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未来を準備する仕事--「れんだいじ」さんへ

1999/5/2 吉野傍、30代

 前回に引き続き、「れんだいじ」さんの3つ目の投稿に対する異論を述べさせていただきます。
 「れんだいじ」さんは、「公明党率いる創価学会は、各地に会館造っているけど、共産党は紙爆弾ばかりで、労働者会館の一つも造っていない」と述べています。
 たしかに、創価学会は各地に信じられないほど立派な会館を建てています。しかし、貧しい学会員から財務と称してお布施を搾り取りながら、このような絢爛たるハコものづくりに精出す姿はまさに、この宗教組織の堕落と腐敗を象徴しているとしか思えません。共産党がこのような会館づくりに走らなかったことは、この党の最低限の健全さを示しています。
 「れんだいじ」さんはさらに、「資本家は、商工会議所とかロータリー・ライオンクラブで結束をかためているというのに。これでは勝負にならないでしょお」と述べています。立派なハコものとは別に、本当に一般民衆にとって必要な施設や組織づくりに関して言えば、共産党の右に出る政党はありません。
 たとえば、党員の医者や労働者たちが中心になって、戦前の弾圧のなか、および戦後の焼け跡のなかで、初期の無産医療運動から現在の民主医療へと営々と築き上げてきた医療運動は、今や全国に154の病院と410の診療所、82の歯科医院、429の準ずる医療施設、235万もの共同組織、3000人の医者と、1万3000人の看護婦、4万人以上の医療労働者として結実しています(98年時点)。見た目が豪華なだけの会館なんかよりも、患者の立場に立ち地域に密着し福祉切り捨てと闘うこのような医療施設と医療組織を全国くまなく作り上げることの方が、はるかに困難であり、はるかに有意義ではないでしょうか。この医療活動は、選挙での票獲得などという狭い目的のために存在するわけではありませんが、選挙においてももちろん、たいへんな力を発揮しています。
 さらに、阪神大震災のとき、被災者救済のために、現地の民医連の病院が、半壊状態になりながらもフル回転したのみならず、民医連は文字通り全国動員をかけ、日本中からカンパと手弁当で1万人以上の医者・看護婦・医療労働者・奨学生らを現地に派遣しました。彼らは、被災地の中を歩き回り、瓦礫の中から被災者を救い出して、無料で治療にあたりました。その中心を担ったのはもちろん共産党員です。また薬害エイズの運動でも民医連とそこに結集していた青年党員が大きな役割を果たしたこともよく知られています。
 共産党員たちが他の多くの人々と協力して地道に作り上げた組織は、もちろん、民医連だけではありません。商工会議所に負けずとも劣らない全国的な草の根組織として、民商・全商連があります。さらに土建組合、全労連、生協、等々、等々です。
 もちろん、これらの組織の現実は、それが掲げる理想や理念からは矛盾しています。多くの欠陥、官僚主義、そしてしばしば利益主義にさえ侵されています。それにもかかわらず、それらは単に現在の社会を転覆するテコであるというだけでなく、それ自身のうちに新しい社会の萌芽を宿しているのです。マルクスは、生まれたばかりの新しい社会はなお旧社会の母斑をとどめていると言いましたが、旧社会の中にとどまっている新社会の萌芽となれば、それこそ旧社会のあらゆる弊害にむしばまれることは避けられません。しかも、それを構成しているのは生身の人間であり、種々の誤りや欠陥やあるいは醜い部分をも必然的にともなうでしょう。したがって、これらの「民主団体」に対しても、共産党に対してと同じく、その構成員は絶えず、それの掲げる理念に照らして批判し、誤りを正し、欠陥を是正しなければなりません。とはいえ、それでもそれは、新社会の萌芽なのです。 発達した資本主義社会においては、その変革を志す組織は、単にその社会の転覆をめざすだけでなく、旧社会の中で未来社会の組織的準備をもしなければならない、ということについては同意いただけるでしょうか? とすれば、何十年もの間、無数の人々の血と汗と努力の結晶であるこれらの組織、施設、制度を守り発展させることなしに、いかなる革命も考えられません。
 以上のように私は考えますが、「れんだいじ」さんはどう思われますか?