神奈川ネットワーク運動の機関紙の今年1月号の記事に、又木京子代表がこう書いているのを、いまごろになって、発見しました。
Y2Kがおきると重大な社会的混乱が予想されます。(中略)日本ではパニックを心配して情報は出さない方針になっているようです。情報の不備こそがパニックの最大の原因となるのに、です。政府自民党の危機管理対策は総選挙の日程を2000年を迎える前にやってしまおうということだけ。
こんなことが新聞に書いてあったかどうか覚えていませんが、この又木代表の文章を字句通りに読めば、ずいぶん変な話です。Y2Kのパニックのための危機管理になぜ、総選挙日程が出てくるのでしょう。
明らかなのは、Y2Kで「国民の命とくらし」に係わる事柄はまったく関心の外だが、それをチャンスとばかりヘゲモニーを確立しようという自民党政権の露骨な思惑です。
総選挙日程を今年中(一説には12月26日だという)としている大きな理由は、来年になれば介護保険問題で国民の支持が失われるから、その前に選挙をすませてしまおうということだと言われています。
しかし、それとは別に、上記のような、「危機管理のための総選挙」という途轍もない飛躍には、重大な意味を探らないわけにはいきません。
8月11日の自民党危機管理プロジェクトチーム(座長・額賀福志郎前防衛庁長官)で政府が、自衛隊に治安出動を命じる事態を想定し、自衛隊と警察の連携強化を本格的に検討する方針を明らかにした、と新聞は報じていました。政府は「不審船などで海から外国のゲリラ部隊が日本の領土内に上陸し、原子力発電所や空港、港湾施設などを重要施設を攻撃するような非常事態を想定」(読売新聞8/12)とのことです。
原発をめぐるパニックに自衛隊が出る・・自衛隊の治安出動よりもっといいのは、戒厳令を敷くことでしょう。これは現行憲法のもとでは規定されていません。でも、改憲をすれば可能です。憲法調査会の設置も決まりました。
戒厳令のどさくさにまぎれて、挑発分子が人為的に「事件」を引き起こし、それに乗じて軍隊が予めマークしておいた集団や比較的少数の個人を、戒厳令違反として射殺する、といった事態も考えられると思います。それは今年内には無理でしょうが、長期的、といってもそれほど遠くない将来に向けて、そんなことを目論んでいるのではないかと思います。
米国でY2K/原発の問題に関心をもっている人の情報によると、Y2Kパニックから暴動も予想され、連邦政府は戒厳令を考慮しているはずだと言います。
戒厳令も軍隊ももたない日本が、小沢一郎の言う「普通の国」になるためには、原発と物資不足・ライフライン切断の事態こそ、危機管理のモデルケースと言えましょう。ならば、真っ先に総選挙日程を考えるのも、うなずけます。ほんとは、うなずける話ではありませんが。
政治の筋から言えば、危機管理に忙殺されているべきときに総選挙をするほど無茶なことはないはず。それをあえて、国民生活はほったらかして支配強化をもくろむというのです。
それどころか、小渕政権が立て続けに成立させた悪法による反動路線の徹底を国民の目から隠すマスキングとして、Y2Kを利用しようとすら考えているのでしょう。
又木代表は「当事者能力を失った政治の不幸です」と書いていますが、政府にとっては、これこそが当事者能力なのであり、当事者能力を失っているのは、こんな非道な話をうっかり聞き流してきた私たちのほうなのです。
「総選挙どころの話か。きちんとY2K対策を、国民の身になって立てろ」と、私たちは言うべきでしょう。年内総選挙阻止の声をあげ、来年の介護保険でなんとか、反自自公勢力を伸ばさなければなりません。