日本共産党と現代日本政治を考えるサイト「さざ波通信」

 本サイトは、日本共産党のよりいっそうの発展強化と、日本と世界の民主主義的・社会主義的変革に、わずかでも寄与すべく、日本共産党および現代日本政治における日本共産党の役割、位置、課題について、批判的見地から検討し議論するサイトとして、党員有志によって開設されていたものです。

現在は更新しておりません 99/2/14-->16/7/31


まとめるにあたり、些末な記事などを削除、また発表時の文章に修正を加えています。


拙速にすぎる除名、後手後手になるハラスメント対応で団結に亀裂

 亀裂の修復は、次の党大会の課題となろう。党がこのまま志位指導部によって導かれるなら、130%の党どころか、90年代前半の20%減の党(新世紀になってからも大きな減少があったがしばらく隠されたのち「実態のない党員」として2012年に30%にあたる9万人除籍されている)になるだろう。130%の党という課題は、時代に即した党内民主主義を備えた新しい党、新しい指導部の下でしか達成しえない。

 地方選前半は、維新の躍進(大阪では圧勝)、共産党のひとり負けとなった。後半戦もあるが、流れが大きく変わることはないとみられ、これらの分析を従来のゴマカシ選挙総括で終わらすわけにはいかず、これも党大会の任務となる。

(追記)地方選前半(都道府議選、政令都市の市議選)の得票果を参院選と比べるというバカげた常幹声明については少し言っておく。参院選と比較可能なのは、例えば大阪で言えば知事選だろう。アップデート大阪と競合した辰巳氏は共産党基礎票の枠を越えることができなかった。今回の得票率は8%だが、22年の参院選は9%、21年の衆院選では10.8%で、1年ごとに総数の10%強減らしている。これが今の共産党の実力である(共産党以外に左派の選択肢のない市会議員選挙では、共産党候補者は基礎票(=辰巳氏の獲得票)の1.5倍くらい取れて当たり前なのである)。

管理人(2023/4/12)


大阪府委員会は厳正なる対応を

 富田林の共産党市議団におけるハラスメント問題で動きがあった。岡田市議が田平市議に対するパワハラを認め文書で謝罪、地区委員会より「警告」処分を受けた。3月17日の臨時地区委員会総会で(1)岡田市議本人の申し入れにより地区委員解任(2)岡田氏を公認しない(3)田平市議も公認せず新人の必勝をめざす、と決定された。その後、3月20日に岡田市議の離党届を受理、22日付で承認。

 河南地区委員会は、被害者である田平市議を(公認しないという)事実上の処分をしたうえに、無所属として立候補する岡田市議を支援する意向だと伝えられている(革新2議席確保のために党員個々人として自主支援という方針だそうだ)。事実なら府委員会の指導を実質的に覆すものだ。

 何らかの対応で党内が割れた場合に(少数派に道理があっても)多数派が少数派を排除するような事態になるのは、その党組織が1つの派閥としての“派閥主義”におちいっているからにほかならない。分派活動を許さないのが党の原則なら、少数派排除のいかなる動きも“分派活動”として処分すべきである。

 今回の問題では、府常任委員会には厳正なる対応が求められる。原則的には地区委員会常任委員を"分派活動"として罷免すべきだが、田平市議を府直属として府委員会として公認・支援するといった応急処置的な対応も考えるべきだ。

管理人(2023/3/24)


鈴木元さんの除名に断固抗議します

 これは京都府委員会常任委員会・中央委員会の暴挙だ。

管理人(2023/3/16)


処分されないハラスメント

 最近、立憲民主党(神奈川県連)で女性市議に対するパワハラ事件があった。 被害市議が記者会見して「うやむやにしないで」と訴え報道されたことからご存じの方も多いと思う。立憲民主党は、加害者である3期の男性県議に対して、●党員資格停止6カ月●来春の統一地方選での公認辞退勧告(※事実上公認されない)という厳しい処分を下し、 党員資格停止期間中に反省がみられないとして●離党勧告(※本人は納得せず留保)の追加処分を課した。

 ジェンダー平等をかかげる共産党はどうか? 富田林の女性市議が同僚男性市議(4期のベテラン)から受けたパワハラ・モラハラ事件はどうなったか。 これがまったくお話にならないのだ。第1ステップの党員資格停止(権利停止)すら課しておらず、したがって反省したかどうかの検証すら放棄してしまっている。 女性党員たちは何とも思わないのだろうか。ここでは論評を加えず、大阪府常任委員会の回答だけを引用しておく。

