無内容な不破報告に比べて、不破結語はまだ多少なりとも、出されている諸問題に答えている。
まず、規約の党員資格「日本国民」規定について、不破氏は次のように述べている。
つぎの質問は、規約の第四条にかかわるものです。さきほどの修正をいれて読みますと、「十八歳以上の日本国民で、党の綱領と規約を認める人は党員となることができる」、ここをなぜ「日本国民」にかぎるのか、いま地方参政権の問題もあり、日本に永住している外国人なら入党の資格を認めるべきではないかという質問がありました。
この問題は、日本の変革の事業は日本国民の事業だという問題、それからまた各国の運動はたがいに他国の内政には介入しないという問題、このことにかかわる問題なのです。
わが党の党員が、あるいは「赤旗」の特派員として、あるいはいろんな仕事上の関係で一つの国に長く滞在するということはずいぶんあります。その場合にも、私たちの党員は、住んでいる国の内政には介入しないという立場でとおします。それと同じことが日本にいる外国の方々の場合にはあるわけで、国として、そういう問題についての原理原則を明確にしている国もあります。
ですから私たちは、日本の国の変革の事業、革命の事業である以上、これは日本国民の事業だという立場で、第四条に「日本国民」ということを明記したわけです。
何という言い分だろうか。わが目を疑うような右翼排外主義的議論である。まずもって、赤旗の外国特派員と、日本に長年住んでいる、あるいは、生まれてからずっと日本に住んでいる在日外国人をいっしょくたにして論じるとは何ごとだろうか。赤旗の外国特派員は、日本の政治組織によって、日本の革命運動のために外国に一時的に派遣されているにすぎない。その特派員があくまでも日本の党に属して、外国の党に属さないのは、日本から派遣された特派員という性格上当然である。だが、生活の基盤が完全に日本にあり、日本以外のいかなる政治に参加する機会もない多くの在日外国人(永住外国人は言うまでもなく)は、まったく立場が異なる。そんなことは、ここで縷縷説明するまでもなく自明のことである。よりにもよって外国特派員の例を持ち出して、在日外国人に入党資格を与えないことを正当化するとは、不破氏はどこまで厚顔無恥なのだろうか。
驚くべきは、不破氏が、在日外国人に入党を認めることは、「他国の内政に介入」することにつながると判断していることである。つまり、この見解においては、在日外国人は誰であれ、何らかの外国勢力の手先だとみなされている。「介入」という言葉は、そういう意味でしかありえない。これこそ、在日外国人に選挙権を与えることを拒否する石原慎太郎の論理そのものである。石原は、在日外国人に選挙権を与えることは外国人による内政干渉になると信じている。共産党という政党名を持った組織の長がこれとまったく同じファシスト的発言を行ない、しかもそれが大会において誰からも批判されないとは、いったいどういうことだろうか?
もちろん、在日外国人自身が、日本の政治に関与するつもりがないと言う場合には、その意向は尊重されるべきである。われわれは、在日外国人の日本政治への参加を拒否してはならないが、参加することを強制してもならない。その選択は完全に一人一人の在日外国人自身にゆだねられる。だが共産党は、国籍の有無にかかわらず、日本に住み、日本の民主主義的および社会主義的変革を志すすべての人に門戸を開くべきである。そして、これらの人々に、青年支部と同じく、共通の社会的基盤にもとづいた支部ないし部会を結成する権利を認め(日本人とともに普通の支部に所属するか、独自の支部を作るかは、それぞれの在日外国人党員に委ねられるべきである)、そのことを規約に明記すべきである。もしそうしたなら、日本共産党の民主主義的権威はいちじるしくアップするだろう。