以下の一連の記事は、綱領改定案に関するトピックスでの論評を再録したものです。
(03.6.24)新綱領案が7中総で全会一致で採択される
天皇制、自衛隊を事実上容認し、61年綱領の革命的側面を完全にそぎおとした新綱領案がまったく本質的な修正なしに全会一致で採択された。予想されていたこととはいえ、やはり改めてこの党の内的空洞化と腐敗を示す事実である。
7中総でいくつか文言上の修正がなされたが、実質的な内容にかかわるものはほとんど皆無で、とりわけ新綱領案の本質的な欠陥に対する修正はまったくなかった。なされたごくわずかな修正には、むしろ原案よりもひどくなったものもある。
たとえば、民主主義的改革の中身として示されている「子どもの健康と福祉、子育ての援助のための社会施設と措置の確立に特別の力を入れる」という部分は、「少子化傾向を克服する立場から、子どもの健康と福祉、子育ての援助のための社会施設と措置の確立を重視する」に変更された。「子どもの健康と福祉、子育ての援助」というものが、子どもの人権や、子育てを一方的に押しつけられている女性の権利のためではなく、「少子化傾向を克服する立場から」重視するというわけである。これは、何とかして子どもを生ませようとしている保守勢力の見地と何ら変わらない。
このような「改善」と呼べぬ「改善」をした程度で、あいもかわらず全会一致で採択し、さらに、「ロマンと志を感じた」だの、「現実味を持った綱領として語れる」だの、「深い分析に感銘を覚えた」だのといった盲目的賛美の声を恥ずかしげもなく機関紙上で紹介している。
結党以来、80年以上にわたって天皇制廃止の立場を綱領的に堅持してきた誇るべき伝統を覆すものになっているというのに、なお平然と全会一致で採択し、そのことに何ら違和感を覚えず、自画自賛にふけるというこの体質こそが、どんなに「わかりやすい」「現実的な」綱領を採択しようとぬぐうことのできない国民の不信感の原因になっていることに、いまだに気づいていないのである。
ところで、この新綱領案をめぐる全党討論がいかなるものになるかについては、詳細がいまだに明らかではない。市田書記局長は、「『赤旗』学習・党活動版臨時特別号を発行して大会議案の公開討論を行なう」と報告したらしいが、いつから、どのような条件・規模で行なうつもりなのか不明である。現行綱領の基本を覆す内容の新綱領を採択しようというのだから、当然、通常の党大会におけるような短い討論期間、一人1通2000字だけという制限を課すのではなく、もっと本格的かつ大規模な全党討論を保障するべきである。これは、党指導部として最低限の義務だろう。(S・T編集部員)