富田林市議会議員 T 様
2023年2月27日
日本共産党大阪府常任委員会

 先日、大阪府委員会に寄せられたT市議からの訴えについて、回答させていただきます。
 T市議からの「ハラスメントを受けている」との訴えにもとづいて、この問題を日本共産党の本来のあり方にふさわしく解決するために努力しているところですが、あまりにも時間がかかっていることについて、お詫び申し上げます。

1) 「1・6新春のつどい」での対応について

 今年1月6日の日本共産党大阪府委員会主催「新春のつどい」は、2023年統一地方選挙の予定候補者を紹介し、代表による決意を表明していただく企画でした。
 そのため、壇上での紹介は、予定候補として決まっている方のみで、現職議員でも統一地方選挙で立候補しない議員のみなさん、また、候補者として承認されていない方は、壇上での紹介の対象ではありませんでした。
 O市議が、候補者として承認されていないもとで、本来、紹介する対象ではありませんでした。地元からの強い要請があったとはいえ、公認申請が地区どまりで、いまだ承認されていないO市議を紹介したことは、府常任委員会の誤った判断であり、深く反省しているところです。
 また、当日、T市議に誠実な対応をせず、T市議を深く傷つけたことに対し、誠に申し訳なく、心から謝罪いたします。

2) ハラスメントの調査結果について

 2022年11月26日、大阪府委員会と河南地区委員会は、T市議から、「O市議からハラスメントをうけている」との訴えを聞きました。その一つひとつについて、地区常任委員会にも提起し、O市議と関係者への聞き取りを繰り返しすすめてきました。
 その結果、O市議の言動に、T市議が指摘するハラスメント行為があったことが判明し、それらの行為について反省をもとめ、T市議へ謝罪すべきと指摘してきました。

◇T市議に対して、「おまえ」、「あいつ」呼ばわりを続けてきたこと。
 当初、「それは、T市議から自分が言われている」と主張していましたが、その後、O市議自らが「おまえ」と発言してきたこと、T市議から「おまえと呼ばないで」と言われていたことも認め、そのことが、相手の人格を傷つけたものと反省を述べています。
◇T市議に対して、「虚言癖」、「うそつき」などとレッテルをはり、人格を否定する発言を繰り返しおこなってきたこと。
 指摘を認め、反省しています。
◇党外の方に「あいつ、〇〇〇(病名)やと思うんや」と述べたこと。
 2月6日、議員控室で、医師でもないO市議が、まったく的外れな病人扱いの判断を第三者に話し、それがT市議に伝わりました。何重にも重大で許されない人権侵害です。その指摘にO市議は反省し、謝罪したいと述べています。
◇街頭での宣伝行動中、乱暴な言葉と態度でT市議に命令したこと。
 マイクで市政報告をしていたT市議に対して、たつみコータローさんにまとわりつく人の対応を求めるため、「いつまでしゃべってんねん」、「おっさんの相手してこんかい」とマイクに入るくらいの大声で言いました。
 当初、「そんな発言、するわけがない」との認識でしたが、目撃していた人の証言をうけて思い出し、T市議がパワハラと感じてしまう言動であったと反省を述べています。
◇他自治体への選挙支援で、「日にちを間違えて伝え、無断欠席になったものを、T市議が来ないからと、支援回数を一方的に減らした」こと。
 O市議は、「日にちを間違えたのは、1回あったかもしれへん」と、「T市議がそれをハラスメントと感じたというのは、ありうるかもしれない」と反省しています。
◇日常的に「あの女が」、「あいつ、頭おかしい」、「異常だ」などという表現を使うこと。
 O市議自らが「あの女が」というのはよく言っている、「あいつ(他党市議)、頭おかしいなあ」と言っていることも認め、反省しています。
◇他党女性議員にたいし、性的指向を揶揄するような発言をおこなったこと。
 他党女性議員からT市議に抗議が寄せられたものです。O市議が当該議員に確認し、発言していたことが明らかになり、「ジェンダー平等やあらゆる性を尊重する党の議員としてふさわしくなかった」と反省を述べています。
◇他自治体への選挙支援で、当該議員への配慮を欠く言動。
 当初、「覚えていない。やらない」と述べていましたが、その後、あらためての当事者証言が寄せられ、「そうした行動は許されないこと」で、お詫びを述べています。

