最後に、小泉内閣に対してどのように立ち向かうのかという(3)の論点に関してであるが、この点について、志位報告は次のように述べている。
ここでも私たちの基本的な構えとして受け身でなく、攻勢的に、新しい情勢にたちむかうことが何よりも大切であります。一部に、「小泉人気」の高さに、「たいへんなことになった」という声もあります。その一方では、「そのうちに地金がでるから、それまで様子を見よう」という声もあります。受け身では、情勢を前向きに開くことはできません。
「小泉政治」と対比させて、日本共産党こそ、国民の期待にこたえうるほんとうの改革の党であることを、全国民的規模で明らかにする攻めのとりくみが、いまきわめて重要であります。
同志のみなさん、いまの情勢の特徴を、わが党の真価をうきぼりにする絶好のチャンスと攻勢的にとらえ、新しい情勢に攻勢的にたちむかおうではありませんか。
事態を受動的にでも傍観的にでもなく、攻勢的にとらえ、積極的に真の改革路線をたずさえて打って出ることが強調されている。この点についてはわれわれは大賛成である。しかし、その場合、2つのことがしっかりと踏まえられなければならない。
一つは、志位報告に示されているような、小泉内閣に対する過小評価を徹底的に払拭し、その危険性、その新しさをしっかりと理解することである。旧来の自民党政治の延長という基本認識を改め、それがもつ新しい危険性、これまでと基本的に異なる内実を明らかにし、党員および有権者に警鐘乱打しなければならない。
二つ目は、攻勢的に立ち向かう上で障害となっているし、今後ますますなるであろう、共産党のこれまでの右傾化路線と徹底的に手を切り、その誤りを大胆に自己切開し、誠実な党内討論にもとづいて根本的に克服することである。すでに座談会でも論じられているように、日本共産党指導部の右傾化路線は今なお克服されておらず、部分的になし崩し的な変更が見られるだけである。この「なし崩し」路線は、さまざまな分野でジグザグや、ちぐはぐな対応を生んでいる。小泉改革への対決を訴えながら、この小泉内閣と本質的に同じである石原都政に対して「是々非々」を唱えたことは、この「ジグザグ」と「ちぐはぐ」さの端的な現われである。このような首尾一貫性のなさがあるかぎり、小泉改革に対する「攻めのとりくみ」も「攻勢的にたちむかう」こともできないだろう。
以上のことが真剣に行なわれるなら、短期的には効果が出なくても、長期的には間違いなく、再び共産党への流れを作り出すことができるだろう。そして、右傾化路線を抜本的に克服した上で、新社会党や革新無党派との連合という新しい統一戦線政策を基軸に据え、「護憲と革新」の第3極を形成し、社民党へも働きかけていくならば、革新の陣営は、新しい水準で新保守・保守と対抗する真の基盤を獲得することができるだろう。