臨時党大会の問題をめぐっては、前号の『さざ波通信』でも、本サイトへの投稿でも、別刷り『学習党活動版』に寄せられた意見でも、かなり取り上げられた。この問題について不破結語は、この臨時党大会問題の一部についてのみ、次のように答えている。
第十九条の臨時党大会の規定についても質問がありました。
臨時党大会の開催条件については、「中央委員会が必要と認めて決議した場合、または三分の一以上の都道府県党組織がその開催をもとめた場合」ということが規定してあります。現行規約にはこれにくわえて、「党員総数の三分の一」が要求する場合という規定がありました(規約第二十五条)。その規定を今度省いたわけですが、なぜ省いたのかという質問でした。
「党員総数の三分の一」という従来の規定はどういう意味の規定だったかといいますと、これは党内でそういう署名運動などをやって、その署名が三分の一になったら臨時党大会を開くということではないのです。いくつかの都道府県党組織から要求があった場合に、それらの組織に属する党員の総数が、党員総数の三分の一を超えた場合には、党大会を開く要件にするという意味だったのです。
これを現状にあてはめて考えますと、たとえば東京・大阪・京都・北海道という四つの大きな都道府の党組織が要求しますと、四つの党組織であっても党員総数は三分の一を超えます。そういう意味の話なのです。ですからこの規定を残すということは、党の規約の中に、大県とそうでない県との区別を残すような意味合いをもつので、今度思い切ってこれを省きました。
ただ実際問題としては、臨時党大会の要求というのはこれまでの四十二年間に起きたことがないのですが、将来、そういう状況が起きたときには、たとえ一つの県の要求であったとしても、中央委員会はおそらく真剣に対処するだろうと思います。ですから、「党員総数の三分の一」といった規定を残さないでも、臨時党大会開催要求が全国のかなりの部分で起こった場合には、かならず適切に処理されるであろうことをつけくわえておきます。
この説明は多くの問題を持っている。
まず第一に、臨時党大会問題において一番重要なのは、臨時党大会が前大会の代議員によって構成されるとされていることである。これは規約が保障する選挙原則を真っ向から否定するものであり、また、選挙の過程で行なわれる各級総会および党会議での討論権さえ否定するものである。選挙抜きに、綱領や規約を変えることのできる党の最高意思決定機関を開催することができるというのは、スターリンでさえやらなかったような滅茶苦茶な規定である。しかし、この決定的な問題について不破結語は完全な沈黙を守っている。
第二に、不破氏は「『党員総数の三分の一』という従来の規定はどういう意味の規定だったかといいますと、これは党内でそういう署名運動などをやって、その署名が三分の一になったら臨時党大会を開くということではないのです。いくつかの都道府県党組織から要求があった場合に、それらの組織に属する党員の総数が、党員総数の三分の一を超えた場合には、党大会を開く要件にするという意味だったのです」と述べているが、この「意味」についてはいったいいつの大会で正式に表明されたものなのか? ぜひとも明記してもらいたい。
第三に、「たとえば東京・大阪・京都・北海道という四つの大きな都道府の党組織が要求しますと、四つの党組織であっても党員総数は三分の一を超えます。そういう意味の話なのです。ですからこの規定を残すということは、党の規約の中に、大県とそうでない県との区別を残すような意味合いをもつので、今度思い切ってこれを省きました」と言うが、こんな理屈が妥当するだろうか? この規定はあくまでも、党員総数の3分の1以上という規定になっているのであって、大県とそれ以外とを区別することを直接規定したものではない。たとえば、大県と小県との組み合わせでも党員総数の3分の1以上を越えることもあるし、中規模県が8つか9つ集まって党員総数の3分の1以上を越えることもある。さまざまな場合がありうるのであって、この規定が残ったからといって、大県とそれ以外の県との区別が規定されるわけではない。
第四に、「実際問題としては、臨時党大会の要求というのはこれまでの四十二年間に起きたことがないのですが、将来、そういう状況が起きたときには、たとえ一つの県の要求であったとしても、中央委員会はおそらく真剣に対処するだろうと思います。ですから、『党員総数の三分の一』といった規定を残さないでも、臨時党大会開催要求が全国のかなりの部分で起こった場合には、かならず適切に処理されるであろうことをつけくわえておきます」と述べているが、もし本当に「たとえ一つの県の要求であったとしても、中央委員会はおそらく真剣に対処する」「臨時党大会開催要求が全国のかなりの部分で起こった場合には、かならず適切に処理される」と言うのなら、まさにそのような口約束ではなく、そのことを明文化すべきである。たとえば、「一つ以上の都道府県委員会が臨時党大会開催を要求した場合は臨時党大会を開催する」あるいは、「一つ以上の都道府県委員会から臨時党大会開催の要求があった場合、すべての都道府県委員会に臨時党大会開催の是非を問い、3分の1以上の都道府県委員会が賛成した場合に、臨時党大会を開催する」と規定すべきである。それが権利というものだろう。
第五に、この最後の文書で言う「真剣に対処」とか「適切に処理」という言葉はまったく曖昧であり、いったいどのように「対処」され、どのように「処理」されるのかまるで不明である。うがった見方をすれば、「真剣に対処」「適切に処理」とは、そのような不遜な要求をした都道府県委員会の常任委員を査問にかけて、機関から放逐する「対処」「処理」かもしれない。