『さざ波通信』第33号

 『さざ波通信』の第33号をお届けします。
 6月に開催された7中総において、ついに綱領改定案が発表されました。それは、われわれが危惧していたとおり、これまでの不破路線を後から綱領的に正当化しようとするものであり、同時に、さらにいっそう踏み込んだ改良主義的・反動的内容を含むものとなっています。
 今回の綱領改定案をめぐっては、すでに『さざ波通信』の投稿欄で活発な議論がされており、われわれは、この議論から多くのことを学ぶことができました。今回の論文にも、読者によって指摘された多くの論点が生かされています。また、党としての公開討論もきわめて不十分ながら始まっており、綱領改定案に関する党内意見を掲載した『別刷り学習党活動版』第1号が8月4日付でようやく発行されました。本来、綱領の改定という、党にとって最も重大な事業をやろうとしているのに、それをめぐる公開討論誌を、事前に注文予約した党員と党組織にだけ配布するという方針がとられているのは、まったく許されないことです。全党員に配布することが困難であったとしても、インターネットに全文を掲載することもできたろうし、『しんぶん赤旗』に討論欄をもうけて主要な意見(賛成意見と反対意見)を転載することもできたはずです。
 一部有志の努力によって、現在はインターネットで『別刷り学習党活動版』第1号を読むことはできますが、このような仕事は本来、党自身がやるべきことです。
 いずれにせよ、共産党の運命にかかわる今回の綱領改定をめぐる討論にできるだけ多くの党員が参加し、党の革命的・戦闘的伝統を手を切ることを目的とした今回の綱領改定案に対する厳しい批判と抵抗の声を上げるべきでしょう。現在の非民主的な党運営のあり方と、党指導部に盲目的に従うことが完全な習慣と化している大多数の共産党員の現在の水準からすれば、どのような内容の綱領改定案であれ、それが大会で満場一致かそれに近い圧倒的な賛成多数で採択されることになるのは、絶対的に明らかです。
 しかしだからといって、沈黙していてよいということになりません。戦争を止めることができないからといって反戦の声を上げなくてもいいということにならないのと同様、たとえ綱領改定を止めることができなくても、今回の反動的な綱領改定案に対する断固たる抗議と批判の声を上げるべきなのです。
 さて、本号のメイン論文は、当然ながら、綱領改定案を逐一的に検討して批判した論文になります。あまりにも量が膨大になったので、上・下に分けて掲載します。今号はその「上」です。
 同時に、綱領改定案に関するトピックスと筆坂セクハラ事件に関するトピックスを再録します。筆坂事件は結局、筆坂の議員辞任という形で幕を下ろされ、事件の真相は、被害者のプライバシーの保護という口実のもとに闇に葬られました。もちろん、被害者のプライバシー保護は必要ですが、その限界内でも明らかにできることはもっとあったはずです。国会議員という最も重要な公職についていた者が辞任するのですから、しかるべき説明が必要でしょう。
 大学などでセクハラ事件で教官が免職される事件があいついでいますが、その場合でも、被害者の名前などのプライバシーにかかわる部分は伏せられながらも、被害者が学生であったのかどうかとか、どのような種類のセクハラであったのかぐらいの説明はなされています。すなわち、教官としての地位を利用した性的な関係を迫ったという対価・代償型のセクハラなのか、あるいは、授業などで卑猥で性的に不快な発言を繰り返したという環境型のセクハラなのか、あるいは、飲み屋などで学生に性的なからかい発言をしたり強制わいせつ行為をしたものなのか、といった大雑把な態様は公表されています。
 しかし、結局、臭いものには蓋ということで、そうした重要な事実関係はまったく明らかにされませんでした。そして加害者たる筆坂はいっさい表に出てこず、雲隠れしたままというありさまです。これでは、国民の不信を拭い去ることはできないでしょう。
 なお、前号(32号)の論文「不破史観の確立と発展――『日本共産党の80年』の批判的検討(下)」で、1994年以降の10年間における『日本共産党の80年』の記述を検討する論文を掲載すると予告しましたが、かなりの部分が、綱領改定案を検討する作業と重なるので割愛することにしました。
 次号は9月に発行する予定です。

『さざ波通信』編集部

もくじ

  1. 綱領改定案と日本共産党の歴史的転換(上)
  2. 綱領改定案をめぐるトピックス(再録)
    1. (03.5.27)綱領のなし崩し全面改定を提案─6中総
    2. (03.6.22)天皇制・自衛隊を事実上容認した新綱領案が発表
    3. (03.6.24)新綱領案が7中総で全会一致で採択される
    4. (03.6.28)レーニン主義から最終的に決別した不破綱領
    5. (03.7.11)『しんぶん赤旗』が綱領案に対する意見の募集を開始
    6. (03.8.4)綱領改定案の討論報第1号が発行される
  3. 筆坂セクハラ事件をめぐるトピックス(再録)
    1. (03.6.25)筆坂政策委員長・参議院議員がセクハラで辞職
    2. (03.6.30)市田氏が政策委員長を兼務、セクハラは「私的な酒席」
    3. (03.7.3)「セクハラ対策」?……自宅外での飲酒禁止の茶番<
    4. (03.7.5)共産党指導部の迷走――自宅外禁酒規定は「勘違い」?
  4. 「さざ波通信」第33号についての一問一答

(03/8/14)
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