民青同盟第27回大会の総括と展望

1、情勢に対する一面的な見方

(2)国内情勢の基本動向の捉え方

 次に、大会決議の国内情勢に関する記述についてである。決議を見ると、まず「(1)青年の切実な要求と行動のひろがり」の欄に、いくつかの国内情勢上の諸問題が列挙されている。最初が「平和・憲法をまもるために力を合わせよう」で、次に「青年の雇用とくらしをまもろう」、「人権と民主主義の侵害は許さない」、「乱開発から自然と環境をまもろう」、「18歳選挙権の早期実現を」と続いている。
 自然環境の問題が積極的に取り上げられていることは、この間の民青同盟の新しい動きを示すものとして歓迎したいが、しかし、これらの諸問題はいわば羅列的に並べられており、国内情勢を規定している基本的な動向が統一的に把握されていない。
 なぜ今、新ガイドライン法が制定され、「戦争をする国家」づくりが目指されているのか、なぜ今、国旗・国歌法が制定されたのか、なぜ今、盗聴法が強行採決されたのか、こうした疑問に決議も報告もまったく答えていない。あるいはまた、こうした政治動向と平行して、どうして青年の雇用とくらしを脅かすリストラや就職難などの問題が生じているのか、どうして消費税増税や社会保障の連続改悪や「保険あって介護なし」といわれる介護保険法などが次々と実現されているのか、こういった諸問題についての、統一した把握がまったくなされていない。
 こうした弱点は、個々の記述にも悪影響を与えている。たとえば、盗聴法の問題は「国民のプライバシーを侵害する」ものとしてしか理解されていない。すでに、『さざ波通信』第7号の論文で述べたように、盗聴法は、単に国民のプライバシーを侵害するだけでなく、それが戦争できる国家づくりの一貫であることに、真の問題がある。また、第2章の「青年が希望をもてる21世紀」の(1)の1に「大企業・ゼネコンのもうけ優先ではなく、くらしと自然環境が大切にされる日本」という項目があるが、公共事業に対する無駄な予算配分に対する批判はあっても、軍事費に対する批判は存在しない。これは、軍事費削減を言わなくなった共産党の右傾化の反映でもある。
 先進的な青年は、単に個々の悪政に対する怒りを持つだけでなく、こうした悪政が、支配層のどのような戦略と経済社会全体のどのような構造変化によって生まれているのかを理解したいと欲しているし、また、それが理解されてはじめて、これらの一連の動きに対する本当に腰のすわった闘いも組織することができる。先進的青年の結集体としての民青同盟は、そのような疑問や要求に応えて、青年に、この間の情勢の基本的な動因や仕組みを明らかにしなければならない。そのような基本的構図が明らかになって初めて、変革の道筋も見えてくるのである。
 その基本的構図については、私たちはすでにこれまでの『さざ波通信』の各号で明らかにしてきた。ここでは改めて詳しくは述べないので、読者のみなさんは、既刊号を参考にしてほしい。

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