今回の決議および報告の中で無視されているもう一つ重大な問題は、青年労働者を中心に急速に拡大している不安定雇用の問題である。今回の決議および報告を見るかぎり、青年の就職難の問題やリストラ・合理化、長時間労働などの問題は取り上げられているが、80年代以降、とりわけバブル崩壊以降、急速に広がったパート労働や派遣労働や契約社員といった不安定雇用の問題についてはまったく触れられていない。
こうした不安定雇用の割合は年々増大し、とくに女性労働者の間ではすでに半分近くが何らかの不安定雇用となっている。一方で常勤労働者をリストラし、足りなくなった労働者をパート労働や派遣労働などで補うというパターンは、大企業を中心に急速に拡大している。この問題は就職難とも密接に結びついている。企業は、賃金コストが高く社会保険や年金などの負担の生じる常勤労働者の採用をできるだけ絞り、一部の幹部労働者に限定する一方で、底辺の単純労働者や事務労働者や販売労働者などは、パート労働者ないし派遣労働者としてのみ雇用するという戦略をとっている。
ほとんどのパート労働者は、定昇もなければボーナスもなく、退職金も住宅手当もない。賃金は最低レベルであり、きわめて簡単に解雇される。企業側が負担する人件費をトータルで見れば、パート労働者は常勤労働者の10分の1程度の負担ですむ。そのため企業が、こうした雇用形態を急速に拡大しつつある。
にもかかわらず、企業内の常勤労働者中心の既存の労働組合はほとんどの場合、こうした不安定雇用労働者の要求を取り上げようとしない。そして、非正規労働者の労働組合組織率は数%程度である。この非正規労働者においてこそ、最も切実な要求が渦巻いている。
こうした非正規労働者の要求を取り上げ、実現することは、全国単一の青年組織である民青同盟にとって、最も本領を発揮しうる課題である。そしてそれは、民青同盟の労働者的基盤を著しく拡大するとともに、その飛躍のためのスプリングボードとなるだろう。民青同盟は、非正規の青年未組織労働者を中心に地域労組や一般労組を結成する先頭に立たなければならない。その際、非正規労働者の要求に比較的敏感な民主的労働組合の協力をあおぐことが必要である。この課題は、21世紀における最重要の課題の一つである。