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非現実的であることのアイロニイ

1999/10/25 やもめのおやじ、40代、公務員

 西村防衛次官の発言をめぐる真摯な議論はいずこへ?
 西村の本音(彼をして発言をなさしめた背景はいまいっぽ)はわからないし調べようともおもわないが、パラドックスとして考えるならば、その危険性ゆえ、問題発言(彼は問題提起をしたと言った)として、まともにとりくんでおかなければならないのではないか。
 つまりは、わが国の世界に誇っていいはずの日本国憲法のPeramble および第9条の精神が現実においてはほとんどないがしろにされて、この国の軍事力の実態が世界弟2位(軍事予算規模において)となるまでに膨張している。
 この現実を逆手に取って、まさに9条を削除しようとするおぞましい勢力の陰謀が、まさしく台頭しているのは周知のとおり。
 行き着く果ては、世界中において日々、世界1位の軍事力にものを言わせている米国の代理ともなるべき 軍事力の消費活動にほかならない。
 中間を省くが、日本が完全な非武装による中立を目指そうとする理想に対して、かならず攻撃を仕掛ける精神が「武装による中立」を唱える勢力であるが、ここで考えてみてほしい。現在における米国のもとでまさに奴隷ともよべるような軍事的な隷従(この国における米国軍事基地の物量的な存在とそれを支える日本の軍事援助予算供出)を強制されている国家が、はたして武装することによる中立などができるものであろうか? 米国が、まさにアジアにおける最大の軍事拠点において、「完全中立をするための独自武装」という宣言を、わが国に認めるあろうか? 再軍備(すでに充分そうなっているが・残るは徴兵制度と9条の廃止だけだが)をめざす勢力の最大の矛盾点はまさしく、そこの議論をまったく無視することにある。
 米国が日本に再軍備を認めることは、まさしく米国の軍事活動に、人的・資材的・領土的に直接参加をさせることであり、米国にとっての不利益をもたらす日本自身の政治的な意志決定による軍事行動の拒否(もしくは、行使)などはいっさい認めないことは火をみるよりも明らかである。
 話が遠回りしたが、最初に帰ってみれば明らかであろう。憲法9条を廃して日本が再軍備する方向においては、米国の利益を最大限に擁護推進できるかぎりにおいて米国が反対することはありえない。当然現状の米軍基地は残存し、新たな日本軍が併存隷従の形で存在することになり、米国の戦略に全て隷従する軍事活動以外は行動することが許されるはずはない。
 そこに核武装を盛り込むとしたらどうなるだろうか?
 核武装による完全中立国、どの国からも侵略をゆるさず、どの国に対しても侵略を行わないための力による 裏付けを保持した究極の選択肢ではあるが、実現性を考えるとき、全くのゼロであることを見切らねばなるまい。
 まず、最初にあらゆる政治的な反対(場合に依っては武力行使も)を唱える国家は米国であろう。(ロシア・中国ほかもそうであるけれども)
 日米安全保障条約を完全に即事撤廃して、日本が核武装による中立を目指す・・・こんな事はむしろ、ロシア、中国、朝鮮民主主義人民共和国などよりもアジア(もしかして世界)における覇権の喪失をいちばん恐れているいまの軍事的(それ以外も)同盟国の米国そのものではないだろうか?
 その圧力を恐れた対米隷従政策推進機関(日本国政府ともいう)は、まったく正当に、この危険さゆえにないがしろにしてはならない議論を避けて通る。