岐路に立つ日本共産党
 ――第22回党大会をふりかえって

2、不破報告と不破結語の検討

説明されていない諸問題

 大会での不破報告と不破結語、さらに7中総での不破報告をすべて足しても、なおまったく説明されていない問題がたくさん残っている。すでに指摘したいくつかの部分に加えて、以下の修正部分が何ら説明されていない。

(1)6中総で発表された議題「規約の一部改定」が7中総で提案された議案が「規約の全面改定」になったことの規約上の当否。
(2)規約前文にあった「共産主義者の党」が削除された理由。
(3)規約前文にあった「国際主義条項」が削除された理由。
(4)旧規約第15条にあった、各級指導機関がその選出母体に報告する義務が削除された理由。
(5)新規約第5条第5項で個々の党員の意見表明権を包括的に制約した理由。
(6)新規約第15条で、「党内で討論し」の主体が、個々の党員に広げられたことの理由。
(7)新規約第17条で、第5条第5項と同じ内容の、個々の党員の意見表明権制約規定が入っていることの理由。なぜ、同じような規定が、「簡潔化」されたはずの新規約で2ヶ所にわたって記述されているのか?
(8)党員の権利と義務に関する条項で、大衆運動についての記述が欠落した理由。
(9)旧規約にあった「党の防衛」に関する条項がすべて削除されている理由。
(10)入党費についての規定が削除された理由。入党費についての記述がない場合、いったい入党費はいくら払えばいいのか?
(11)党員の資格規定において「反階級的」という言葉が削除された理由。
(12)入党を決定する主体が、原則的に支部であったのが、「原則的に」が削除された理由。
(13)旧規約第16条にあった、「党組織の階級構成は、労働者の比重を不断にたかめなくてはならない。指導機関の構成もまた同じである」という記述が削除された理由。
(14)旧規約第19条にあった「選挙は選挙人の意志が十分表明されるようにしなくてはならない」という記述が削除された理由。
(15)旧規約第21条にあった、下級組織としての意見提出権が削除された理由。
(16)旧規約第22条にあった、全党討議に関する条項が削除された理由。
(17)旧規約第25条にあった、「党大会は、全党の意志が代表されるようにしなくてはならない」という記述が削除された理由。
(18)新規約第20条で、党大会での議案提出権が中央委員会に限定されている(少なくともそのように解釈できるようになっている)理由。
(19)新規約第48条で、「規約の精神に反する」だけで党員を処分することができるという記述になっている理由。
(20)旧規約の処分条項で「人民の利益」という部分が新規約で「国民の利益」に置き換えられている理由。

 ざっと見ただけでも、説明されていない修正部分がこんなに存在する。規約という、綱領と並んで最も重要な党内文書が大幅に変更されるにもかかわらず、これだけ多くの変更部分がまったく説明されずに放置されているというのは、いったいどういうわけか? これでも、党内の民主主義が保障されているとか、党内の議論がつくされているなどと言うつもりか? 「議論」どころではない。議論の前提たる、変更理由や変更箇所さえまともに中央から示されていない。これが党内民主主義か? もし「党内民主主義」に人格があれば、わが党の実態を見てこう言うことだろう。「あれが民主主義なら、私は民主主義ではない」と。

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