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一般投稿欄

防衛上の問題と討論が苦手な左翼の体質について

1999/5/5 さつき、40代

 このサイトを偶然見つけ、その趣旨を読んで、つらい青春を思い出して思わず涙が出てしまいました。1970年代後半にこのような開かれた討論の場があったなら、私は今でも党に残り、戦列を共にすることができていたかもしれません。党も変り、私も変ることができたかもしれません。しかし、あれから20年あまりが過ぎ、当時の仲間達と私との間にはいわく言い難い、ささいな人との接し方をはじめとした「生活の態度」の違いという他ない、ズレが身体の隅々にまで行き渡って生じてしまいました。それこそ「世界観」あるいは「思想」の現れだと言う人もいますが、私にはわかりません。
 かっての党員で、外から党に対して岡目八目的な物言いをする人間を尊敬できませんが、そのようになりがちな理由もまたあるのだとご理解下さい。その上で、このようなサイトを開設された党員の皆様に敬意を表しつつ、私の危惧を2点述べさせて下さい。

 一つは防衛上の問題点で、他でもありません、このサイトは絶対に公安に監視されています。主催者の覚悟は想像できますが一般党員や、党そのものを巻き込むのは感心できません。党中央が黙認しているのは、共産党に関わっている他のサイトや「週刊金曜日」などの雑誌でも話題になっている党の粛正体質に対する批判へのギリギリの配慮もあると感じています。インターネットの秘密保持能力を過信してはいけません。党員専用の投稿欄が盛り上がらない理由はそこにもあるでしょう。当然です。ネット上でのプライバシー侵害事件を扱った最近の朝日新聞の連載などを読むと戦慄ものです。しかし、防衛上の問題があるというのは、このサイトの開設の趣旨に対しては打撃的な主張です。 私も素人なので、具体的にはこれ以上何も言う資格も能力もありませんが、研究の余地はあるのではないでしょうか。党中央からの「おしかり」があった場合にもその点は考慮してしかるべきと思います。

 もう一つは開かれた討論が苦手な左翼の体質についてです。良く考えてみて下さい。思えば、左翼は何十年もの間開かれた討論などしたことがなかったのです。そのせいかどうか、右翼は連帯し、左翼は分裂する運命にでもあるかのような歴史を歩んできました。私にも本当の理由はわかりませんが、物言い一つとっても「分裂指向」がにじみ出てしまうような気がします。組織に属していない筈の一般投稿者の中にもそのような傾向がうかがえます。不思議です。最も基本的な「究極の目標」が一致していることへの信頼が失われた時には別の道を歩む選択をすれば良いだけで、そうでもないようなのについつい打撃的な物言いになるのですね。
 例えば、「通信」の不破政権構想に対する問題点の指摘、いちいちごもっともと思うのですが、全体を読み通して、このようなおおやけの場でかみつくことではないというのが実感です。逆にいちいち反発を感じてしまうのは私のひねくれ根性のせいなのでしょうか?

<しかしながら、不破委員長の使った「安保凍結」という表現では、ただ、世間とマスコミに対して、共産党が安保容認に足を踏みだしたという印象を与えただけで、安保改悪を阻止する闘いにすら否定的影響を及ぼすものです。>

 上記の論点は理解できないではないのですが、戦略としての「安保凍結」と「安保容認」を混同するような人種は(とりあえず)相手にしないことです。

<共産党が頼まれもしないのに政権としての安保廃棄の棚上げを宣言することによっては実現できないでしょう。それに、改悪させないことが主眼だというなら、「安保凍結」などという表現は使わず、「安保改悪に反対するという一致点で暫定連合政権を」と言うべきでしょう。>

 これは変な話です。  不破政権構想で言われている「安保凍結」というのは連合政権の前提の重要な、しかし、もっと他にもたくさんある政策上の一致点の一つに位置付けられる筈のものではないでしょうか。決して「安保を改悪させないための連合政権構想」などではない筈です。それではなぜ、その他の政権構想についてなんら具体的な説明ががなされないのかという点についてですが。その点に触れて、「通信」では以下のように述べています。

<つまり、こうです。<<これまでの暫定政権構想では>>あなたがた野党は消費税導入反対(あるいは小選挙区制粉砕)と言っているけれど、本当に反対なら、われわれ共産党と手を組んで政権をつくり、それを実現しようではないか、と呼びかけることで、他の野党がどれだけ真剣にそれらの政策を実現する気があるかを国民の前に暴露する、ということが目的だったのです。>

 ところが、これが実現しなかったのは、表向き安保破棄に固執する共産党の「基本政策」が他の野党にとって容認できないという点で、いわば、問題外であるとつまはじきにされてきたからではないでしょうか。そこで、「安保凍結」を言うことで共産党として間口を広げておいて、連合政権のさそいを断わる理由をあらかじめ封じておくという戦略上の意義を認めてもよいのではないかというのが私の考えです。それは、政権に参画するというそれだけで重要な意味があると考えるからです。
 数え上げればきりがないのですが、なんと言っても、政権中枢にかかわる「高級官僚」に独占されている(極秘)情報の取得は日本革命の展望にとって極めて重要な意義があるでしょう。現在の共産党にとって経済政策一つをとっても、日本経済の現状に関する重要な情報が官僚と政権党に独占されていて、具体的な政策立案を阻むネックになっているのは事実でしょう。これまでに共産党はかなり意欲的な経済政策を公表してきました。しかし、現状ではこれらは全く不十分です。
 日米の軍事同盟の裏で何が進行しているのか、シビリアンコントロールをひょうぼうしながら、現在の政権党にさえ十分は知らされていない事態が進行している可能性だってあるのです。

 (現在は)党外にいて日本革命を展望する者として、政権参画に執着するような戦略(そうは思わないのですが)は社会党の二の舞になりかねない危険なものだと感じている共産党員がどの程度いるのか興味あるところです。逆説的ですが、それは共産党(員)の覚悟の程(社会党に比べ物にならない筈)を知る目安ともいえましょう。共産党の究極の目標は安保破棄などにとどまらない筈です。その共産党が現在は「護憲」を言っているのも戦略の一つであることは全党員が認めていることなのでしょうから。角を矯めて牛を殺すことのないようにと願うものです。なお、私は不破委員長の信奉者では決してないのでご心配なく。

 「さつき」さんのご投稿のうち、防衛上の問題について、現時点での編集部の見解を掲載しました(編集部)