志位報告は、次の党大会に向けた課題として、何よりも党員拡大、とりわけ青年層での党員拡大を力説している。青年層の獲得こそ党の存亡のかかった重大な組織的課題であることは、すでに私たちが何度も指摘してきたことである。この青年分野での共産党の影響力の貧困さ、青年党員比率の圧倒的な低さこそ、現在の時代が、70年代を上回る革新高揚期でもなんでもなく、反対に新たな反動攻勢期であることを如実に示している。
しかし、青年党員のみならず新たに党の組織的地歩を建設拡大していくためには、何よりもこの間の党指導部の、右往左往を伴った右傾化路線をきっぱりと清算することが絶対に必要である。そして、革新の大義と理念をあっさりと裏切ったり、党の歴史を平然と偽造する党指導部の体質、それに唯々諾々としたがう党員全体の体質もまた、真剣に問題にされなければならない。絶えざる自己改革と自己刷新ぬきに、真の党勢拡大もありえない。内部のさまざまな矛盾を隠し、取り繕い、美化することによって、「党の魅力」を訴えようとしても、それは説得力を持たないだろう(青年問題については、本号所収の雑録-2も参照のこと)。
また志位報告は、「党の綱領路線と歴史を語る力を、すべての党員が身につける」という課題を提起し、次のように述べている。
すべての党員が党の綱領路線と歴史を語る力を身につけ、相手の関心や疑問にかみあって、画一的でなく、自分の言葉で自在に党を語り、どんな攻撃がおこなわれても、堂々と前進をかちとれる党に成長することが強くもとめられています。
だが、党指導部自身が、党の綱領路線を裏切り、その裏切りがあたかも第12回党大会以来一貫したものであるかのような嘘を平然とついているもとで、どうして党員が、党の綱領路線と歴史を語る力を身につけることができるというのか? それとも、党指導部が求めている「力」とは、どんな場合でも当意即妙に歴史を偽造し、相手を煙に巻く能力のことなのであろうか?
次の党大会に向けてなさなければならない最大のことは、一昨年の参院選挙以来、党指導部がとってきた右傾化路線を、総選挙結果に照らしつつ、徹底した党内討論に付すことである。そのためには、ほとんど無制限の大規模な党内討論が目的意識的に組織されなければならない。党大会の決議案の発表をまつことなく、ただちに今から、『しんぶん赤旗』の党活動欄を使って、党内討論を開始するべきである。そこでは、タブーをいっさい排し、率直で厳しい批判意見をも正々堂々と掲載するべきである。結語によれば、手厳しい意見も含めて今回の総選挙結果に関し「厚さにしても二~三十センチにもおよぶ」意見やファックスが届いているそうである。まずもって、これらの意見を公表するべきである(もちろん、本人の同意のもと)。なぜ、一握りの幹部だけがそのような貴重な意見を読むだけですますのか?
結語の中で志位書記局長はこう述べている。
全党の知恵をくまなくくみつくす。それから国民のさまざまな意見にも、謙虚に耳をかたむける。そしてそのことを、われわれのつぎの機会での前進の糧にしていきたいと思います。
もし本当にそう願っているのなら、今からただちに全党の公開討論に踏み切るべきだろう。もしそれをしないのなら、共産党は生きた政治的組織体として、しだいに衰亡していく過程をたどることになるだろう。