同盟員の主体性がどのように発揮されているのか、「班が主人公」となるための創意や工夫がどのようにされているか、という点を検討するうえで、大会の前後の模様について、報告がどのように述べているかを順に見てみよう。まず「大会報告」の冒頭に、大会決議案を読んだ同盟員の反応として、以下のように記述されている。
「九月の第三回中央委員会で発表された大会決議案は、全国で積極的にうけとめられています。『青年が社会を動かしていることがわかってわくわくする』『こんなに気持ちにぴったりくる文章は初めて。自分たちの班がやってきたことに自信がもてた』などの感想とともに、『社会に不満をもつだけでなく、かえる展望をつかめる民青同盟員としての生き方を、多くの青年にひろげたい』など、同盟拡大への意欲がおおいに高まっているのが特徴です」。
そして、大会当日の様子や討論については、次のように述べられている。
「討論の特徴の第一は、民青同盟の存在意義、魅力と役割にさまざまな角度から光があてられ、参加者の大きな確信になったことです。とくに二つの点で、掘り下げられました。一つは、青年の深刻な状態と切実な要求や願いとのかかわりで、民青同盟の魅力や役割が輝いていることです。……二つは、21世紀に民主的政権を実現し、その担い手となるべき民青同盟の役割がうきぼりになっていることです。
討論の特徴の第二は、時代の要請にこたえる『10万、20万の民青同盟』への飛躍の芽が、この間の私たちの努力によってすでに育ちつつあると証明されたことです」。
さらに大会後の課題としては、「大会直後の諸活動」として、以下のように呼びかけがされている。
「すべての班が、このあと採択されるであろう第27回全国大会決定の徹底と、それにもとづく実践にただちにとりかかることです。
県や班の仲間に、大会報道特集の『民主青年新聞』『われら高校生』もつかって、第27回全国大会の感動と確信を伝え、決定の内容をよく学習・討議し、班活動プランをつくって活動を開始しましょう」。
「代議員、評議員のみなさん。時代の要請と青年の期待にこたえる民青同盟への飛躍のスタートはすでに切られています。この場から年間一万人以上の同盟員拡大への本格的なチャレンジがスタートします。この歴史的な全国大会に参加した代議員、評議員としての誇りを胸に刻み、『新しい日本』を建設する壮大な事業にむかって前進していこうではありませんか」。
こうした報告には、真に一般同盟員や下級組織の声をくみ上げようとする努力や配慮がまったく感じられないし、指導部にとって都合のいい同盟員の意見は紹介されても、実際に活動している同盟員の生きた声も異論も聞こえてこない。指導部にとって望ましい同盟員像はよく伝わってくるが、全国の同盟員のさまざまな多数意見や少数意見はまるで伝わってこない。
こうした報告から浮かび上がってくるのは、指導部の方針案がほとんどそのまま決定となり、班は決定にしたがって、下級は上級にしたがって、ひたすらにそれを実践するという姿だけである。「日本民主青年同盟の規約」の前文にある「民主的、集団的に討議をつくす」という過程はどこに行ってしまったのだろうか。中央指導部の提起が議論の余地なく受け止められ、下部はそれをただ学んで実践するだけという組織のあり方こそ、官僚的であり、同盟員の主体性、創意や工夫の意欲を奪いさっているのだということを、そろそろ指導部は理解するべきではないのか。
青年は何よりも、このような自己満足的な官僚主義を嫌悪する。2万人にまで激減した現在にいたってもなお、かつてと同じ官僚的組織運営に終始する現在のあり方が続くかぎり、情勢が求めている飛躍を勝ちとることはできないだろう。