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半分以上同意しますが…>Kミナトさん

1999/5/17 吉野傍、30代、アルバイター

 長文の反論をいただき、まことに恐縮です。実はKミナトさんの意見に多くの点で同意できるどころか、まさに私の言いたかったところでもあります。
 とくに、共産党が、かつての冒険主義的拡大路線の失敗以後、それについて十分な党内議論を尽くして総括しなかったために、今日、新しい「積み木理論」に陥って、「わずかに各級議員の増加をもって保守政党にすりより取り引きを図っている」現状ではないか、という指摘には、思わず膝を打ちました。まったくおっしゃる通りです。そういう厳しい批判がもっともっと党に対して寄せられる必要があるし、われわれ党員も、党内からそういう批判を提起しつづける必要があります。さもなくば、80年前後における拡大第一主義の路線がもたらした弊害をはるかに越える重大な損害を党と日本政治に与えることでしょう。
 にもかかわらず、私はここで繰り返しますが、戦後の長い地道な努力の中で獲得されてきた党および大衆団体の巨大な成果と陣地に対して、私は誇りを感じるし、それを断固として守らなければならないと考えています。さまざまな欠陥があるからそんなものは意味がない、とおっしゃるのなら、この世のすべてのものに意味はありません。なぜなら、欠陥のないものなどこの世に存在しないからです。
 名もない多くの党員と労働者人民の長年にわたる苦闘の中で獲得された成果や陣地を高く評価することと、それを冒険主義的な、あるいは、成果第一主義的な姿勢で指導してきた指導部を厳しく批判することとは、完全に両立可能であると思います。トロツキーは『裏切られた革命』の中で、ソ連指導部の冒険主義と官僚主義を厳しく批判しながら、5ヵ年計画によって達成された経済的成果を驚くほど高く評価しています。この評価のうちには、達成された成果に対する幻想は微塵もありません。
 また、Kミナトさんは、現在ある大衆団体が「各個人の扶助と生活の改善を主としてい」ると指摘しています。これにも完全に同意します。しかしながら、それに続いてKミナトさんは、その背後にいるのは「拝金主義にまみれ、より得に・より楽にを信条とする小ブルの一群のみ」だと指摘していますが、この規定には絶対に同意できません。あなたの言う「小ブル」って何ですか? 権力も財産もない一般民衆は、この資本主義社会の中で生きていくためには、組織に頼り、相互扶助に頼らなければ生きていけません。それは、エリートたちの、権力をかさにきたエゴイズムとは異質なものであり、庶民のエゴは、この社会で生きていくための「知恵」であり、「したたかさ」なのです。それを否定することは、いかなるエゴも持たない超人たち(つまりは別の意味でのエリート)によってのみ社会変革をしようということでしかありません。そんなものはナンセンスです。
 共産党も民主的大衆団体も、ある意味で相互扶助の組織です。そして、社会主義社会とは、高度な文明に裏打ちされた普遍的な相互扶助組織以外の何ものでもありません。だからこそ、これらの組織は未来を準備するのです。
 もちろん、Kミナトさんとは、マルクス主義の有効性、社会主義の失敗、等々について意見の相違があり、それを論じ始めるとこの投稿の範囲内ではおさまらないので、その点についてはまた別の機会に論じます。
 また、レーニンの『国家と革命』には、共産党の一党独裁についての記述はありません。そこに書いてあるのは、プロレタリアートの独裁についてのみです。もちろん、非常に一枚岩的なプロレタリア独裁像や「一社会=一工場」といった一枚岩的社会主義像がそこでは展開されているので、共産党の一党独裁に行き着いた背景の一つにこの著作があるということには同意しますが、直接には、共産党の一党独裁についての記述はありません。
 最後に、支部を越えた横断的な運動の必要性に関しては、前の投稿でも書きましたが、完全に賛成です。私も党内で何度となく、そうすべきことを主張してきましたが、規約上許されないの一言で却下されてきました。とりわけ、学生支部が次々と崩壊しつつあるというのに、縦割りの組織構造ゆえに、学生支部以外の党員は、まったく援助の手を差し伸べることができません。同じ大学に所属していても、教員であったり、職員であったり、院生であったりすれば、それだけで所属支部が違うので、学生支部に組織的な援助をすることができないのです。かくして、学生支部が目の前で崩壊しつつあるというのに、他の党員はそれをただ手をこまねいて見ていなければならないのです。何というナンセンスなことでしょう!
 しかし、Kミナトさん、このような横断的運動をするためにも、一定の組織的陣地は必要なんですよ。議員も、大衆団体も、党員もほとんど地域にいなければ、横断的な運動など絵に描いた餅でしかありません。