>長壁さんへ--イラクは、次の段階へ移行中
記号「>」の意味はお分かりと思います。便利なので今後も使います。
>長壁さんは、イラク国民が弾圧されていても、戦争で犠牲者が出るよりはまだ良い、と考えている訳ですよね。イラク国民の人権よりも、自分の考え(戦争=悪=否定)を優先されているようなので、
長壁さんは世界にただ一人君臨する独裁者ではありません。長壁さんの言説(・運動)は、あくまでも一人の進歩的主体としての力に過ぎず、民主世界のその他多数の進歩的主体の力と「共同」して、平和を構築する性質のものです。
ただ、「ヒューマニズム(人権)」と「真実」は、そうした力のなかで、起点となるもの。
大きく発展的な構造と力をイメージできないものでしょうか?
イラク国民の人権か反戦か、という「二者択一」的問題設定は、「恣意的」。あなたの国連かアメリカかという二者択一も同様。人権を射程に入れているからこそ、反戦なのです。
>イラク戦争についての評価は、定まったと考えます。
>ほとんどの人が、イラクは解放された、と言っています。
解放その他について「結果論」を云々できるのは、(腕や足を奪われずに)生き残った人に限られます。「核使用も辞さない米軍事戦略」「生物・化学兵器の使用」「大規模市街戦」などが懸念されたのが、今回のイラク戦争です。
また、あなたの「未来に対する時間軸」は短すぎませんか?
明らかに劣化ウラン弾の使用で、イラン軍車両の残骸の放射能レベルが自然界の7,8倍であることが、バグダッド大の調査で判明済みですし、核施設からの略奪を米軍が傍観・容認したことで、土地と住民の放射能汚染は明らか。ドラム缶のなかのイエローケーキを舐めて、川で缶を洗って、水がめに使用したというんですから。ゆえに、アメリカはIAEAに核施設調査を許可しても、住民の健康調査は拒否。
米軍に対する軍事抵抗がパレスチナ化に発展しないのか?
サウジ、モロッコでテロが起きたことも承知のとおり。
イラク戦争の「結果」など、いまだ確定していません。
>命を落とした人は、気の毒だと思います。しかし、生き残った人間は、亡くなった人の事よりも、自分の目の前の生活を考えなければならないのです。
連続的な歴史を「恣意的」に分断し、その時点以降の世界を新たなスタート点とみなす、思考上の「怠慢」が感じ取れます。
>しかし実際に共産党を変えられるのは、党員の人だけなのです。
つまり「内」からしか変えられないというわけですね。
一方で、独裁体制は「外」からの「武力」行使によってしか打倒できない旨、主張されていました。(内or外)x(非武力or武力)+{内x(非武力or武力)}x{外x(非武力or武力)}=8通りのなかから唯一、「外」と「武力」の組み合わせを選ぶのです。
やはり、重層的・多元的な民主主義観をお持ちではないようですね。民主主義に対する「視野」が狭い。だから、民主主義とそのもとに結集する多種多様な力をイメージできず、平和構築の力としても確信できない。
ここが、あなたの思想的陥穽の本質だと思います。
要するに、あなたの思考過程に、遡及・展望・連関・共同・想像・創造・・・といった「広がり」が感じられない。あなたの中のヒューマニズムと理知が「脱社会化」している。
文明の進歩にともなって、わたしたちの精神のなかに人工的・惰性的領域が堆積し、ヒューマニズムと理知の運動を「圧迫」することが、この「脱社会化」ではないでしょうか?