テロ事件に対する報復を口実とする米軍およびNATOによる大規模な侵略戦争の準備が着々と進んでいる。アメリカの上院および下院は、14日、下院の黒人女性議員バーバラ・リーただ一人の反対を除く全員一致で武力容認決議をあげるとともに、今回の戦争にともなう追加予算として400億ドル(約4兆8000億円)もの巨費を計上した。ブッシュ大統領は最大5万人の規模の予備役兵の召集を決めた。同日、ブッシュは国家非常事態を宣言し、アメリカ全土は戒厳状態に入った。パウエル国務長官やラムズフェルド国防長官らは、今回の戦争が大規模で数年に及ぶものであることを示唆し、化学・生物兵器を使用する可能性さえ公言している。まさに、テロを口実として、テロリストによる無差別殺戮の数十倍規模の無差別殺戮を準備しているのである。日本政府は、こうした軍事的暴挙に対し、日本国憲法の精神にのっとって理性的対応を求めるのではなく、それに対する全面協力を早々に宣言し、周辺事態法を今回の事態に適応して自衛隊を戦争協力させること、有事立法を制定すること、集団的自衛権の行使に踏み切ることなどをあからさまに狙っている。ヨーロッパ各国の社会民主主義政権は、こうした恐るべきジェノサイドの準備にストップをかけるどころか、日本と同じく全面協力を公言し、NATOの一員として軍事的報復に参加することさえ辞さない姿勢である。恐るべき戦争マシーンが猛烈な勢いで回転をし始めた。それは、すさまじいうなり声を上げながら、あらゆるものを押しつぶそうとしている。世界中の人々が息を飲みながらこうした事態を見つめている。崩れ落ちるビルの映像が100回も200階も繰り返しテレビで流され、すべての人々の理性を麻痺させている。すでに21世紀に入り、超近代文明を謳歌しているはずの人類は、再び巨大な野蛮状態に逆戻りし、やられたらやり返すという古代的・中世的掟を至上の命題にしている。世界的な平和の流れという日本共産党指導部の21世紀論の楽観主義的幻想は一瞬にして打ち砕かれた。資本主義が存在するかぎり、帝国主義が存在するかぎり、安定した平和などけっして訪れないことをこの事態は物語っている。ウサマ・ビンラディンとその仲間の一握りの人々に対する報復のために、アフガニスタンおよびその周辺に住む貧しい普通の人々、女性や子供たち、労働者や農民や市民たちが、大量に殺されようとしている。理性と良識のあるすべての人々は今すぐに戦争反対の声を上げよう! 報復戦争やめろ、人殺しはもうたくさんだ、ノー・モア・テロリズム、ノー・モア・ウォー! すべての家々に、すべての街角に、胸のバッチに、職場で、学園で、インターネットで、ありとあらゆるところで報復戦争反対のスローガンを掲げよう! (S・T編集部)