タケル同志はさらに次のように述べています。
政権を組もうとする他党の綱領が「進歩的」か否かはこの問題では全く考慮する必要はないと思います。政策の面で自民党政治を「部分的にせよ打開する方向に一歩踏み出す」共闘が生まれるかどうかが大切なのです。
連合政権なんだから綱領が一致している訳ないでしょう。あなた方の論理は、民主党が共産党に対して「綱領が違うから連合できない」と言っているのと何ら変わらないのではないでしょうか。
綱領問題がこれほどまでに軽視されているのには、本当に驚かされています。これでは、綱領は個々の政策や行動と何ら関係のない一種の飾りのようなものとなってしまいます。では、共産党が綱領の確定をめぐってあれほど大規模な討論と闘争をやったのはいったい何だったのでしょうか?
もっとも、民主党には、共産党が持っているような明確な体系的綱領は存在しません。結党の際の一般的な宣言が綱領のようなものですが、わが党の綱領のような、綱領らしい綱領は存在しません。むしろ問題はこの党の階級的本質です。しかし、タケル同志にかかっては、この「階級的本質」も問題ではないようです。タケル同志は、前号の『さざ波通信』を批判する中で次のように述べています。
連合する政党の「本質」こそが問題だという、綱領の統一戦線の立場を理解しない狭い態度です。
一般的な運動的共闘の場合には、もちろん政党の「本質」がどうであれ、当面して一致する政策があれば共闘することができますが、政権を組む場合にはそうはいきません。共闘一般と連合政権との区別という問題については後で詳しく述べますが、いずれにせよ、政党の本質が、いっしょに連合政権を組む上で何の関係もないのなら、自民党とだって連合政権を組めるはずです。自民党とだって一致する政策はいくらでもあります。実際、共産党自身が語っているように、そしてタケル同志も言っているように、共産党は国会において、自民党ないし政府側が提出する法案の半分ないし6割に賛成しています。つまり、自民党の政策の半分ないし6割と一致しているわけです。相手の政党の階級的本質が政権を組む上で関係がないのなら、自民党とだって連合政権を組むことは可能なはずです。もっと言えば、すべての政策が一致しない政党など存在するはずがないので、共産党はどんな政党とも連合政権を組んでよいということになります。もしそうなら、不破委員長は、私たちは自民党を含むどの政党とも、部分的に一致する政策で政権をつくる用意があると言うべきでしょう。
その政党の階級的本質は、その政策・行動・主張にはっきりと示されます。ヘーゲルが言うように「本質は現象する」のです。民主党と自由党の新自由主義的・帝国主義的本質は、その一連の政策に、その政治行動に、その主張に、そしてそれが選び出した党首の言動に、その政治的意見に十分示されています。私たちはこれまでの『さざ波通信』の中でそれを詳しく検討してきました。とりわけ憲法問題に関しては、『さざ波通信』第7号の論文「危機に瀕する憲法と対抗軸の模索」の中で詳細に検討していますので、それをぜひ参照してください。また、次の章でも民主党の経済政策について詳しく検討されていますし、また、防衛問題に関する民主党の選挙政策を論じた雑録論文でも詳しく検討されていますので、それを読んでください。