<党中央のトロツキー評価>
過去のさざ波通信投稿でも度々この話題が浮上し、マル共連などでも同種のことが話題になることを見るにつけ、トロツキーの存在の大きさというものを感じます。過去の投稿などを見る限り、私に似たような考えをもった党員もいたようで、インターネットを利用しだしたのが遅かった(離党した後で、それも西暦(新暦)2000年度に入ってから)のが悔やまれます。半島分子さんの投稿に対しても、ひょっとしたら他の方も投稿なさるかもしれませんが、1つの参考にしていただければ幸いです。
私は元党員ですが、私の入党する前はすでに「赤旗」で「トロツキスト」という用語をみることはほとんどなく、主に「ニセ左翼暴力集団」という言葉が使われていたこともあり、党中央はすでにトロツキーについての過去の評価を改めているのではないかと誤解していました。
しかし、入党してみると、党や民青の専従などはいまだに「トロ」「トロツキスト」などという言葉を「極左」「跳ね上がり」というような罵倒語として用いており、私が問い質すと「トロツキーは反革命活動に終始したんだ」などと言う有様です。支部会議で「学習」の話題になったとき、「トロツキーの『裏切られた革命』を読んでいる」といえば、「なにを読んでいるんだ」といわれたりしたものです。専従だけでなく、「活動的な」党員・同盟員も同様の人は少なくありませんでした(もちろん、これは専従諸君によって再生産されている傾向なのですが)。これがいまの共産党の実情です。
なお、過去の投稿で不破委員長(当時)による、最も新しいトロツキーの評価が紹介されています。これが事実上の党中央のトロツキーについての見解といえるでしょう。たしかに、過去のように「帝国主義の手先」「スパイ」「反革命」などという、歴史的に完全に破綻した見解こそ引っ込めたものの、「肯定的」とはいいがたい状態にあります。最近、不破議長は『経済』に長々と連載を続けていますが、その中でも、“一国社会主義論争ではスターリンがレーニンの立場を基本的に継承し、正しかった”と言い張る始末です。さらに“私はすでに「現代トロツキズム批判」でこのことを指摘してました”と誇っています。「現代トロツキズム批判」は60年頃の著作ですが、逆にいえば、その頃とトロツキー評価は大差ないということなのでしょうか? また、その「現代トロツキズム批判」で、ハンガリー事件を「反革命暴動」と誹謗したり、ユーゴを「チトー修正主義」と罵ったり、スターリンによるヒトラーとの独ソ不可侵条約・ポーランド分割を平気で肯定していたこと等々については一言の弁明もありません。
*手元に文献がないので正確な引用ができません。必要なら後日正確に引用します。
<第4インター設立と「一国一前衛党論」について>
これは私見ですが、共産党中央がトロツキーにいまだに否定的な理由の1つは、第4インターナショナル設立にあると思われます(ご存知でしたら恐縮ですが、第4インターとは堕落したコミンテルンに代わる革命組織をめざしてトロツキーを創立した組織で、後継組織の第4インター統一書記局派フランス支部では、欧州議会選挙でもう1つの後継組織と組んで5%程度の得票で議席を得ていますし、共産党などとも共闘しているようです)。第4インター設立は党中央の金科玉条である「一国一前衛党論」を脅かすもの(とかれらが感じる)だからです。私がトロツキーの評価について党中央などに文句をいったときも、ある専従などは「第4インター設立をどう考えるのか。あれは、既存の共産党を乗り越えようとするものだ」などと、「一国一前衛党論」に反する第4インター設立はケシカランなどといわれました。先の不破委員長(当時)見解で、ことさら第4インター設立に触れてくさしているのは偶然ではないでしょう。
しかし、既存の党が堕落し手がつけられないまでになったときに、それに代わる、あるいは、補完する組織をつくることは悪いことではありませんし、むしろ必要です。ところが、「一国一前衛党論」にしがみつく彼らにとっては、いかに堕落しようと、共産党に代わる組織をつくるのは許されないことだというのです。私が、「それでは、朝鮮〔私は「北朝鮮」という言い方は不適切だと考えます〕では朝鮮労働党が前衛党だというのか。あれに代わる組織をつくることも許さないというのか」と尋ねると、その専従はなんと「多くの欠陥を抱えているが、朝鮮労働党が前衛党だ」と主張し、朝鮮労働党の打倒をめざすことは許されない、という始末でした。(私の年代をみてわかるでしょうが、昔の話ではなく最近の話です!)
*発言内容ですので、一言一句正確ともいかないでしょうが、趣旨は歪曲していません(してないつもりです)。
ちなみに、第4インターについては、こちらのサイトで詳しい情報などが聞けると思います。第4インター統一書記局派日本支部に属した方などがいらっしゃいます。
なお、私は日本の「新左翼」の少なくない部分に問題があった・あると思っています。革マル派、中核派、革労協などの内「ゲバ」は論外ですし、旧第4インター日本支部にも少なからず問題があったと思いますが、十羽一絡げはいかがなものかと思います。諸外国では、共産党が「トロツキスト」と共闘していることも稀ではありません。先の共産党大会に招待されていたイタリア共産主義再建党やドイツ民主社会党やフランス共産党などは第4インター統一書記局派の組織と共闘しています(他の党については私が知らないだけで、他にもあるかもしれません)。
<「一国一前衛党論」は独善のドグマ>
半島分子さんは「思想に対する寛容性がない党は宗教と同じです。」と仰っており、まったく同感です。そして、以上述べたような次第から、私は、共産党(中央)にはまだ「思想に対する寛容性」がない、といわざるをえないと考えます。「前衛」こそ放棄しましたが、「一国一前衛党論」に基づき他の団体を「ニセ左翼」と罵ってきた独善的性格は変わっていません。最近でも「内ゲバ反対」を明確にしている党派に対しても「ニセ左翼」呼ばわりしています。残念ながら、このような独善性は党中央だけでなく、体質として蔓延している側面もあると思います。円満に離党した者(私)ですらある党員から「裏切者」呼ばわりされたこともあります(自己批判させましたが)。
もちろん、入党の是非はすべて半島分子さんの自由に属することですが、そのような有様だということをよく承知の上でお考えになられることをお勧めします。なまじ入党したばかりに不快な思いを味わう(しかも、「同志」によって)のはあまりにバカげていますから。