 なお、2021年6月議会での意見書をめぐる対応について、議事録を取り寄せて、発言内容を確認し、T市議の指摘をO市議に伝えました。市議会での委員会での議事に関わることなので、党としての評価は避けたいと思います。
 3月の「議会報告」作成にかかわって、関係当事者からの聞きとりをおこなってきました。しかし、作成から印刷までの工程での経緯について、つまびらかにできておらず、最終的な判断をもつに至っていません。
 O市議のこれらのハラスメント行為について、府常任委員会は地区常任委員会とともに、O市議から聞き取りをおこない、一つ一つについてハラスメント行為であるのかどうか判断してきました。ハラスメント行為と判断した言動については、その認識を本人に自覚してもらい、反省と自己検討を深めること、またハラスメントやジェンダーの問題についての認識を学習で深めることをもとめてきました。このなかで、地区委員会としても、ハラスメント問題の学習をすすめ、論議を重ねています。
 O市議はハラスメント行為について反省し、T市議に対して「謝罪をおこないたい」と述べ、同じような言動を繰り返さない決意を表明しています。府常任委員会としては、O市議は反省を深めていますが、なお、途上であると判断し、引き続き対応していきます。

 O市議は、4期16年、日本共産党市議として富田林市の市民の利益を守る活動にとりくみ、地域住民からの相談にも気さくに親身になって対応し、また党勢拡大をはじめ、党活動にも熱心で評価されてきました。
 それだけに、今回、一連のハラスメントが明らかになったことは、きわめて残念であり、こうした事態を防ぎえなかったことを党機関として、きびしく自己検討しなければなりません。
 府常任委員会として、今回のハラスメント事案に真摯に向き合い、一つひとつ解決する努力をおこない、ハラスメントの根絶をめざす府党組織へと前進する決意を改めて固め、相談窓口の開設、研修会の系統的開催、専門家の協力体制など、具体化を早急にすすめる立場をお伝えし、回答とさせていただきます。

管理人(2023/3/8)


副委員長による残念な「批判」

 田村智子副委員長が10日の記者会見で毎日新聞の論評に対してコメントした。松竹さんの本の中身について批判した幹部は彼女が初めてだ。 さすがタムトモさん、と言いたいところだが……。

 彼女は、松竹さんの政策主張を「安保堅持」で綱領と相容れないと問題視している。正しくは「核抑止抜きの専守防衛(安保堅持+自衛隊合憲)」だ。 「核抑止抜き」を無視し「自衛隊合憲」もあえて批判しない。

 なぜか? 「自衛隊合憲」は去年6月に志位委員長が言ったため、そこを指摘されると答えられないからだ※1。指導部の立場にしても、政権に入れば安保容認。 指導部と松竹さんとの違いは、政権に入れば「容認」とするか、入る前から「基本政策」※2とするかにすぎない。

 前者は綱領の立場で、後者は相容れないとするには無理がある。前者はかねてより「ご都合主義」と批判されてきたが、後者ならばそのような批判は成り立たない。 それに単純に政策比較として見れば「核抑止抜き」の方が"よりまし"とも言える。

 志位指導部の「柔軟路線」自体に反対、野党政権に入るべきでないという私の立場※3からすればどちらも50歩100歩である。 だからといって私と意見が違う松竹さんを党から追いだせとはならない。追い出せと言う人たちには断固抗議する。 どのみち、松竹さんらの意見は党内では(私のようなやや"左"と同じく)少数意見であろう。中央が何を怯えているのかがわからない。

※1:だいたい自衛隊「活用」論の再提起(2015年)や自衛隊合憲論(2022年)によって、 持論の受け入れ余地があるのではないかと松竹さんに思わせたのは党指導部である。今回の騒動は自ら招いたものだ。

※2:松竹さんのこの政策提言の「核抑止抜き」の部分は、「基本政策」としなくても党として追求できるものだ。 それが国民の支持を受け、他の野党も乗ってきたときにはじめて野党連合政権の「基本政策」として検討すればよい。

※3:「党への攻撃を書き連ねた」と「批判」されている鈴木元さんも、今は野党政権を追求するときではないという立場だ。 指導部は、2人の意見が違っているのをわかったうえで「分派活動」としたのだろうか?  それとも排除する結論が先で理由(「分派活動」)は後からこじつけたんだろうか?

