民青同盟第27回大会の総括と展望

1、情勢に対する一面的な見方

(1)国際情勢論の不十分さ

 民青同盟の第27回全国大会決議および報告を見て最初に気づかされるのは、国際情勢についての記述が非常に少ないことである。
 決議の最初の項目は、第1章「政治と社会をかえるたたかいをひろげよう」であるが、そこで述べられているのは基本的に国内情勢のみである。中央委員会報告においても、最初に述べられている情勢問題は自自公政権の横暴についてである。たしかに、自自公政権の横暴の1つとして、危険な外交政策についても述べられているし、第2章の「青年が希望をもてる21世紀を」のところに、NATOによるユーゴ空爆についても触れられているが、東チモール人民の独立達成や経済のグローバル化による貧富の格差の増大、ヨーロッパにおける反失業闘争の発展といった、世界的にきわめて重大な諸問題については、ほとんど触れられていない。
 インターネットの話を持ち出すまでもなく、グローバリゼーションはあらゆる方面で急速に進められており、世界のある地域での闘いが、他の国の闘いに影響を及ぼし、あるいは、一部の先進資本主義諸国の意志決定が世界中の人民の暮らしと平和を脅かすという構造が成立している。昨年末、シアトルで開催されたWTOの閣僚会議に対して、世界中から環境保護運動家や消費者運動家、政治運動家らが結集して、帝国主義諸国と多国籍企業のためのグローバリズムにノーの声を突きつけたことは、その典型的な現われである。この模様は、新聞やテレビのニュースなどでも大きな話題となり、世界中の人民を鼓舞する役割を果たした。
 また逆に、1989~91年におけるソ連・東欧における「社会主義」諸国の崩壊が、世界中の人民の中に社会主義そのものに対する否定的な感覚を生じさせ、資本主義万歳論が大いに流布し、各地における人民の闘争に対し著しく否定的な影響を及ぼした。
 また、日本で現在急速に進められている新自由主義政策や帝国主義化のための政策も、単に日本の支配層だけの思惑で進められているのではなく、経済大国となった日本が西側陣営において占める政治的地位、および、日本の企業が多国籍化した現実、そして、グローバル化した世界市場における日本の経済的地位など、世界的ないし国際的な要因によって規定されている。
 このように、日本に住む青年の生活にとって、国際情勢の問題はきわめて密接な関わりを有しており、何よりもこの事実に青年の健全な関心を喚起し、世界の人民の闘いに対する国際連帯の精神を培うことは、日本の民主主義的変革にとって決定的な意味を持っている。
 実際、報告の中でも、「二、時代の要請、青年の願いにこたえる民青同盟めざして」の(2)の部分で、NATOのユーゴ空爆に激しい憤りを持った青年が民青同盟に加盟したというエピソードが紹介されている。青年の健全な正義感にこそわれわれは依拠するべきであり、その正義感の最も重大な源泉の1つは、世界における帝国主義的な犯罪行為や第三世界の人民がこうむっている悲惨な搾取や収奪であり、また、世界各地で取り組まれている民衆のラディカルな闘いの経験なのである。
 そして、日本自身が、その国家政策を通じて、あるいは、多国籍大企業による搾取と収奪を通じて、世界の人民に対し加害者的役割を果たしている今日、世界の深刻な現実はストレートに日本の政治と経済のあり方そのものに結びついており、したがって日本における変革の事業は世界のより人間らしいあり方をつくりだす事業にストレートに結びついている。この問題を正面から取り上げ、決議および報告の中で、しかるべき分量を割くべきである。

←前のページ もくじ 次のページ→

このページの先頭へ