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「組織論・運動論」討論欄

民主集中制をめぐって

2011/10/2 菅井良

 日本共産党の実行している「民主集中制」を民主主義の観点から批判する見解には異なる二つの立場がある。
 民主集中制を民主主義に反する原則として否定する見解と、
 民主集中制は、革命を実現するという具体的な目的にかなうように適用された民主主義であるとして原則自体は正しいが、共産党のやり方はおかしいと見なす見解である。

 たとえば、後者の立場に立つ「思想運動」グループの季刊誌「社会評論」最新号には、キューバの民主主義について以下の記述がのっている。

《キューバ共産党は2011年4月、1997年以来14年ぶりとなる第六回党大会を開催し、新しい「経済・社会政策路線」を採択、閉幕した。新路線案は2010年秋に原案が示され、党組織ではもちろんのこと、共産主義青年同盟(UIC)やキューバ労働組合中央組織(CTC)をはじめ、すべての社会組織において国民的討議に付され、この討論で出された意見をもとに修正を加える過程を経て、大会における最終的な審議、決定にゆだねられた。その過程は、ブルジョワ議会制とくらべものにならない、何十倍も何百倍も民主主義的な、キューバ共産主義の質の高さを証明した。》(「社会評論」2011年夏号p62)

 これは党の枠を超えて、国民レベルにまで拡大された「民主集中制」といってよい。この引用者は、これを日本などの議会制民主主義よりはすぐれたしくみとして紹介していることは明らかだろう。

 代表民主主義の制度としても、菅井が小学生の頃、一院制、議会と行政機関の一致などが、西欧の民主主義との違いとして社会主義の民主主義の特徴・利点とされていた。これらは、当時のソ連というよりは、革命期のソビエト(フランスでのコミューン)の特徴・勝れた点とされていたものと同じだと思う。

 先日の、日本共産党と素人の乱の対話(阿佐ヶ谷ロフト)でも、女の子が、彼女は党員であることを明言した上て、客席から発言して、「今、共産党は、党の方針を議論し、代表を選挙しているが、支部から方針について、議論し、全党で検討してつくりあげている。私も支部会議に出てからここに来ている。執行部の選挙も、幾段階もステップをふんでやっている。日本の総理大臣の選出とは違う」と全員参加型民主主義の観点から現行のやり方を肯定的に語っていた。

 また、この中では、共産党が政権をとったら独裁政治をするのではないか、とか、素人の乱店主の松本氏はカリスマ的な独裁者だから、松本さんがいなくなったら、素人の乱はつぶれるのではないかなどという質問もあった。共産党はもちろん否定し、松本氏は、自分が学生の頃はずいぶんひどいことを共産党系の人々から言われたと語ったあとで、かつて学生の頃は自分のノリだけで突っ走っていたと、事実上自分の独裁を認めていたが、今は、他の人がやることをひいて受け入れるようにしており、自分がいなくなれば、カラーはある程度変わるだろうが、素人の乱は続いて行くだろうと言っていた。

 民主集中制の問題については、今の日本の言論状況も含めて、共産党という一組織の問題にとどまらない別の考察も必要と考える。