管理人(2023/2/18)


末期症状

 現在の党は、宮本議長勇退せよの声が党内外で沸きおこった状況に酷似している。 1990年、市民団体と共産党の橋渡しをしていたジャーナリストの有田芳生さんが除籍処分されたあと、同様に批判の声をあげた党員が徹底的に切りすてられた。 去年出版された『日本共産党100年 理論と体験からの分析』の中で、有田さんが党員たちから受けた仕打ちについて語っている。 まさに「犯罪者」扱いだ。

 結局、宮本顕治は勇退したが、貴重な戦力を失った隊列を不破=志位指導部が引き継ぐことになった。 戦力を失ったと自覚することもなかったのか。また繰りかえすのか? 前回は「勇退」だったが今回は「党首公選」。 前進したようにもみえるが、有田さんが査問をへての「除籍」だったのに対し松竹さんは一発「除名」だ。

 指導部は「外から突然攻撃」論に無理があったと思ったのか、ここのところ松竹さんの核抑止ぬきの専守防衛論(安保堅持・自衛隊合憲)を綱領と相容れないとして批判しはじめた。 もともと党内では不評だった「政権に入ったら『自衛隊=合憲』論、『安保容認』論」を引っこめれば指導部への信任が得られると思ったか。

 国政選挙があれば、政権に入ったら「自衛隊=合憲」「安保容認」と言い、国政選挙がなければ安保廃棄・自衛隊違憲と言う。しかもこうした変更が同じ党首のもとでおこなわれる。 これで党員・国民の理解・支持を得られるのだろうか?

 もう一度言う。何度でも言う。「130%の党」――それは党運営の民主化を抜きにしてありえない。党首公選制という、ほんのささやかな改革すらできないようでは、党は消滅の道をすすむだけである。

管理人(2023/2/15加筆修正)


党首公選を考える(思考実験)

 党指導部は、党首公選は「分派につながる」として否定する姿勢を崩さないが、それが誤りであることを証明する実例が存在する。維新の会である。

 維新の会は共産党と同様の政策政党であるゆえに、派閥のある自民党や立憲民主党などとは様相の異なる党首公選をおこなっている。 政策論争は行われていないのだ。もし共産党が党首公選すれば維新の会のようなものになろう。

 では先の維新の会の党首公選で各候補がどんな争点を挙げたか。馬場氏は、「地方組織の強化」「候補者発掘」「若手登用など次世代の育成」など。 足立氏は、「党員民主主義と地方重視を制度化」「集団指導体制への転換」など。 梅村氏は、「党内資金の透明化や分配適正化」「女性の党要職起用や候補者の発掘」など――そう、これは組織論の論争だ。

 共産党でも出てきそうな争点ではないだろうか。「馬場」「足立」「梅村」の3氏を例えば、「小池」「辰巳」「田村」の3氏としてみよう※。 女性幹部を増やしたいという党員は田村さん、もっと党内民主主義をという党員は辰巳さん、志位路線継続という人は小池さんを選ぶだろう。

 もっとも維新の会では、前党首が後継を事実上指名した上での出来高レースであり、盛り上がりにも欠けた。 党首公選をする以上、そのような実力者の圧力を排除する仕組みも必要だ。

 でもこれじゃあ維新といっしょで芸がない。維新がやらない政策論争もやりましょう。ただしそれは党大会の任務。 人と政策が不可分に結びつくと派閥ができる。だから、党首選挙と政策論争を切り離すのだ。政策も各分野ごとに投票すればより効果的。 ここまでやってはじめて維新のシステムより優れた民主的システムとなる。

 これが、松竹氏の提案を批判的に検討した私の試案である。

※あくまで実在の人物とは関係のない架空の人物である。

管理人(2023/2/9)


化けの皮、は・が・れ・る

 「党首公選制」導入を主張したジャーナリスト松竹伸幸氏が、所属する地区委員会にて「除名」処分とされた。 規約上、京都府委員会にて承認され確定となる。

 報じられている党機関の論理に従えば、つまるところ松竹氏を支持する所属支部が「分派」と認定されたことになる。 名づけて「松竹」分派事件! 支部の他の党員も「除名」されるか「自己批判」してとどまるかの選択に迫られることになろう。

 そればかりではない。彼の主張を読んで共感したり似たような意見を述べた日本全国の党員たちも「分派」だ。 全員ひとり残らず党機関に呼び出され「除名」か「自己批判」どちらか選べ、と迫られる。当然、私も呼び出される――はずである。

 そうでないとしたら? それだけの覚悟を持って「除名」したのでないとしたら? これほど恣意的な規約の運用はない。 賛同者を広げたら「分派につながる」(=多数派形成の言論)アウト。指導部にだけコッソリ意見を上げたらセーフ。――コッソリ言ってほしいんだね。

