日本共産党5中総の批判的検討

志位報告の検討(2)――総選挙をめざす共産党の路線と活動

「大運動」の真の教訓

 志位報告はさらに、4中総で提起された「大運動」の到達点と今後の課題について話を進めている。その中で志位書記局長は、次のように述べている。

「国民の要求をとらえて活動する支部が月ごとに広がり、なんらかの要求にもとづく活動にとりくんだ支部は、全党的に72%まで広がりました。この国民要求にもとづくとりくみを通じて、支部が政治単位としての自覚を強め、活力を高め、住民の信頼をかちとっています。これは、わが党の党建設の歴史にとっても画期的な出来事であり、今後の党の発展にとって大きな財産になるものであります」。

 支部が、国民の要求をとらえて活動するのは当然のことであるし、そこに共産党支部としての存在意義があるはずだが、そうした支部が大運動の中で72%にまで広がり、それがわが党の歴史にとって「画期的な出来事」だと総括されている。これは、いかにこれまでの「月間」や「大運動」が党員・赤旗の拡大と選挙運動に収斂させられていたかを、如実に示している。
 また、拡大に関しては、6ヶ月余の「大運動」の中で1万人近い新たな入党者が迎えられ、機関紙も昨年10月以来3ヶ月連続の増紙になったと報告されている。これらの成果はもちろん重要であり、左翼の政治戦線の後退と崩壊のもとで、陣地をよく持ちこたえているものとして、正当に評価されるべきである。しかしながら、これらの成果は、第21回党大会が提起した「得票の1割の党員、5割の読者」という壮大な目標にとうてい及ばない。当時の得票は726万票であるから、数字的に言うと、72万人の党員と360万の読者ということになる。これは党員が現在の倍以上になること、機関紙は1・5倍以上になることを意味する。この目標は、21回党大会では、20世紀中の課題だとされていた。ところで今年はすでに2000年である。残された月日は1年足らずしかない。にもかかわらず、成果は半年で1万人の新入党者(離党者や亡くなられた党員も多数いるから、実増はこれよりもはるかに少ない)と3ヶ月連続の増紙だけである。どこをどう見ても、目標の達成は不可能である。にもかかわらず志位書記局長は次のように叱咤激励する。

「今世紀中とは、今年、2000年中ということになります。これは、壮大な目標ですけれども、この間の党の政治的影響力の劇的な広がりをくみつくす奮闘をおこなえば、また『大運動』のとりくみの教訓を全面的に生かした奮闘をおこなえば、不可能な目標ではありません」。

 まったく許しがたい官僚主義的空文句である。半年で1万人の成果しか挙げていなにもかかわらず、その教訓を汲み尽くせば、1年で35万人を拡大することができるというのである。そもそも、第21回党大会の目標それ自体が、まったく空想的で冒険主義的なものであった。この目標は、選挙での躍進だけで政治情勢を判断するという、まったく一面的な議会主義的発想から出てきた。この間の大運動の教訓を真に汲み尽くすならば、そこから出てくる結論は、努力しだいで目標の達成は可能であるという大言壮語ではなく、目標そのものの誤りを率直に認めることでしかない。だが、無謬をきどるわが党指導部は、自らが立てた目標の空想的性格をけっして認めることなく、その責任を各党員と各支部に転嫁しようとしている。
 この問題については、不破委員長の中間発言を論じるときに、もう少し詳しく述べる予定である。

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