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防衛論議の前提にあるものについて

1999/7/16 れんだいじ、40代、会社経営

 「ぶーさん」の文面の何やらひねった書き方が気になりますが、防衛問題について述べよというコメントをいただいておりますので私なりにお答えさせていただこうと思います。具体的に述べよということですが、この問題を具体的に述べると言うことが難しいし、お望みの具体的な中身がわかりませんので以下のような文面でいかがでしょうか。
 わが国の防衛問題を述べる際に前提とせねばならない重要なことがあります。それは先の世界大戦で大日本帝国が敗北をこうむったことにより、日本はアメリカを盟主とするアングロ・サクソン連合国家に二度と歯向かえぬよう楔(くさび)を打ちこまれているという事実です。国内に数多くある米軍基地は日米同盟の結果の賜物ではなく、日米同盟以外に選択の余地がない今に続く日本占領の橋頭堡として捉えることが的確であるということです。これが戦争に負けたということの重みであり後遺症とでもいうべき歴史の連綿性なのです。戦後日本の占領をめぐってアメリカとソ連が睨み合った形跡があり、良しにつけ悪しきにつけアメリカの単独占領という結果になりました。北海道のソ連占領という分割統治の可能性があったという事実も記憶に値します。戦争というものはそういうものではないでしょうか。最近防衛問題が論ぜられるようになりましたが、軍備増強論者が触れないこれらの敗戦国家としての制限を今に引きずっている事実こそ論議の出発点にする必要があると考えます。つまり、現代日本の国家防衛は、「普通の国家」としての主権に基づいた防衛が許されざる敗戦国家としての悲哀を今に続けているのであり、このことを冷厳に認識しておかないと足元をすくわれてしまうことになると考えます(この軍事的対米従属性と国家主権としての独立性とは別であり、国家の独立性は獲得されていると私は考えています)。付言すれば、日米安保条約の廃棄通告をすれば条約が解消され、追って基地が無くなるなどというのは妄言であり、口がポカンと空いたまま当分の間は塞がらない噴飯ものの見解です。頭脳の配線コードが気になって仕方ない。
 最近の日本の再軍備化の動きは自立的な帝国主義国家としてのそれとしてではなく別の意図を持って要請されているという認識を持たなければ問題が解けない。では、どういう意図から日本の再軍備化が企図されているのかというと、アメリカの下請け的な兵器購入先のマーケットとして利用されているということが第一点。中古品の売りさばき先として便利なトイレットになっているということだ。
 次にアメリカの尖兵として、またはいっそうの後方兵站基地機能としての役割が期待されているというのが第ニ点。国連平和軍との二刀流として利用されようとしているというわけだ。次に日本の経済発展の奇形化を狙っての策略的な動きではないかというのが第三点。戦後日本の奇跡的な復興は軍事費に金を使わず経済オンリー化したことによってもたらされたとしたら、その成長を鈍らせるのには軍事費を出費させるにしかずというわけだ。最近の日本の再軍備化の動きは以上のような背景から迫られていると考える必要があるというのが私の捉え方です。
 確かに北朝鮮の威嚇的な動きに対しては心中穏やかならぬものがありますが、以上のような観点をもって冷静に対処する必要がある。一つの方向性としては、憲法精神にある国際協調路線で国交回復に向かい経済交流を深めて行く必要がある。この流れをさせない国内の勢力こそ注視する必要がある。なぜなら、すでに述べたように日本の自立的な防衛政策は貫徹できない仕掛けの中にあるのであって、にもかかわらず幻想としての大国意識を煽りながら軍備増強を主張する輩はアメリカとの特殊権益を疎通させたグループであると考えることができるから。ロシアとの経済交流もしかりである。日本の将来にとってロシア市場は中国市場の門戸開放に劣らず意義がある。それをさせない国内の動きを注視せねばならない。「ノーと言える日本」だとかの元気の良い言葉にだまされてはいけない。
 そろそろ結論にしよう。すでに存在する自衛隊に目をそむけても存在するものはする。消しゴムで消せるものでもない。私は現実から出発しようと思う。問題は、資本の自己増殖と同様に軍事化も一度解き放たれると増殖する特性があるから、厳しく制限枠を設ける必要がある。ただいまの中小零細企業がバタバタと倒産させられている現実は明日の日本経済の活力を確実に奪いつつある。日本の戦後の発展は経済主導を原理として世界の模範となった。この原理を壊してはならない。現下の国債刷りまくり大企業救済政策と軍事費の増大と社会基盤整備としての公共事業の抑制化という三位一体政策はどうもオカシイ。本当に国家破産に向けてのシナリオがあるのではないかとさえ気になる。戦争で負け、経済で負かされるという二度の敗戦のシナリオが気になる。そうでなければ良いのだけれど。