どうもこんにちは。川久保さんはとにかく政権を取る事が大事であって、そのため今の柔軟路線を支持する。そして民主党などの社民勢力を取り込んで政権を構成しよう、との主張をされました。
その考えはよく分かりますし、結局、政権奪取の戦略としてはそこに落ち着くのではないかなとも思えるのですが、それだけで済む問題かなあとも思えるのです。というのは、保守政党どうしの政権交代と違い、仮にも弱い立場にたつ階層を主たる支持基盤にする政党が連合して、政権を担当するわけですから、(共産党単独の政府は全く考える事が出来ませんから)いろいろな問題が出ると思うのです。
鳩山一郎の孫二人の政治運動に”連合”の組合費が流れる事に組合員たちが反対するとのお話ですが、現状として反対運動が起こる事はすくなくとも”連合”内部では考えられないでしょう。国家独占企業に働く人々を主たる組合員として構成されている”連合”はもちろん労働者の利益の擁護者として、立ち現れているのでしょうが、もう一つ別の、体制擁護の労働組合運動の推進者の面も持っているのです。後者の現われが、鳩山の孫二人への支持だと考えられないでしょうか。つまり、機関決定として支持を決めているわけですから、反対する事など実際考えられません、反対すれば、あらゆる抑圧が待っているでしょう。それが、国家独占企業の擁護者としての”連合”の顔です。
さて、そのような多面体の顔を持つ、労働組織をも巻き込んで革新政権を作ろうというのですから(”連合”の支持は是非とも必要ですよね)、困難はなお一層増す事は確かです。つまり革新政権に名を借りた、左の顔をした”保守”政権が成立する可能性さえ否定できないのです。たとえその政権に共産党が加わっていたとしてもです。もちろん政策協定策定などの段階で対立して、その場合共産党は排除されることでしょうが。
問題は共産党が柔軟路線をとって、なおかつ独自の弱者救済政策を貫徹できるかにかかっていると思うのです。柔軟路線をとっているから政権に加われるのではなく、弱者救済の政策を貫徹していて、そしてそれを政策協定で他党と合意してのみ政権に加わることが許されるのではないでしょうか。
柔軟路線というものを政権に加わりたいだけの理由でとる場合、どういうことになるでしょうか? 周りは、”連合”に代表される右翼労働運動体や同じく右翼社会民主主義者が支配する”民主党”などですよ。彼らは一切柔軟路線をとることを強制されていません。共産党の出方次第と、高みの見物ではないですか。
もう、明らかですね。共産党だけが妥協を迫られるのです。一歩下がれば二歩も三歩も内陣に入って来ることは明らかじゃないですか。実は今この事と同じ事が、共産党に起こっているのではないですか。暫定政権でのこととはいえ、日の丸・君が代の容認、天皇制や安保条約の容認。私は何をトチ狂っているのかと言いたいですよ。不破氏はかつて、”マルクス主義の諸問題について”の著作において修正主義との批判をうけ(かの宮本顕治が書記長の時代ですよ)自己批判をしたいきさつがあるはずです。この間違いを再びおかしているのではないかと、私は危惧しているのです。このことで、川久保さんへの最初の返事としたいのです。
さて、2番目の川久保さんの質問の丸山真男氏の共産党への批判のことですが、私、丸山氏の著作を系統だって読んだことがありません。もちろんどのような人であったかは知っておりますが、随筆の一冊を読んだに過ぎないのでよくわかりません。反日共の有力な論者の一人であったことは知っていますが、彼が党内のインテリに対し批判された後も影響を与えたのかは知りません。多分、敗戦を経たにもかかわらず党員個人の自立の後れに対する苛立ちが彼をその立場に追いやったのではないかと思います。スターリンが何を旧ソ連でやっていたのかをいち早く知る立場にあったのではないでしょうか。それがたかが、一東大教授をいまの私たちの記憶にのぼらせているのではないでしょうか。というわけで、丸山氏が共産党において、なんらかの思想的立場をもっていたということは少なくとも私が党にいたときには無かったです。よくわかりません。スイマセン