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「科学的社会主義」討論欄

チベット問題に関する投書

2009/3/1 trockij

「世界情勢の諸問題 (2)――中国美化論の苦しい言い訳」に反論があります。

 編集部は次のように言っています。

"また、いわゆるチベット問題も深刻な国際問題である。民族抑圧は、レーニン を持ち出すまでもなく国際問題である。チベットの民族自決権を擁護することは すべての社会主義者の政治的義務である。"

であるならば、マルクスとエンゲルスは社会主義者の政治的義務を果たさな かったことになりますね

 エンゲルスは、有名な「マジャール人の闘争」で、このような民族に対す る立場を明らかにしました。

「ヨーロッパでは、どこかの片隅に、民族の抜け殻の一つや二つをかかえていな い国は一つもない。これらは、その後の歴史的発展の担い手となった民族の手で 押しのけられ制圧された先住民の名残なのである。ヘーゲルの言葉をかりれば、 歴史の歩みによって容赦なく踏みつぶされてしまったたこれら民族の名残り、こ うした民族の遺物は、いつでも反革命の狂信的な担い手であり、まったく絶滅さ れるか民族性を完全に拭いさられるときまでは、そうであり続けるのであって、 いわば、彼らの存在の全体がすでにしてそもそも、偉大な歴史的革命にたいする 一箇の抗議なのである。」『マルクス主義革命論史1 マルクス・エンゲルスの 革命論』451ページ

 チベット民族は、人口の95%が奴隷・農奴という神権政治の封建農奴制 の下で苦吟していました。平均寿命は36歳でした。これを解放したのが中国共 産党です。エンゲルスは次のように述べています。

「未だかつて固有の歴史をもったこともなく、最初の一番粗野な文明段階にとど いたその瞬間からすでに外国の隷属下におかれるか、あるいは外国のくびきに よってはじめて最初の文明段階にひきずりこまれるような民族、そういう民族に は生存能力がなく、何らかの独立にいたることなど断じてできはしないのであ る。」(同459ページ)

 これはまさにチベット人にぴったりあてはまります。

 また、ローザ・ルクセンブルクは「民族自決権」の反動的空語について警 告しました。いま日本語訳がみつからないので英語で申し訳ありません。これを 読んでください。

http://www.marxists.org/archive/luxemburg/1918/russian-revolution/ch03.htm

 「民族自決権」はロシア革命においてドイツの銃剣による反革命のスロー ガンとなったのです。チベットの「民族自決権」もいかなる進歩的内容も持ちま せん。しょせんは「歴史なき民族」であるのだから、「民族自決権」を行使して 独立したところでUSAとインドの傀儡政権になるのが関の山でしょう。チベット 人の唯一の進歩的未来は漢民族とともに中国人として中国の発展に努力すること です。

 ローザ=ルクセンブルクは、ボリシェヴィキの取った民主主義抑圧を厳しく批判すると同時に、「民族自 決権」の空語をも批判しました。
伊藤成彦・丸山敬一訳『ロシア革命論』論創社、をお読みください。(3/3追加投稿分)