『さざ波通信』第36号

 予定よりも大幅に遅れましたが、『さざ波通信』の第36号をお送りします。
 本号の主要論文は、先に開催された第23回党大会における不破報告に対する批判です。綱領改定案に対する詳細な批判はすでに、過去の『さざ波通信』において3回にわたって行なっていますので、不破の大会報告の中で言及された問題に基本的に絞って論じています。また、最終的な新綱領における修正部分については、トピックス論文でかなり詳しく扱いましたので、それを参照してください(本号に再録します)。
 もう一本の論文は、「総選挙時比130%の読者拡大」方針に対する批判です。また、総選挙問題についてのトピックスも再録しました。
 今回の発行で、『さざ波通信』はついに5周年を迎えました。この5年間に、日本政治も日本共産党も劇的な変化を遂げました。1999年2月の時点では、日本共産党は躍進期の真っ最中であり、不破指導部は1、2年以内に政権入りすることを展望し、基本政策を右転換させはじめたばかりでした。またその時点では、国旗国歌法も新ガイドライン法も有事立法もまだ制定されておらず、自衛隊の海外派兵も実現されていませんでした。
 しかし、この5年間に日本政治も日本共産党も驚くほど急速に右傾化をとげ、憲法は蹂躙され、過去の原則も理念も多くが投げ捨てられ、自衛隊は武装して戦闘地帯に派遣されるにいたりました。また福祉や教育の面でも次々と改悪・切り捨てが進行し、企業レベルでもリストラと不安定雇用化が急速に進んでいます。国会では社会党も共産党も極少政党になり下がり、ほぼ自民党と民主党によって独占されるに至りました。
 その中で共産党は次々と基本政策を後退させただけでなく、日本共産党の国会議員団が皇族に対する弔詞決議や賀詞決議に賛成するという信じがたい事態も生まれ、そしてついに、規約も綱領も完全に変更され、日本共産党自身が決定的な変質をこうむりました。こうして、日本国家そのものが、その政治的上部構造においても、対外的存在様式においても基本的に帝国主義の段階にいたったのとほぼ軌を一にして、日本共産党自身が社会帝国主義的傾向を持った改良主義政党への転態をとげたのです。
 『さざ波通信』が存在したこの5年間は、まさに日本社会にとっても日本共産党にとっても決定的な5年間でした。一握りの党員集団にすぎないわれわれは、できるだけこの流れに抵抗する努力を積み重ねてきましたが、あまりにも無力であり、結局、この流れを押しとどめることはできませんでした。共産党内部における、指導部の右傾化に抵抗する動きもほとんど広がらず、右傾化批判の声は圧倒的少数の「異端」の声でしかありませんでした。
 これからの数年間は基本的に、この5年間に形成された力関係と流れにもとづいて政治が進行するでしょう。しかしながら、日本国内におけるこの異常な右傾化と左翼的基盤の崩壊にもかかわらず、世界的には帝国主義と新自由主義的グローバリゼーションに対決する草の根の運動が急速に発展しつつあります。それは一つの大きな希望でありますが、しかし、日本に住んでいるわれわれには、この日本社会において右傾化の流れの変化をつくり出す義務があります。そうした闘いのごくささやかな一翼を担うものとして、『さざ波通信』は今後とも地道に発行を続けていきます。そして、不破指導部に対する容赦ない批判と監視を継続し、日本共産党が少しでもましな政党として機能するよう、そしてそれを少しでも左翼的な方向で改革できるよう、これまでと同様、努力を傾注する決意です。今後ともよろしくお願いします。

『さざ波通信』編集部

もくじ

  1. 第23回党大会と不破綱領の本質
  2. 「総選挙時比130%の読者拡大」の提起に欠けているもの
  3. 第23回党大会関連トピックス
     「(04.1.14)歴史的転換を画す日本共産党第23回大会開催される」
     「(04.1.16)礼賛と自画自賛発言のみが繰り返される茶番大会」
     「(04.1.17)たった1名の反対のみで改良主義的新綱領が採択」
     「(04.1.18)新綱領はごくわずかな字句上の修正のみで採択」
  4. 総選挙問題トピックス
     「(03.11.4)ようやく本格的な民主党批判をはじめた共産党」
     「(03.11.10)保守二大政党制への劇的な傾斜と共産党の惨敗――共産党指導部は総選挙の結果を直視して、政治責任をとれ!」

(04/2/26)
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