民青同盟の大会報告では、「大会の任務」として、「全同盟の英知を結集して、元気の出る、すばらしい決議をねりあげていきたいと思います」として大会での積極的な討論を呼びかけている。全国の基礎組織である班が総会を開いて決議案を論議し、各級会議を経て選出された代議員たちによって、どのように全国の声が反映されたのだろうか?
27回大会「結語」によると、「3日間の討論では、47人が発言」し、「民青同盟の存在意義、魅力と役割にさまざまな角度から光があてられ、参加者の大きな確信になった」としている。それでは「決議案」と「決議」を比較してみよう。文章が追加・変更された箇所は、以下の11ヵ所である。
a(1章の1「青年の雇用とくらしをまもろう」、文章追加)
「米価を大暴落させ、農業青年をいっそう苦しめています。2000年から介護保険が導入されますが、介護の基盤整備が不十分で「保険あって介護なし」となる不安がひろがっています。茨城県東海村の核燃料施設でおきた臨界事故は日本と世界に大きな衝撃を与えました。しかし政府は「原子力は安全」という『安全神話』にしがみつき、安易な原子力政策をやめようとしていません」。
b(同、「乱開発か自然を守ろう」、修正)
「『一人の力は小さくても、一人が動かなければかわらない』――愛知の藤前干潟をうめたてる計画に反対し、干潟の値うちを知った青年たちが『好きになっちゃった?藤前ひが隊』をつくって行動し、計画を中止させました」(決議案)。
「『一人の力は小さくても、一人が動かなければかわらない』――愛知の藤前干潟をうめたてる計画に反対する共同がひろがり、干潟の値うちを知った青年たちも「好きになっちゃった?藤前ひが隊」をつくって行動し、計画を中止させました」(決議)。
c(同、「乱開発から自然を守ろう」、文章追加)
「『環境シンポジウム99』(九月二十六日、中央委員会・四国四県各県委員会主催)では、各地のとりくみが交流され『自然を青年の力でまもりぬこう』と決意がひろがりました。
d(同、18歳選挙権の早期実現を、文章追加)
「18歳選挙権は、青年の社会的・政治的地位や権利を飛躍的に高めるものです」。
e(1章の2の小見出し、修正)
「(2)『自自公』連合には未来はない」(決議案)
「(2)自自公連立政権に未来はない」(決議)
f(1章の2「自自公連立政権に未来はない」、文章追加)
「同時に、この体制は、日本が直面する問題について、解決の展望をいっさいしめせない体制です。原子力政策の問題、雇用問題、環境問題などあらゆる問題で国民にこたえる中身をもっていません。そのために、国民との矛盾を深め、青年の怒りをひろげています」。
g(2章1-1「大企業・ゼネコンのもうけ優先ではなく、くらしと自然環境が大切にされる日本」、文章追加)
「東海村で起きた臨界事故をくりかえさないために原子力行政を根本から見直し、安全と規制の体制を立てなおさなければなりません」。
h(同、3「『いじめ』や教育のゆがみに苦しむ青年を一人も残さず、憲法が生かされ、民主主義の花ひらく日本」、文章追加)
「こうした「新しい日本」を現実のものにするには、政治、行政、経済、教育、文化など日本社会のあらゆる分野で国づくりをすすめる働き手が無数に必要です。青年の願いが実現できる日本をつくるために力を合わせていきましょう」。
i(2章-3「時代の要請と青年の願いにこたえて飛躍するとき」、修正)
「第26回全国大会から2千人以上の仲間をあらたに迎え、機関紙ではあらたに6千人以上の読者をふやしました」(決議案)。
「第二26回全国大会から4千13人の仲間を新たに迎え、同盟員数は2万3千人を超えました。機関紙ではあらたに7千352人の読者をふやしました」(決議)。
j(3章2-1「職場・地域・学園で要求をかかげてたたかおう」、文章追加)
「大学での学問を社会の各分野の進歩と発展に生かすために、社研、自主ゼミなど学ぶ活動を重視します」。
k(同上、修正)
「中央委員会は全労連青年部などと協力して『働く青年の要求実現全国交流集会』を開催し、『職よこせ・リストラやめてパレード』で就職難解決をもとめて社会にアピールします」(決議案)。
「『働く青年の要求実現全国交流集会』(10月10、11日、中央委員会、東京都委員会主催)は、ひどい職場の現状や就職難を打開する展望を学び、各地のたたかいを交流して参加者に勇気をひろげました。集会後には全労連青年部、全学連、就職難に泣き寝入りしない女子学生の会と『職よこせ、リストラやめてパレード』をおこない社会にアピールしました。中央委員会は、政府や財界団体への要請行動やシンポジウム、マスコミへのはたらきかけなどのとりくみをつよめます」(決議)。
以上を見ると、11ヵ所の変更部分のうち、決議を発表した後の期間に起こった出来事を追加している部分が5ヵ所(a、c、g、i、k)、語句表現上の修正が2ヵ所(b、e)、新たに追加した表現が4ヵ所(d、f、h、j)となる。しかし、この4ヵ所をもう少し詳しく見ると、d、f、hは、その章の内容を強調するために補足されたものである。そうすると最後に残ったのは、わずかに1ヵ所だけである。
つまり、3日間の大会討論で練り上げた成果は、わずかに1ヵ所、「大学での学問を社会の各分野の進歩と発展に生かすために、社研、自主ゼミなど学ぶ活動を重視します」という文面を引き出しただけということになる。これでは、全同盟員の英知を結集して練り上げた決議であるとは、とうてい言いがたいのではなかろうか。