以下の一連の記事は、第23回党大会に関するトピックスでの論評を再録したものです。
ついに、43年ぶりに党綱領の全面的改定を行なう日本共産党の第23回大会が13日、開催された。大会に提出された綱領改定案に新たな修正が加えられたのかどうかわからないが、『しんぶん赤旗』を見るかぎりでは、本質的な変更はなく、われわれが指摘してきた問題点はいずれも解消されていないと推測することができる。すなわち、今回の綱領改定案の採択によって、日本共産党が最終的に過去の革命的伝統と決別し、改良主義的な社会帝国主義政党へと変質することになることはほぼ間違いない。これは、事実上、共産党清算大会である。
不破は報告の中で、党内討議の全体としての流れは綱領改定案への賛成方向であったと述べているが、それも当然である。長期にわたる宮本・不破体制のもとで、指導部の提案には何でも100%賛成することを体質化してきたわが党が、突然、民主主義者、共産主義者としての良心と自覚に目覚めて、指導部からの提案を自主的に検討するなどという事態が起こるはずもないし、また個々の共産党員を含む社会全体の右傾化・帝国主義化の中で、共産党員の多数派が左派的立場に立つことなどありえない。それは奇跡を信じることであろう。不破が自慢げに言及する党内の賛成の流れとは、まさに共産党そのものの敗北と変質を示すメルクマールにすぎないのである。
また同じく報告の中で不破は、自衛隊と天皇制に関してのみ国民的合意を強調している問題に関して、それを「先送り」として批判するのは主権在民の原則を否定するものであると反論するという開き直りを行なった。しかし、われわれが詳細な批判の中で明らかにしたように、実際には、主権在民原則を否定しているのは不破指導部のほうである。不破綱領案は、ずっと先にしか成立しないはずの民主連合政府の期間中はずっと天皇制を維持することを約束し、また安保条約廃棄後も当面自衛隊を維持することを約束している。すなわち、彼らは、国民世論の動向がどうあれ、きわめて長期にわたって自衛隊と天皇制を維持することを約束しているのである。まさにこれは、党の意思を主権者の上に置くものである。さらに、不破綱領案もその提案報告も、天皇制廃止に向けた世論作りについて一言も述べていない。世論に何ら意識的に働きかけることなしに、そのままの世論が自動的に成熟することを待つという立場がまさに天皇制の容認論でしかないのは、指導部崇拝に陥っていないすべての人に明らかなことである。不破は「主権在民原則」を振りかざすことで、おのれの天皇制屈服を正当化しているにすぎないのである。そのような馬鹿げた「主権在民」論が正しいのなら、共産党の存続を別に国民の多数派が望んでいないことにかんがみて、さっさと自主解党するべきだろう。
なお、社会党が80年代に自衛隊に関して同じ政策を発表した時、自衛隊の長期存続論だとして不破哲三本人を含む党指導部はいっせいに社会党の裏切りと変質を糾弾した。先見の明を誇る共産党指導部は単に、20年遅れで社会党の変質を一歩一歩忠実にたどっているにすぎない。それでいて、指導部とそれを崇拝する多数派党員たちは、自分たちが先頭ランナーであると思い込んでいるのである。
不破の独自路線が全面的に実施されるようになったのは1998年の参院選躍進後である。その後、共産党はすべての国政選挙で敗北につぐ敗北、後退につぐ後退を記録した。1998年時点で持っていた衆参の得票数と議席を激減させた。不破路線の破綻はあまりにも明白である。とりわけ、われわれが最初から最も厳しく批判してきた民主党との暫定連合政権構想はあまりにも惨めな形で破綻し、彼らがいかに政治的指導部として失格であるかが明らかになった。だが彼らは、自分たちのこの歴史的後退に関して、まったく部分的で中途半端な「反省」しかしておらず(しかも責任はすべて志位にのみ帰せられている)、すでに破綻が明白となった不破路線を最後まで追求しようとしている。ここまで明白な誤りからさえも何も学ぼうとしない政党にいかなる未来もないことは明らかである。(S・T編集部員)