を述べたいと思います。
とけいさんは、
「なんで除名したの?」と問いました。返答は党が発表している事と同じです。「党員としてではなく、お父さん本人の言葉としてはっきり嘘だといえるの?」とまで言いました。
と、言われております。
それに対するお父様のご返事は書かれておりませんが、とけいさんが納得されていない事からすると、それ以上の発言は、特に、なかったものと思われます。
ということは、「党(中央)は、こう言う見解だ、それ以上でも、それ以下でもない。」という風に理解されればよろしいかと思います。
つまり、特別な地位になければ、一般に公表されている事以外、党員も情報はないわけです。
もし、とけいさんが、兵本氏の発言自体をご存知なら、それらについて、具体的に尋ねられれば、お父様もご存知の事は、きちんとお答えになられるでしょう。
あなたも、ご存知のように、中央は、
兵本達吉氏の除名については、1998年5月に東京・赤坂の料理屋で警察庁の警備公安警察官と会食し、かれが国会議員秘書を退職した後の「就職」あっせんをしてもらうための「面接」をしていたことが、日本共産党の規律にふれたとして除名になったのが真相である。
兵本氏も1998年の上記時期まで拉致問題にかかわってきており、いうまでもないが、なんら規律問題になっていない。日本共産党では、日本共産党の党内にスパイを送り込んだり、党員から情報を獲得しようと卑劣な手段をとる警備公安警察にたいする態度にはとくに注意をはらっており、個人的に接触することが禁止されているのは当然のことである。
と「訂正放送の請求」という記事で述べております。
また、「“ガセネタ”と一体になった公明党・2002年11月24日(日)・しんぶん赤旗」という兵本問題に関する見解も出ております。
その趣旨は、兵本氏の、「文芸春秋」の発言と、「議連」での発言との矛盾――
(1)誰から、北朝鮮幹部に会いに行こうとして、“止められた”のか、ということ。
(2)「会ったのは警察官だけではない」という兵本氏の発言について、党中央は、「ウソ」であると言っていること。
(3)「拉致問題を調査するプロジェクトチーム」なるものが政府のものなのか、自民党などのものなのか、ということ。
これら、3点についてであると思います。
詳しくは、共産党ホームページに出ておりますので、そちらをご覧下さい。
私は、兵本氏の人となりを知りませんので、人物評価はできません。ただ、第三者が考えなければならない事は、事実は何なのか、という事でしょう。
(1)に関しては、通信記録などが残っていれば別ですが、何の証拠もなく、事実はわかりません。
ただ、「不破委員長の秘書室」から呼び出しがあった、ということと、「不破さんから直々」に、行ってはいけないといわれた、という事に、矛盾と言えば矛盾かもしれないが、どれほどの矛盾と言えるのか。
普通の会話では、社長秘書から呼び出しがあれば、社員同士では、「社長、直々に、呼び出しがあったよ。」ということは、十分あり得る事であると思いますが。
(2)については、兵本氏は「文芸春秋」で、
「内閣官房や外務省の官僚もいた。」「私から採用の依頼などしていない。働いて欲しいと言ったのは政府当局の方である。文書(除名通知書)からはプロジェクトチームや内閣官房、外務省といった言葉が意図的に消されている。」
と述べています。
しかし、中央が述べている兵本氏の「ウソ」という見解に対して、兵本氏からは、その後、具体的な反論はない様です。
本当に、内閣官房や外務省のどなたかがおられたのなら、名前を挙げて、反論すれば、はっきりと、党中央の方が「ウソ」をついていると証明できる筈です。
にもかかわらず、反論されないという事は、自分が嘘つき呼ばわりされても構わない、と思うくらいに、余程、名前を挙げられない事情がある場合か、兵本氏の発言が、ウソであり、反論できないという場合でしょう。
前者である場合も、ないとは言えませんが。
しかし、次の(3)に関して、
「私が紹介された仕事は拉致問題を追及する政府のプロジェクトチームへの参加」だったという「文芸春秋」の発言と、「当時、自民党や新進党の中に、拉致問題を調査するプロジェクトチームをつくる必要がある、との議論があったようで、私にも『退職後、手伝わないか』とのお誘いがあった」との「議連」の発言は、これは、同じ趣旨だとは言えないと思います。
「政府のプロジェクト」と「自民党や新進党」が議論している段階のプロジェクトとは同じではないし、(2)で述べた反論がない事を考えると、ズレがあるように感じられます。
他党と協力する事はありうることでしょうが、このような公安警察が加わった会合に参加する事を、党に知らせずに行動するのは、国会議員の秘書としては、問題が大きいと言わざるを得ないでしょう。
一般党員である学校の教師が、生徒の家庭訪問をして、警察関係の保護者と会うこととは、同じではありません。
実際、党の緒方議員は、公安警察の不法な盗聴行為の被害に遭っており、裁判も勝訴として確定しています。
その他、兵本氏が、家族会結成式について
「(橋本議員は)当日になって逃げてしまった。(記者会見に)出てこなかった」と言ったことに、党見解は、「家族の連絡会は、家族が自主的につくるもので」「橋本議員が記者会見に出る計画とかが、最初からあるはずがない」と述べています。
