編集部座談会――『さざ波通信』創刊から半年を振り返って

 司会 それぞれ『さざ波通信』を開始ないし参加するにいたった経過を簡単に語っていただきましたが、半年間やってみた感想を聞かせてください。

 A 『さざ波通信』を発行するにあたって、いちばんの問題は、活動上の経験のみならず、理論的な訓練を一定積んだ党員同志の協力を得ることができるかどうかでした。そうでないと、単にあれこれの疑問を提示するだけでなく、理論的な問題についても一定の見方や対案を与えるようなホームページにはならないからです。この点では、インタビューでおなじみのH・T同志の全面的な協力を得ることができたので、『さざ波通信』の発行のめどが立ちました。私たち編集部員もさまざまな形で『さざ波通信』の内容充実に努力し、量的にも質的にも一定のものが築きえたと思っています。

 B 私は主としてHP管理にたずさわっていますので、その観点から発言します。
 まず、開設に先立ち、さまざまなホームページを調べてAさんとともにHPのコンセプト・構成・技術面などを詰めていったのですが、その際に、月間2000アクセスくらいは得られるだろうと考え、とりあえず3ヶ月後に月間3000アクセスを目標に考えていました。この目標は意外にもすぐに達成しました。ただ、当初の反応は元党員や支持者、他党派の方が多かったように思います。またリンクなどをしてもらっているサイトも多数ありますが、他党派関係が多いですね。
 開設後の反響ですが、2月14日にトップページだけで開設したところ、17日に初めてメールがきました。1週間くらいで、編集部員とは面識のない党員からもメールがきました。まだどこの検索サイトにも登録されていない時点でびっくりしましたが、どうやら左翼系のメーリングリストに『さざ波通信』のことが掲載され、それを通じて口コミやメールコミで広がったようです。そして、ヤフーへの登録後にアクセス数が一気に増え、いっせい地方選挙など共産党への注目が集まるたびにアクセスが増えるという傾向が見られました。
 現在も一定のアクセス数を維持していますが、この数字から判断して、現在のインターネットの状況を考えればかなりの注目を集めているのではないかと思います。この間の投稿の中で、「圧倒的多数の党員」は「無視」しているという意見がありますが、それは正しくないでしょう。

 C そうですね。私自身はもう少し速いペースで党員の反応があらわれるかと思いましたが、予想よりは緩慢でした。インターネットの利用者が比較的若い世代が多いのに対して、党組織では20代が2、3%しかいないという現状があることや、まだまだ問題意識が顕在化していないこと、また、この間の投稿で何度か出されていますが、『さざ波通信』が本当に党員がやっているのかどうか確信が持てないという方もまだまだいらっしゃることなど、いろいろ理由はあると思います。

 B それに、たとえ意見がかなり一致していても、そもそも、旧来の規約解釈からすれば問題がある『さざ波通信』のようなサイトに投稿することに躊躇する党員も多いでしょうね。実際に非公開メッセージの中には、『さざ波通信』を応援し期待しているが投稿する予定はない、という趣旨のものもありました。

 A 私の属している支部について言うと、『さざ波通信』を頻繁にチェックしている人はけっこう多いですね。私は、自分がやっていることを言わずに感想をそれとなく聞いていますが、それなりに好評なようです。ただ、『さざ波通信』各号に入っている論文はけっこう長いので(とくにインタビュー)、じっくり最後まで読んでいるかどうかはわかりませんが。 

 司会 『さざ波通信』各号における議論の中身についてはどうですか?

 A その点については、具体的には各号の中身を読んでいただきたいのですが、基本的な現状分析の視角と変革の方向性については、党内でコンセンサスをとることができればと思っています。
 つまり、現在の支配層による政治的・社会的再編の方向性が、日本の帝国主義化と新自由主義化にあるということ、この両方向と対決する政治的・社会的戦線の構築が必要であること、その戦線の担い手は、けっして既成野党間の数合わせによってではなく、伝統的革新層を中心に、帝国主義化に反発する階層と新自由主義政策によって直接に不利益をこうむる諸階層の下からの連合によるほかないこと、そして、変革主体の側は、戦後民主主義運動の最良の到達点を踏まえ、その限界を越えて新しい社会構想を構築しつつ、現在の大規模な攻撃とねばり強く闘う中で展望を切り開いていくしかないこと、等々です。
 以上のような問題把握は何も『さざ波通信』だけに特有なものではなくて、最近左派の間でしだいに有力になりつつある見解だと思っています。とりあえず、以上の点でのコンセンサスがとれれば、それ以上の突っ込んだ論点については、意見の相違があったとしても、かなり共通の基盤で議論しあえると思っています。

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