吉野傍さんから多くの点にわたって指摘されましたので、それらの点に関する私の考えを述べ、この『さざ波通信』についても再度述べたいと思います。
1.ソ連の崩壊について
ソ連をはじめとした「社会主義国家」の崩壊に関して、その原因を全面的に展開する能力は持ち合わせませんが、その崩壊をもって現在の日本共産党の組織のあり方(民主集中制)を論ずるのは少しずれているのではないでしょうか。一定の綱領や規約で結ばれた政党と国家のあり方は違うのが当然でしょう。ソ連などは一党独裁で党と国家が事実上一体化され、極端な抑圧体制が作りだされましたが、日本共産党は、はっきりと党と国家の分離、複数政党制などをうたっているんじゃありませんか? ましてや日本共産党は現在の綱領路線のもとで、ソ連はもちろん他のどの国の共産党もモデルにしているわけではなく、特定の社会主義国や共産党が崩壊したからといって、そのことをもって日本共産党の綱領や組織原則をうんぬんすることはできないはずです。もちろん、そこからの教訓は汲み上げなければならないでしょうが。
2.各国の共産主義政党やその運動について
各国の共産主義政党やその運動が全体的にいって「低迷」しているというのは事実認識として間違っているとありますが、はたしてそうなのでしょうか? ソ連崩壊後、多くの共産党は党名を変え社会民主主義政党になったり、分裂したり、解党状態になったりというのが事実なのではないでしょうか。もちろん、部分的にはさまざまな模索のなかで一定の前進を果たしている国もあると思いますが。
3.ロシア革命時の状況
「当時のロシア共産党(*レーニン指導下のボルシェビキ)は・・・党内における討論の自由と分派の自由を保証してきました。」とありますが、ロシアの党がどのように形成され,当時どのような状態にあったのか、それに対してレーニンはどのような態度でのぞんだのかという歴史的は背景を抜きに語ることはできないのではないでしょうか。また、レーニン指導下のロシア共産党は1921年の第10回党大会において、分派禁止の決議をしていることも忘れてはならないでしょう。
4.日本共産党の組織のあり方に対する攻撃・批判
日本共産党に対して、さまざまな攻撃がされていますが、その攻撃・批判・疑問がもっとも集中するのが、組織のあり方(民主集中制)です。反共の立場から、学問的な立場から、あるいは国民の間に根強く残る「暗い、怖い、自由がない」といた漠然としたイメージ、さらには、この『さざ波通信』を運営している党員、そこに参加している党員・支持者(?)の批判等々。それでも現在の日本共産党が民主集中制の原則を放棄しないのは、党の指導部や多くの党員が民主集中制で統一された革命党こそが、社会を前進・発展させるうえで決定的な役割を持つという立場に立っているからにほかなりません。(だからこそそこに攻撃が集中する)「組織のほかにどんな武器も持たない」としたら、さまざまな攻撃からその組織の統一を原則的に守ろうとするのは当然だと思います。党外における「自由」(場合によっては無責任な、あるいは反党的な)な討論や分派を認めていたら、党(党員)の持っているエネルギーが分散するだけではなく、日本の社会の発展に対して党として責任が持てなくなってしまうのではないでしょうか。「党員は皆同じようなことしか言わない」(私は必ずしもそう・・・ここから文字化け・・・編集部)。
5.『さざ波通信』の立場
『さざ波通信』は「反党的な分派もあれば、そうでない分派もある」といっていますが、「反党的な分派」と「そうでない分派」の基準は何ですか? また、それを誰がどのように区別するのでしょうか? また、このホームページを運営することは分派活動ではないし、分派を結成しないともいっています。でも、それは「現在の党員のレベルは、何らかの本格的な分派を結成するような水準から著しく立ち後れているから」、「私たち自身も、体系的な綱領的立場を確立する水準にまで達していません」からであって、将来的には分派を結成する意志(可能性)があることは明らかであり、そのためにこのホームページを開いているのではないですか? 党の組織上のもっとも基本となっている民主集中制を根本から否定する立場と、その党員であるということがどうして両立できるのか不思議です。
最後に
こういうふうに書くと、また「党に近い支持者に対してすら、これほど確固たる統合力」と言われそうですが、日本共産党に対する確固たる支持はあれこれと分析するような難しいものではなく、戦前からの党の歴史(さまざまな間違いはありましたが)、現在の綱領路線と個々の政策、政治姿勢、そして、狭いながらも私のまわりにいる(いた)党員の人々への信頼(私の知らない党員にはいろいろな人がいるのかもしれませんが)にあります。個々の政策や方針の間違い、組織上の問題点があったとしても、私の日本共産党に対する信頼は揺らぐことはありません。基本線において私は信頼しています。個々の間違いや問題は解決していけばいいのです。特に民主集中制に関わるさまざまな問題では、党内での討論のあり方など、制度的な改革を熱望しています。党の指導部はもちろん、すべての党員の人々の努力でそれらの問題を解決し、党の前進と発展を勝ち取っていってくれることを、一人の支持者として願ってやみません。
何度も言うようですが、この『さざ波通信』は党の改革・発展にはむしろマイナスの役割を果たすしかないと思います。だからこそ、まじめに党の発展を望んでいる圧倒的多数の党員の人々(党中央に批判的な人も含め)は、この討論の場に参加せず、「無視」するしかないのだと思います。また、『さざ波通信』に対して批判的な党員も「K」さんのような形でしか参加しないのではないでしょうか。(本来なら『さざ波通信』に対する批判は、私のような党外の不勉強な人間によって行われるべきものではないはず)事実、この『さざ波通信』は投稿の数や参加する党員がきわめて限られており、党員の「吉野傍」さんと、党外の「れんだいじ」さんによって支えられていると言っても過言ではないでしょう。