 今回の処分は、指導部からの各党員への強烈なメッセージだ。内輪ではどんな意見を言ってもいい、 だが数にモノいわせて多数決にしようなんざ、ユメユメ考えるんじゃないぞ、その意見の当否を判断するのは指導部だけなんだからな、 そこを履き違えるんじゃないぞ、と。「パワハラ上司」が「つけあがった部下」を諭しているんだな。なるほど。

 この処分が党の団結にはいっさい寄与せず、むしろ党への打撃になるということがわからない人たちに党を運営する資格はない。 指導部は「全支部・グループへの手紙」などで現場からの声を聞くと言いながら、やっぱり変わることができなかった。 支部の垣根を越えた「真ん中世代」の取り組みも「分派」を生む土壌になるからと言ってそのうち禁止されるかもしれない。

(追記)京都府委員会のコメントから、彼らが認定した「分派活動」とは、鈴木元氏の著書の出版を知った松竹氏が、 同じ時期に出そうと示唆したことだと判明。その著書も党への「攻撃を書き連ねた」ものだそうだ。 彼らの著書が、党への攻撃なら、党員が一致団結して闘うのが筋!  なんで小池書記局長は、岸田首相みたいに「丁寧に説明していこうと思っています」などと言うのか? 「丁寧に説明」しなければわからない攻撃とはなんだ?

管理人(2023/2/6)


維新の会と闘う

 そもそも維新の会は、自民党大阪府連から生まれ、それなりの“地盤”を有する正真正銘の保守政党。 自民党内のせっかちな“改革“派が、多数派形成により主導権を握るという通常のプロセスでは待ちきれずに別会派を結成したのがはじまりだ。 党が違うとはいえ、同じくせっかちな“改革“派であったが無力だった私からみれば、彼らの“成功“はうらやましい限りだ。

 彼らの強さは「政策政党」というところにあるのではないか。この点は共産党に似ていて、所属議員が不祥事を起こし辞職しても同じ選挙区から新たな候補者を当選させることができる。 トップの意見で党がまとまるところなども共産党の「民主集中制」を思わせる。 党首選挙をやってはみせたものの共産党と同じく選挙前から結果は決まっている! ――似たもの同士だったんだ。

 維新の会は例えば大阪市政において、高齢化による高齢者一人あたりの現役世代人口が激減する事実をもって現役世代の負担が増えるとみなし、 不満を持つ現役世代を支援することを「経営目標」として政策を具体化し数値を追う「経営」をしてきている。 これは単純な新自由主義的政策ではなく、新自由主義の負の側面を緩和させる"ポピュリズム"的な政策も併せもっている。この点は安倍政権も同じだった(と思う、かなり雑な議論だが)。 ヨーロッパでは21世紀に入ってから一時極右ポピュリズムが隆盛したのちに、それらの大衆を捉えた政策を既成保守政党が取り入れて伸長した経緯がある。そうした海外の政治状況にも学んでいるのだろう。

 だから? 難しいのだ。彼らとどう闘うのか。府民はかつての自民府政よりよくなったと実感している(思っている)。 そこへ自民よりヒドイ、だから自民と組んででも倒しにいきます、なんて言っても響かない。闘いのスタート地点となるのは府民の意識だからだ。 むしろ、税金注ぎこんでカジノやるって、見ろよ、かつての自民府政と何がちがうねん、という方がわかりやすい。

 世界的には新自由主義(グローバリズム)の限界が見え、逆回転、脱グローバル化が始まっている。 これは経済的にはインフレという形をとる。労働運動の底上げで賃上げを勝ちとるチャンスでもある 。そしてコロナ禍で顧みられなかった層がある。労働者、医療関係者、障害者、福祉関係者、一人親の家庭、各年代の一人暮らしの人たちなど。共産党員たちは、彼らの声を代弁して地道に闘ってきた。だから自信をもって進もう、この道を。たつみコータローさんとともに。

管理人(2023/1/26)


デフレは終わるか?

