民青同盟第27回大会の総括と展望

4、先進性と大衆性の真の確立を

(1)大衆性の履き違え

 「広大な空白」問題が表面化するなかで、民青同盟としても従来の運動の進め方の見直し作業をおこなってきた。とりわけ90年代にはいってからは、大衆運動路線としては「すすんで相談にのろう、親切、友情を大切に」「青年の要求のあるところ民青同盟の活動あり」というスローガンをかかげられるようになった。紙面や公式文書でも、やわらかい表現で「読みやすい」内容であることが重視されるようになった。だが、そうした表現の数々は、しばしば大衆迎合的で陳腐であり、一般の青年の琴線に触れないだけでなく、政治意識の高い青年の場合には反発さえ買いかねない。
 運動の内容としても、ゆるやかで広範な性質のものが重視されるようになった。「スケボーパーク」建設の署名や、大学へのクーラー設置運動なども「大会報告」で具体的に紹介されている。たしかに、多面的な活動を展開し、多くの青年の受け皿となることそれ自体は必要なことである。しかし、こうした要求運動は、情勢が提起している真に重大で深刻な問題を十分に受け止めるものになっていない。社会に対する問題意識が高く政治的自覚も先鋭な青年を、このような水準の要求実現活動だけでは惹きつけられないのは明らかである。
 新自由主義施策の推進によって切り捨てられていく膨大な層のなかには、すでに述べたように、不安定雇用を強いられる青年や、医療・福祉・教育から切り捨てられる青年など無数の青年が含まれている。こうした青年の要求に応え、彼らを組織することは、政治、社会に働きかける運動体としてつねに重視されるべき課題であるが、その点も十分とは言えない。
 また、他団体との共闘も、模索していくべき重要な課題である。共闘に関する記述を「大会決議」から読んでみると、「二、青年が希望をもてる21世紀を」の運動方針として次のように提起している。

「『民青同盟のめざす新しい日本』を広範な青年に語り、草の根からの共同をひろげます。班や地域単位でトーク集会やシンポジウムなどにとりくみましょう」。

 また、この間の成果としては、戦争法に関連して次のように報告されている。

「中央委員会は、日本青年団協議会、日本社会主義青年同盟とともにアピールを発表しました。全労連青年部や全学連などと力を合わせて「ガイドライン関連法案反対青年・学生実行委員会」を結成するなど、青年の共同のとりくみをひろげました」。

 しかし、ここで報告されている青年団や社青同、全労連や全学連との協力・共同は、従来の枠内のものであり、この枠は長期にわたってまったく広がっていない。神戸空港建設の反対運動や吉野河口堰建設の反対運動は、こうした身内的な団体以外との共闘をそれなりに実現させることによって前進してきたことを考えるならば、もっと意識的な共闘実現への努力が必要である。たとえば労働問題をめぐっては全労協の青年部、原発や環境問題をめぐっては新社会党の青年部など、各運動分野での共闘は、こちらから積極的にとりくみ実現していくべき課題であり、そうしなければならない情勢である。

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