解体か再生か―岐路に立つ民青同盟

1、民主主義の看板が泣いている

(3)過保護的な行動提起
 民主主義にかかわるもう一つの問題として、方針の具体性をめぐる問題がある。民青のような全国組織における方針は、情勢に立ち向かう基本的姿勢、運動の方向性、組織の現状を踏まえた強化点や対策を示したものとなる。これをうけて、各級機関と組織は、それぞれの地域や実情に応じた具体化をはかる。しかし、28回大会決議や報告をみると、驚くほど具体的な記述・行動提起がいたるところにみられる。

 「キャンプやバーベキュー、鍋会を開きましょう」(「決議」)

 「試験対策勉強会を重視しましょう」(「決議」)
 「ストリートミュージシャンによびかけてコンサートをひらいたり、3オン3やフットサルの大会などにとりくみましょう。」(「決議」)
 「下宿やサークル選び、講義選択の相談にのってあげること」(「大会報告」)
 「かならず連絡先、メールアドレスなどを聞き連絡がとれるようにしましょう」(「大会報告」)

 青年獲得のための具体的提起が大会決議の前面に出てくる背景には、現在の民青がかかえる問題が如実に表われている。
 第1には、民青指導部が、同盟員自身の政治的自覚と運動体としての自立に確信を持っていない、あるいはそのための具体的方針を提起できないことを示している。それは、指導部への本質的な批判や異論を恐れ、自己保身と結びついている。「好きなことをどんどんやっていい」「みんなできめてみんなで実行」という言葉の裏には、同盟員蔑視的な動機と思想がつらぬかれているとも言えるのである。
 第2に、これらの方針は、民青指導部の敗北主義に起因するマヌーバーへの衝動の表れでもある。この傾向は80年代後半に増長し、90年代に一気にエスカレートしていった。「親切・友情・相談」(23-24回大会)、「試験対策勉強会」(28回大会)などは、その典型である。
 しかし、政治的自覚をみずからのエネルギーと勇気の源泉とする組織にとって、小手先のマヌーバーは諸刃の剣であり、しばしば自らの価値を貶めることにつながる。いま「青年を信頼してはたらきかければこたえてくれることに確信」(28回大会決議)をもつことが必要なのは、ほかでもない民青中央の指導部自身であろう。

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