共産党宣言さん、こんにちは。私は学生党員で『資本論』は何度か読みました。「共産党の方の見解を」ということでしたので、少し書かせてもらいます(「メール」ではありませんが)。
私が一番言いたいのは、あまりに単純化して考えない方がいいですよ、ということです。間違っていたらごめんなさい、ですが、おそらく共産党宣言さんは、『資本論』の第1部(第1巻)しか読んでいないのではないですか。第1部というのはやはり抽象的で一般的なことが書いてありますよね。資本主義の本質が暴露されているといっても良いと思います。それ故、外延が広いというか、ある意味では今日の日本にも当てはまるとは思うんです。しかし、一般的に本質というのはそのままの形で現象するわけではありません(そのままの形で現象するなら、学問なんて不要でしょう)。だから、「今の日本の社会はまさに資本論に書かれていたままの世界になっている」というように、あたかも現代日本に『資本論』で解明された本質が直接現れているかのように単純化して考えるのはいかがなものか、と思います。
それに、レーニンの時代ですら資本主義自体が発展して、新たな形態が生まれているのです(私は、レーニンとマルクスを学者として対等に扱うことには反対ですが、『帝国主義論』も現状ではかなり重要でしょう)。だから、現代日本を徹底的に分析するのが肝心だと思います。考えてもみてください。今私たちが『資本論』を読んでいるということは、『資本論』を超える著作が現れていないことの一つの証明です。マルクス経済学の先生方が、例えばサービス労働をどう位置付けるか、というような問題に一生懸命取り組んでおられます。今の日本が『資本論』に書かれていたままの世界であるのなら、学者先生方が苦労されることはないのです。
まとめると、サークルに入ってまで経済学を勉強しようという人なら、「今の日本の社会はまさに資本論に書かれていたままの世界になっている」というような単純な理解で満足していてはいけない、ということです。これは共産党員でも同じことです。
ところが現状では、共産党宣言さんなどは入党工作の恰好の対象となるでしょう。私の経験では、『資本論』などを読んで勉強しているような党員(幹部)でも、だいたいこの程度の理解です。しかもその理解で完成だと思っている。こんなことを理解するだけだったら解説書で十分です。無理して『資本論』なんか読む必要はありません。
もちろん、共産党宣言さんがこれで満足している、といっているわけではありませんよ。ただ、周りの党員に対する愚痴を言うために変な展開になってしまいましたが、私の主張は分かってもらえたでしょうか。偉そうなことを書きましたが、私もまだまだ勉強不足ですので、共にがんばりましょう。