日本共産党は、不破哲三議長、志位和夫委員長の連名で、9月17日、「テロ根絶のためには、軍事力による報復でなく、法にもとづく裁きを」という各国首脳宛ての書簡を発表した。この書簡は、まず今回の同時多発テロ事件を「多数の市民の生命を無差別に奪う憎むべき蛮行であり、絶対に許されない卑劣な犯罪行為」であると断罪するとともに、「テロの根絶のためには、軍事力による報復ではなく、法と理性にもとづいた解決が必要」という立場から、現在アメリカが急ピッチで準備している軍事的報復に反対するとともに、「国連が中心になり、国連憲章と国際法にもとづいて、テロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法にてらして厳正に処罰すること」を訴えている。また、武力による報復が国連総会の決議でも禁止された国際法違反の行為であることを指摘するとともに、今回の国連安保理決議1368号も、個々の国連加盟国による武力行使を認めるものではないことを指摘している。そして、「テロ犯罪者の特定、その逮捕と処罰、さらにテロ根絶のためのいっそう効果的な国際的措置をとることを目的に、国連が特別の国際会議を緊急に主催することを提案」している。
以上の論旨にわれわれは基本的に賛成であるが、この書簡には、アメリカ自身がこれまで大規模な軍事的テロ行為を多くの国々に対して行使してきたこと、イスラエルによるパレスチナ人民へのテロと軍事抑圧をはじめ、世界各地で侵略と民族抑圧を後押しし支援してきたこと、そして今回のテロの容疑者とされている人物・グループをアメリカ自身が支援してきたこと、こうしたことについては残念ながら何も語られていない。また、各国首脳への書簡も重要だが、それよりも先に、あるいは少なくともそれと同時に、日本および世界の一般市民・労働者に向けて、党幹部の連名ないし常任幹部会名で、報復戦争反対、労働者・市民の力で戦争にストップをかけよう、というアピールを出すべきであった。今からでも遅くない、党は、その存在意義のいっさいをかけて、戦争反対の運動の先頭に立つべきであり、指導部が率先してそうした姿勢を党員および社会全体にアピールすべきである。(S・T編集部員)