自衛隊をイラクへ派遣する基本計画がついに閣議決定されました。これで、国際社会での日本の役割は、単なる米英侵略軍寄り、から、米英軍の補完部隊、となってしまいました。自衛隊派遣当日に東京でテロを行う、という無気味な予告もなされています。
さて、そういう今だからこそ、イラク問題の解決の道筋を知恵をしぼりあわねばなりません。ハート・オブ・ゴールド様から、去る11.25の衆議院予算委員会での共産党赤嶺議員質問に下記のコメントをいただきました。
>赤嶺質問は、横暴な米英軍の占領統治から国連中心の復興支援へ移行の手順、
>プロセスをどうするかという問題について、小泉氏がなにも考えていない事の証左
>にはなった16分間だったとはいえませんかねー?。
上記は、私が見落とした点であり、ハッとする問題でもあります。残念ながら、赤嶺氏の質問は
あまりに拙劣と感じられ、上記の点を鋭く小泉氏につきつける形ではありません。
しかし、日本が、戦闘地域への「復興支援・人道援助」を大義として派遣することが決まった
今、解決のオプションが減ったと感じます。すなわち、米英軍が見通しのない駐留占領を続け
もとで、上記の大義での派遣を決めてしまったわけです。
「国連枠組み」論はしばしば言われますが、PKO,PKF等の国連自前の平和維持活動自体が
うまく機能した自体は実は意外と少ないのではないかと思います。さらに、イラクでは a.国連代
表本部が武力攻撃の対象となりデメロ代表自身殺害されたころ、b.占領支配を続ける米英が国
連安保理常任理事国でかつ国連枠組み解決に消極的なこと、から、国連の場での話し合いで
の枠組みづくりは極めて困難です。
PLO-イスラエルの一時的な平和的解決に寄与したノルウェー(オスロ合意)のような下準備
がさらに必要でしょう。実は、自衛隊派遣を決める前の日本は、米英とも友好的・イラク人
とも友好的・(今回の事態で分断的対応している)NATOやEUともある程度友好的、ということ
で、仲介役割が果たせるのでは??、と期待しておりました。実際、カンボジア、アフガニスタン
の内戦解決では日本がそれなりの役割を果たしました(もちろん従米の枠内でしたが)少なく
とも国連枠組み外の自衛隊派遣はしませんでした。
したがって日本を含む各国の平和運動には、米英等の撤兵を先に掲げ・同時にイラクの人びと
の主権回復を求める運動が必要となるのでしょう。
米英軍の撤兵は難しいのでは?、とのご異議があるかもしれませんが、実は意外と簡単かも
しれません。両軍とも「大量破壊兵器疑惑の解消」が大義だったのであり、「半年以上探したが
我々は見つけられなかった。だから、国連査察団に仕事を戻す」。これで、体面は十分保たれ
ると思います。
このような議論を避ける小泉(自公)「米英占領下の自衛隊による復興支援」論、民主党の「国連
枠組みができればPKO法を緩めて自衛隊を派遣する」論、共産党の「米英軍の責任での治安回復優先、
国連枠組み成立までの駐留容認」論、はどれも、各方面への損害ばかり多くて肝心のイラク人・派遣
もとの日本人にはなかなか納得のゆくもの、と感じられません。
私の空想的方策:イラク人の自尊心回復と自力再建を促すために、派兵を実施前の日本・非派兵諸国がイラク人留学生を多数受け入れて平和的再建の基礎を作る支援はどうでしょうか? 侵略やテロでは社会の再建はできないと思います。