日朝首脳会談および拉致問題に関するトピックス

(02.9.19)志位委員長、党首会談で日朝会談への「強い支持」を表明
 19日付『しんぶん赤旗』は、18日の夜に開かれた党首会談の模様を報じ、志位委員長が日朝会談の結果について強い支持を表明したことを明らかにした。その中で志位委員長は次のように述べた。

 「首脳会談で、『過去の植民地支配』の清算、『日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題の再発防止』などにかんして『日朝共同声明』がかわされ、国交正常化交渉の再開が合意されたことは、重要な前進の一歩だと考えている。交渉再開への首相の決断は、重くつらいものであったと思うが、『これで懸案は解決したわけではないが、交渉なしに改善ははかられない』との立場からの決断を、わが党は強く支持する。(以下略)」

 この志位発言の中では、残りの部分も含めて、今回の首脳会談に対する一言の批判も留保も存在しない。事実上の全面的支持である。靖国に公式参拝し、自衛隊を戦地に海外派遣し、有事立法法案を戦後初めて国会に提出したタカ派の首相が、あたかも突如として「平和の戦士」になったかのようである。
 だが今回の日朝首脳会談はそのような手放しの支持を与えうるものであろうか? 日本側が表明した過去の植民地支配に対する反省とおわびの言葉は、村山談話などのこれまでの水準から何ら踏み込む内容ではなく、また植民地支配と戦争犯罪に対する国家補償についてはあいかわらず拒否している。また、北朝鮮側も、日本人拉致の事実について認め、言葉の上で「謝罪」したとはいえ、このことは日朝共同声明に盛り込まれなかったし、その扱い自体もきわめてぞんざいであった。右派のメディア・政治家は、後者の問題だけを取り上げて、日本が戦前に行なった犯罪については口をつぐんでいるが、共産党として、両方の問題を厳しく批判するべきであった。
 また、こうした「平和的交渉」の一方で、アメリカによる軍事脅迫政治に対する小泉内閣の支持姿勢は何ら変わっておらず、有事立法の策動もなくなっておらず、安保も自衛隊もそのままである。昨年成立した反テロ特別措置法を改正して、より柔軟かつ長期に用いることができるようにするという志向も政府内に存在している。
 志位委員長はせめて党首会談で、朝鮮半島の真の平和のためには有事立法の制定を断念するべきだとなぜ言わなかったのか? われわれは、日朝首脳会談に対する事実上の全面支持を表明した今回の共産党指導部の立場を厳しく批判したい。(S・T編集部員)

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