萩原遼元赤旗特派員による共産党批判について

3、真の党内討論の欠如

 萩原氏は、党の体質という問題からさらに踏みこんで、党内民主主義が共産党内部では欠如していることを率直に指摘する。まず、党内で真に討論する機会が保証されていないことである。

 党にたいして問題があればそれぞれの属する党組織で提起すべきだという意見もあろう。だが支部で問題を提起してもすべて中央に伝わるという保証はない。私の問題は「赤旗」で公開的におこなわれたものである。公開的に取り消されないかぎり、いつまでたっても消えないどころか、ますます拡散するのが、わが組織の特徴であることは、多少党歴のある者なら思いあたるはずだ。上の意向は目くばせひとつで下に伝わるのだ。
 中央委員会の訴願委員会に出すべきだという意見もあろう。だが訴願委員会にどれだけの権限が与えられているのか、私はこれ以上いいたくない。本部の人間ならみな知っているはずだ。
 問題は、党員が党にかかわる問題を公開的に党中央に提起する慣行も規約上の保障もないことにある。いまやインターネットの時代である。インターネット上で自由に党中央に質問したり、提案したり、それに回答を求めたりができて当然である。いつまでも旧態依然の党組織をつうじて文書で質問すること、訴願委員会に訴えることしか方法がないということでは時代の流れに合わない。
 党員個々人が、党内であれ党外であれ党の問題を事実にもとづいて論ずることは禁止されるべきではなく、むしろ必要なことだ。私の問題提起は公になされた名誉殿損を解消することについての提起である。誹議や中傷ではない。日本共産党をいっそう開かれた、国民の党にするための具体的で積極的な提言である。
 現行の党規約第2条(8)の「党の内部問題は、党内で解決し、党外にもちだしてはならない」は撤廃すべきだ。この条項によって、党にかかわる問題を世間で論じることすら規約違反、規律違反として処分の対象とされる。党員の創意性、積極性をおさえるマイナスの作用をはたしている。(216~217頁)

 さらに、次のような具体的な提案もしている。

 開かれた党となるために党機関紙「赤旗」に討論欄を設けるべきではないか。そこにはどんな意見も発表できるし、中央から都道府県、地区の各機関に回答を求めることができるようにすれば、ずいぶん風通しはよくなる。国民も日本共産党内部にどんな問題があるのかを知る助けになる。
 私が「赤旗」在任中は党中央の発行する雑誌が16あった(いまはかなり減ったが)。そのひとつを討論と意見の雑誌としたらどうかと提案したことがあったが、とうてい受けいれられなかった。
 だが、2年ないし3年に1度の党大会のさいには『赤旗評論特集版』(99年に廃刊になった)という週刊誌上で公開討論が行なわれていた。ここには相当率直な意見が出る。生身の党員の実践に裏づけられた貴重な意見が多い。こうした立派な慣行があるのだから、3年に1回と限定せず、毎月発行の月刊誌でやるならば、党の活性化に役立つだろう。(218頁)

 多くの点で同意できる主張である。私たちもまた、党全体で常時討論できるような体制をとることが必要であることを訴えてきた。それは、共産党を討論クラブに変えることではなく、より戦闘的でより大胆な実践をとることができるようにするための不可欠の措置である。真に生き生きとした討論がないならば、いずれは実践そのものも萎縮し、ルーティンに堕し、活発なエネルギーも出てこない。そして何よりも、党指導部が何らかの重大な誤りを犯したときに、それを時機を失せず批判し修正させることができなくなる。他のどの政党で行なわれているよりも活発で熱烈な民主主義的討論こそが、真に戦闘的な実践を可能にするのである。

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