小泉内閣によって事実上の「憲法九条破棄」ともいえるイラク派兵が決定された。(それが憲法前文の精神によって理由付けされたのだから何とも皮肉であり馬鹿馬鹿しい話である!)民主党、共産党、社民党は派兵反対を掲げて阻止運動を展開するとしている。
しかし時期は未定ながらもやがて自衛隊はイラクに派兵されて戦闘行為に巻き込まれ死者が出てさらには日本本土そのものがテロの対象となり日本国内が戦場化する場合さえ想像され得るのである。
ではこの派兵を阻止する手立ては無かったのであろうか?実はあったのだ!それは先の総選挙で共産党が小選挙区に候補を立てず自由投票を宣言すれば自民、公明の当選を阻止できて多くの民主党候補が当選して与野党逆転がなっていたとする分析があるからである。(asahi.comの鐸木能光氏の分析「与党218対野党262という試論、共産党の300小選挙区立候補がもたらしたもの」、宮地健一氏のサイトにも掲載)
それによれば皮肉なことに自民党、公明党の勝利に貢献したのは勝つ見込みも無い共産党の小選挙区立候補だったというのである。様々なパターンはあるものの共産党に入った票のある部分が民主党に流れていれば与野党逆転がなっていたのである。そうすれば当然今現在自民党内閣ではなく派兵も決定されてはいないであろう。何と言う皮肉!
もちろん共産党と民主党は政策的にかなりの差があり連立はもちろん閣外協力さえ出来ないであろう。しかしだからといってみすみす自民党に議席を与えていいのだろうか?民主党とは憲法観も違うだろう。しかし民主党は短絡的な派兵には反対を表明していたし少なくとも共産党にしてみれば自民党に働きかけるよりは民主党の方が働きかけやすかったはずである。
しかしこのような見方も共産党には通じないであろう。二大政党制が財界の希望(陰謀?)であり自民も民主も本質的には変わらないとするのだから共産党にはどうでもいいのである。しかし実際その違いがわかっていないのは共産党なのである。
共産党はいつも勇ましく統一戦線だの国民的大運動の展開だとか言う。しかし本当の敵自民党を倒すために立場の違う人たちと本格的に手を取ったことなど一度も無いし自らの戦術の誤りで自民党・公明党内閣を延命させておきながら今更「国民的大運動」などといっても白けるばかりである。
いつの時代どの世界でもそうだと思うが世間が拍手を送るのは自らを捨てて「義」に生きる者達である。それこそが世の中を変え、不正や不義を懲らしめてきたのである。共産党が300小選挙区で自らを捨て「少しはまし」でいいから「義」を訴えれば今現在日本の政治状況は変わっていたのであろうし世間は共産党に拍手を送ったであろう。
私は共産党は歴史的消滅段階に向かって突き進んでいると思うので今の共産党に「自分を捨てる」事など期待もしないが今の共産党に求められることは消滅の寸前に光を放って「死に花」を咲かせて「義」に貢献することである。すでに先の総選挙という大きなチャンスを見送ってしまった。残されたチャンスは来年の参議院選挙と次期総選挙である。全ての共産党員、とりわけ幹部達はその歴史的責任を痛感すべきである。