 日本ではこの20年でデフレが進み「安い日本」になってしまった。モノが安いだけではない。労働者も「安い」のだ。安い労働者を目当てに中国資本が進出してきているという報道もある。

 20年前と言えば、そう、「さざ波通信」を始めた頃だ。当時はまったく逆だった。2001年9月に私が「日本経済とグローバリズム」と題して書いた記事がある。日経連※言うには、日本は「高い」、内外価格差が2・3割ある、となるとこれからはデフレだ、それは2・3割安くなるまで続く。だから日本人は雇用が減っても賃金が安くなってもがまんしろという、"日本の危機"イデオロギーを彼らは振りまいていた。

 そのとき、わが党は? 社民党の自壊による共産党の得票数の一時的な倍増に浮かれ、政権入りを夢みて財界と対話。「野党外交」と称して東南アジアの支配政権とも交流を図った。指導部の意を汲んだ「しんぶん赤旗」の記者たちは、リストラを進める財界内部にも矛盾があるとして、経団連+経済同友会vs日経連という構図を描いてみせた。おいおい、何言ってんだ? 敵を前にして武装解除するなよ、というのが私が記事を書いたときの問題意識だった。

 あれから20年、財界の思惑どおりにまんまとしてやられた。もっとも、労働者は一方的にやられ続けたわけではない。女性たちがいた。専業主婦は減る一方だった。生活防衛のため、結婚しようがしまいが、キャリアを中断させない道を選んだ。そして団塊の世代が作りあげた“昭和特製”日本型男性社会、24時間タタカエマスカ的“企業戦士”の世界に向かってハンマーを振りあげたのだ。就職難に泣き寝入りしない、女性が働きやすい職場環境を、あらゆるハラスメントNo!

 当時のグローバル化の流れは、トランプ政権のポピュリズム的政策によるTPPからの離脱を皮切りに逆回転を始めた。インフレの波が日本にも押しよせ、財界すら“賃上げ”を言わざるをえなくなっている。もっとも、闘わずして勝ちとれるものは何もない。だから、党指導部にお願いしたいのだ。女性たちが始めた闘いの邪魔をしないでくれと。あのときのような武装解除をしないでくれと。

※記事を書いた半年後に旧経団連と合併して現在の日本経済団体連合会(経団連)となった。

管理人(2023/1/26)


「130%の党」に必要なもの

 今また「130%の党」と言われている。19年前にもあった。私は「さざ波通信」でも取りあげ論評した。そこで私は指導部の分析を掘りさげ、党が反転攻勢に向かうには学習とイデオロギー闘争※が重要なこと、そして党の団結を強めることが大事だと訴えた。指導部はそれに背いているとも。

 今回はどうか。指導部として「手紙」など親身な姿勢を見せている。「学習」にも力を入れているようだ。だが天の邪鬼な私は、昭和のパワハラ・モラハラ上司が急に猫なで声で部下のご機嫌とりを始めたような情景を思い浮かべ、正直、引いてしまった。

 7中総後、党の団結は強まっているだろうか? 残念ながら、団結にヒビを入れるような出来事が続く。たとえば千葉県書記局長が犯した盗撮事件。「ジェンダー平等」を訴える党の幹部がなんてことを! 除名は当然だが、規約上は中央委員会の承認をへて処分が確定される。党中央は自身のこととして語らなければならないはずだが、小池書記局長はなんだか少し離れたところから語っているような印象を受ける。彼自身が受けた処分のことが頭にちらついたのか?

 もう一つ例を。ここ大阪府での出来事。二期目の富田林市議が同僚市議よりパワハラを受けたと訴え、それが解決しないため次の立候補を取りやめるという。党は、訴えた側そっちのけで加害者側からの聞き取りのみで調査をすすめたばかりか、訴えた側に「内部問題を党外に持ち出した」として注意した。地区委員会としてお詫びの文書を出したようだが、被害者を批判して、どこがお詫びなのか? 市民から選ばれた市議の活動上の障害は党の内部問題ではなく、支持者や市民に報告することは当然のことだし、むしろそうするのが義務ではないかと思うのだが、私の感覚がずれているのだろうか? それを咎めるということは、事実はないと判断したというに等しい。

 結局、19年前と同じ感想しか出てこない。組織の団結は民主主義の上にしか建てられないのだと。党の幹部諸君! 内部問題だなどと言って閉じこもってはいけない。発想の転換が必要だ。どんなことでも党員・支持者にオープンにして意見を聞いてみよう。手厳しい意見も出るだろう。ちょっと度が過ぎた意見も出るかもしれない。そこはちょっと堪えて(こらえて)同志として敬意をもって接してもらいたい。答えはきっとそこ<風通しのよくなった党>から出てくるはずだから。

※ここでいう「学習」は、決定の学習という狭い意味での学習ではない。また、イデオロギー闘争とは、たとえば支配層による「自己責任」論等に対して反撃の武器となる思想闘争のことをさす。

管理人(2023/1/26)


『さざ波通信』管理人

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