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「組織論・運動論」討論欄

綾瀬はるきさんへ(続)

2010/7/27 田貫 喜一

 舌足らずの面がありますので、追加します。

1 日本共産党指導部の主張する「民主集中制」とレーニンの追求した「民主集 中制」を同一のように論述してしまいましたが、日本共産党の主張する民主集中 制とレーニンのいう民主集中制とは別物です。詳細は「三重の原罪を背負った日 本共産党の民主集中制」(原 仙作氏論文)をご参照願います。今後は、異論・ 意見封殺制と呼ぶようにします。

2 この異論・意見封殺制は、ソビエトでスターリン独裁、中国で毛沢東独裁を 生み出す大きな原因の一つ、政治過程上から言えばスターリン独裁、毛沢東独裁 の確立に絶大な貢献をします。分派禁止、少数意見圧殺ですから彭徳懐のような まともな意見が封殺され、肉体的抹殺まで至ります。  共産党指導部は、中国の文化大革命時に毛沢東と文革を厳しく批判しました。 余談ですが、当時赤旗に掲載された10.10(?)論文を真っ黒になるまで読 み込んだのを覚えています。そのおかげで、学内にいた毛沢東思想万歳の社学同 ML派との論争に勝ちました。  また、ソ連軍を中心とするワルシャワ条約機構軍がチェコに侵入しドプチェク 政権を転覆させたことに対しても徹底的に批判しています。だから、日本共産党 はソ連、中国とは違うと主張しています。しかし、スターリン批判、文革批判に しても、なぜこのような独裁体制が生まれたのか、すなわち革命後の政治体制 (国家権力を掌握した共産党の党内体制、異論・意見封殺体制)の分析にまで 至っていません。

3 いくら共産党がソ連、中国と違う「自主独立の党」だ、「党内は異論・意見 封殺制でも、党外にそれを押し付けることは無い」と言っても、日本人民はこの 異論・意見封殺制に疑念を持っているのではないでしょうか。特に日本はアジア にあります。日本人民は、北朝鮮、カンボジアの自国人民に対する大量餓死・大 量虐殺を知っています。本日(7/27)の朝日新聞はポル・ポト派の国際裁判 記事の中で次のように紹介しています。

 「ポル・ポト政権はカンボジア共産党が母体で、クメール・ルージュと呼ばれ た。極端な共産主義政策を推進し、都市住民や知識層は農村への強制移住や強制 労働につかされた。拷問、処刑の犠牲者に餓死者を含めると170万人が犠牲に なったとされる。」・・・ポル・ポトが権力を持っていたのは、たった4年間で す。

4 ポル・ポトにしても金日成にしても、俗物・俗流解釈のマルクス主義です が、マルクス主義から派生しています。「共産党宣言」にはプロレタリアートが 権力掌握後の諸方策として「万人に対する平等の労働義務。産業軍の設立、とく に農業のためのそれ。」(マル・エン選集 1 ソ連邦共産党中央委員会付属マ ルクス=レーニン主義研究所編 大月書店1966年第9刷)というような、俗物が 飛びつきやすい、農業集団化政策が叙述されています。

 以上、国家権力掌握後の各国共産党の民主集中制(異論・意見封殺制)が、ソ ビエトでは強制収容所、中国では文革、東独では監視国家、北朝鮮では奇妙奇天 烈な金王朝として立ち現れる大きな槓杆として機能したことは歴史的事実です。 日本の共産党も、この歴史的事実から逃れることはできません。また日本人民の 一部の人は「シベリア抑留」などで、スターリン独裁の直接の被害を被っていま す。異論・意見封殺制が、綾瀬さんが指摘される「恐ろしい社会」になった実例 を日本人民はまじかで見ています。