しかし、家族会結成式に出席しなかった理由については述べられていないようです。国会議員であるのだから、当日行けなかった理由―会議が重なった等―があるのなら、日誌を見れば分かる事であろうし、反論するのであれば、その事についても述べるべきでしょう。
共産党は、フジテレビの件で、裁判を起こしました。
その中で、証拠に基づき、事実関係が、ある程度、明らかになってくるものと思われます。
私達は、現在出ている双方の発言から、矛盾したり、おかしいと思う事を、きちんと比較して、指摘する事ぐらいしかできないし、今は、その経過を見ていく事しかないと思います。
ただ、党が言うように、「完全再現!北朝鮮拉致“25年目の真実”」と題して、テレビで放送するからには、一方のみの取材に基づく番組は公正さを欠き、党が、兵本氏の除名と拉致問題は関係がないと言い切っている以上、訂正放送の請求や名誉毀損として訴える事は、当然とも言えるでしょう。
表現の自由は最大限守られなければなりませんが、誹謗中傷・名誉毀損・プライバシーの侵害などとなる事のないように、特にテレビなどのマスコミ報道は監視されなければなりません。
報道被害のないように、折角、監視機構などが創られていても、制度だけあって、国民の目がしっかりしていないと、いつ自分が被害に遭うかもわかりません。
また、マスコミ各社は、巨大企業として、基本的に、共産党の政策には批判的でありますが、特に、フジテレビ(資本金約600億円)はフジ・サンケイグループとして、産経新聞(もと産業経済新聞)と提携しており、その放送内容は、保守・財界寄りになっていることは、頭の片隅に入れておいた方がいいでしょう。
「笑っていいとも」はよろしいのですが、「笑ってばかりいられない」のが、現実社会です。
兵本問題に関しての私の意見は、大体、上記のようなものです。
とけいさんは、「自ら、共産党が正しいと思った時に選挙で投票しようと思っています。」と言われております。
私は、基本的に、あなたの態度は正しいと思います。
私は、党員ですが、党中央に対して批判的な意見を持っています。(選挙に対する私の態度は、―獏様、そして皆様へ―と題する私の過去ログを読んでいただければ幸いです。)
とけいさんは、お父様が、党員という事なので、「査問」という言葉を聞いた事があるかもしれません。兵本氏も、除名される前に、査問を受けていますが、中央は、不破氏の発言でもありますが、「共産党に『査問』という制度はありません。」と明言しています。(さざ波通信第14号・雑録1――「査問」を歴史から消す不破指導部)
しかし、雑録1を読めば詳しく判りますが、『日本共産党の70年』(日本共産党中央委員会発行、1994年)には、「宮本ら党中央が査問した」「査問中の予期しない小畑の急死」などと、何度も「査問」と言う言葉が出てきます。それ以前の、60年党史においても同様です。あなたのお父様も、お持ちかもしれません。自ら調べて見られたらよろしいかと思います。
不破氏の言葉には、「今は、ありません」とは言ってないので、追及されれば、「昔はあった、昔は、そう呼んでいた」という風に言い逃れできるように、「今は」とも何とも言わずに、ただ、「ありません」とだけ言ったのかもしれません。
しかし、「共産党に『査問』という制度はありません。」ということを、普通聞いた場合、「そんなものは、もともとない」という風に受け止めるものでしょう。
ところが、これは私も驚いた事なのですが、上記の「“ガセネタ”と一体になった公明党」という記事には、「もともと『査問』などというものはありません。」とはっきり、「もともと」と書いてあるのです。今でも、共産党のホームページに出ていますので、見に行って御覧なさい。
これでは、共産党は、ホントに「嘘つき政党」と言われても仕方ないですよね。言い逃れできない、証拠でしょう。この事は、さざ波でも誰も指摘していないようですので、私のこの投稿が、出た途端、中央がその記事ごと、あるいは「もともと」という言葉だけ削除するということも、仕出かすかもしれません。
以前にも、似た事を、やっているからです。
私は、中央のやる事は、いつも、疑問視しています。自分達の党の指導部が、信じられないという事は、ツライものです。
とけいさんには、できるだけ、自分で調べてみる事をお勧めしまです。その上で、自分なりの意見を、みんなに問うようにした方が、説得力があるし、みんなにとっても、意見を出しやすくなると思います。
この党は、あなたのお父様や、私を含め、ここに集う党員たち、全国で様々な形で行動している党員たちから成り立っております。しかも、多くの支持者に、支えられながら。
党とは、そういうものであり、中央指導部だけではない、という事をご理解下さい。
あなたは、お父様を「大好きだし、尊敬しています」と言われています。そう言える事は、素晴らしい事であり、あなたにとっても、お父様にとっても、幸せな事だと思います。
そして、あなたが、共産党の事について、自分の頭で考え、質問されるようになったという事は、きっと、お父様も、口には出されなくとも、我が子の成長を喜ばれている事と思います。
ただ、親子とはいえ、質問が詰問にならないように、気を付けて下さいね。
汝の道を行け、
そして人にはその言うにまかせよ!
K.Marx
「フィレンツェ人の標語より―」
以上、お役に立てれば、幸いです。