「みずの」さん(2001/5/25)は「消費税率を下げれば、税収が減ります。それはその通りです。ところで共産党は、その減った分を国債発行で補えとは主張していないと思います。減った分は大企業優遇税制の是正や、ムダな公共事業費や防衛費の削減で充当するというような考え方ではなかったでしょうか」と書いておられます。
しかし、それは違います。志位委員長は「…私たちは、長期的には十分財源を保障できる裏づけをもっています。ただ、ただちに単年度で“五兆円の減収分は公共事業の削減で”というようなつじつまあわせをするのは、無理なことなんですよ。償還の計画をはっきりさせてある程度の国債発行をおこなうことは、過渡的には避けられません」(4月16日赤旗)と言っています。この問題について、詳しくは私の次の投稿を参照して下さい。
◇「公共事業」「不良債権」方針を聞く(2001/4/20)
◇「赤字国債」容認の経済政策(2001/3/29)
「青きドナウの乱痴気」さん(2001/5/25)は「消費税を全廃すべきだ」という立場で意見を述べておられます。これに限らず、私は消費税反対に関連して、上記財源問題のほかに、次のような疑問を持っています。みなさんの意見を聞かせて下さい
(1)橋本内閣の消費税2%アップ(97年4月)が、社会保障負担増と合わせ、今回不況の原因になった--というのが反対論者の見方です。しかし、竹下内閣が初めて消費税3%を創設(89年4月)したときは、その年末に株価が最高記録を付け、翌年にはバブル景気が頂点に達しました。経済の基本的な環境条件を抜きにして、消費税の功罪を論じるのは無意味でないでしょうか。
(2)消費を増やすためには消費税減税が有効--と言いますが、本当にそうでしょうか。統計では消費者物価は3年間下落しています。実感的にも、いろいろな物が安くなっています。しかし、消費は伸びません。安ければ買う--というものではなさそうです。いま消費が伸びないのは、将来に対する不安があるからだとも言われます。消費税減税は、財政にとってまずはマイナス方向に働きます。それがさらに不安を煽って、逆効果を招く恐れもあるのではないでしょうか。
(3)「消費税は低所得者に厳しい悪税」という考えがあります。確かに家計に対する重みを感じる点ではその通りだと思いますが、高所得者=高消費者が相対的に高額を支払っていることも事実です。これを逆にいうと、もし2%減税したら、年間200万円の低消費者はわずか4万円の“恩恵”ですが、年間消費2000万円の富裕層には40万円の減税になります。低所得者のことを思うなら、むしろ消費税はそのままにして、その財源で低所得者向けに“地域振興券”的なものを支給するほうが合理的ではないでしょうか。地域振興券は“バラまき”だとマスコミが批判していましたが、バラまきの定義は何でしょうか。消費税減税は最もバラまきではないでしょうか。マスコミにまた叩かれる恐れがあるでしょう。(念のため、私は公明党支持者ではありません)。
(4)ヨーロッパの先進各国の消費税はほとんど10%以上だそうです。米国も地方政府ごとに消費税をかけているそうです(財務省web参照)。これらの国はみな“悪税”を課す悪い政府なのでしょうか。これを「財務省(大蔵省)の宣伝だ」と切り捨てるのは簡単ですが、社会保障や環境対策が日本より進んでいる--という良いところばかりをうらやましがるのも、どうかと思います。如何でしょうか。
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共産党の消費税に対する方針が二転三転していることは「さざ波通信」19号が批判されている通りです。共産党の方針がぐらつく原因は、単に「政権入りの幻想」というだけでなく、上記のような疑問に対して、すっきりした答えが出せないため--と私は思います。