以下の一連の記事は、第23回党大会に関するトピックスでの論評を再録したものです。
16日付の『しんぶん赤旗』には大会2日目のいわゆる「討論」なるものの発言要旨が掲載されている。それは、醜悪なまでに批判的観点や自主的な検討の欠落した礼賛と自画自賛のオンパレードである。たしかに、わが共産党の大会や上級会議における「討論」とは名ばかりのものであり、実際には、どんな方針が出されてもそれを全面的に支持し、「全党の力になる」「新しい展望を切り開く」等々といった紋切り調の礼賛に終始するのが不動の習慣ではあるが、今回のように40年以上維持してきている現行綱領を抜本的に変更する綱領改定案が出されてもなお、このような礼賛を続けている様は、まさにこの政党の腐敗と堕落にまったく限界がないことを如実に示している。
右を向けと言われれば喜んで右を向き、左を向けと言われれば(そう言われることは滅多にないが)左を向く、そして、言われるまでもなくひざまずいてしっぽを盛んに振る、このような奴隷根性の持ち主たちが、何重ものチェックを経て上級からの代議員名簿にもとづいて党大会に参集しているのだから、たしかに驚くべきものではないのかもしれない。彼らの閉じられた世界においては、どんな方針や綱領改定案が出ても100%賛成するという姿は「団結の証し」であり「強力な党」を誇示するものかもしれないが、世間的には北朝鮮的全体主義国家のミニチュア版としてしか映らないであろう。まともな良識と民主主義的感覚を持った人間ならば、このような後景をおぞましいと思うだろう。
ルーマニアの旧共産党政権も、崩壊する直前の党大会ではやはり100%の賛成を勝ち取り、チャウシェスク書記長は党大会会場における満場の大拍手の中で鷹揚に手を振ってあいさつをしたものだった。もちろん、政権党ではない日本の共産党は、チュシェスク政権のような劇的な経過をたどらないだろう。それは、腐敗をますます進行させながらも長期的に存続するだろう。今回の党大会において共産党指導部は二大政党制との対決を盛んに強調しているが、自らの腐敗と堕落によって国民の目を民主党に向かわせ、こうしてこの二大政党制の方向性を促進しているのは、他ならぬわが党指導部自身なのである。(S・T編集部員)