この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
democratさんの7/21投稿へのコメントです。
ここでの論点は、次の2点でしょう。
1.綱領改定案が従前の党の方針を変更し、「天皇制を容認」したものなのか。
2.現在の象徴天皇制は「君主制」なのか。
どうもこの点での議論がかみ合っていないように思います。
まず、1.は綱領改定案が、象徴天皇制は「民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく」、「民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだ」と明確に述べて、その廃止の立場を明確にしているのだから、「容認」でないことは明らかでしょう。当面する民主的変革の課題に象徴天皇制廃止を掲げるべきだと主張する意見なら批判は理解できますが、それは従前の党の立場と異なります。
現行綱領は、「君主制の廃止」を「民主主義革命」の課題としています。われわれが当面めざしているものは民主主義革命ですし、それは「従前の党の立場」ではなく、現在の党の立場なのです。お間違いないようにお願いします。
日本共産党が「民主連合政府」をめざすと言ったところで、それは綱領としては「さしあたり」なのです。実際に「君主制の廃止」や「自衛隊の解散」を掲げている以上、体制側の勢力が共産党との連立政権を想定しえないことは当然ですし、共闘に躊躇することも当然です。そこで共産党側からの妥協でなんとか打破しようとしてきたのが、この間の指導部の「柔軟路線」でしたし、今回の綱領改定だ、というのが私の捉え方です。
次に2.の問題ですが、政治体制としての「君主制」の問題と「天皇の政治利用」の問題が混同されているようです。憲法上明確に統治権を否定され、儀礼的存在でしかない天皇が「君主」であるという憲法学者はいないでしょうし、政治学者の多くが異なる見解を有しているとも思えません。いずれにせよ、現在の象徴天皇制が「君主制」だという人は、自らの「君主制」の定義を明らかにして議論すべきでしょう。
逆に聞きたいんですが、あなたは「象徴天皇制」という言葉を使われていらっしゃる。この用語にある「天皇制」とは「君主制」ではないのでしょうか? どちらも同じ意味だと私は思うのですが? 「天皇」は「君主」ではないとでもおっしゃるのでしょうか?
「専制君主制」が強大な統治権のある「君主制」だとすれば、「立憲君主制」は統治権が制限された「君主制」になりますし、「象徴天皇制」は統治権が形骸化された「君主制」ということになるでしょう。
統治権を有していないものは、革命において直接の打倒対象にはならないにしても、それが日本の民主主義にとって障害となっているものならば、廃止の対象になるのは当然でしょう。革命には、「政治革命」「社会革命」という二つの側面があるように、革命の課題は、「政治体制」を変えることだけではありません。だからこそ、「君主制の廃止」が綱領の民主主義革命の課題となっているし、さまざまな社会的マイノリティーの問題などが綱領に明記されているのです。
あなたは綱領改定案のとらえ方が根本的に間違っているようです。図式的な言い方になりますが、現行綱領で規定している「民主主義革命」から、ウケの悪い「君主制の廃止」「自衛隊の解散」等の課題を除いたのが、改定案の「民主主義革命」ということになります。不破流につけ加えれば、「除いた」と言い切ってしまうと「いろいろな問題」が出てきますから、「君主制の廃止」「自衛隊の解散」は民主主義革命に不可欠のものとはされなくなったと言うのが妥当かもしれませんけどね。
この問題では、democratさんの投稿は問題外。大塩平七郎さんの投稿「綱領改定案を読む」に共感します。